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フランスから、食関連ニュース 2020.03.31

フランスにおける旬でコアな食関連のニュースを、週刊でお届けします。

1. 今週の一言

昨年の6月と11月に放映されたフランス2の番組「Cash Investigation」を見ました。内容は「Hold Up 野菜と果物の多国籍ビジネス」。本来の味がなくなってきているといわれる野菜や果物だが、実際にその栄養価の変化はどうなのか。資料にある60年前の栄養価と現在のそれをすべて比較してみたところ、栄養価が驚くほど下がっているのに気づく。大量生産型 と流通に合わせるため、ハイブリッドの食材を生み出す。ハイブリッドの食材は消費者の体のためを考えられて作られたわけではない。いかに規格内の食材を作るか。色と形だけは整って美しいが、ロジスティクスへの優性、耐久性を第一に求められたもの。しかも、ハイブリッドの食材は生産性のある種を生み出さない。それがさらには種ビジネスとつながっていることを暴いていく、という内容でした。さらに主食であるパンも、発酵をそれほど行わなくとも弾力性のある生地を効率よく作り、大量生産を行うために、ハイブリッド小麦を生み出すというビジネスが成り立ってゆく。近年にわかに増えてきたグルテンアレルギー。調べれば、効率よい生産のために生み出された小麦のグルテン量は圧倒的に古代麦よりも多く、我々の許容量を超えるかもしれない、ということも明らかにしていく。

グルテンアレルギーが近年多いのは、世界的な環境汚染のため、また食生活の単一化のため、人間が本来持つはずの免疫力が落ちているからかなどと、愚かにも思っている人が大半だったかもしれませんが、こうした大企業のビジネス下において、我々の体まで飼い慣らされていたのだということに気づかされる、グルテンフリーを謳う健康食品さえ、愚かに見えてくる。元凶に見事に食い込んでいく番組でした。大企業の社長たちも引っ張り出し、嘘偽り、矛盾を炙り出すインタビューは、ジャーナリズムの真髄を見たような気がしました。https://www.france.tv/france-2/cash-investigation/1005819-multinationales-hold-up-sur-nos-fruits-et-legumes.html

不謹慎ではありますが、世界的な変化のきっかけをいただいているかもしれないとも感じるCovid-19の猛威において、それがどうしてやってきたのかも含め、何か腑に落ちない事象がおきているのに、嗅覚を効かせ、警鐘も打ち、生きていかなければならないと感じています。ロックダウンからちょうど2週間たったパリの空気は、今までになくピュアで美味しい。誰もいない早朝のアンバリッド広場。春の訪れを告げる鳥のさえずりが響き渡っています。


2.今週のトピックス【A】経済省、労働省、農業省、農業従事者を救済するための施策発表。【B】エリゼ宮の料理長のイニシアティブで、医療従事者を支える、料理人たちのオペレーション開設。【C】医療従事者へ料理を届ける資金調達のためのクラウドファンディングのページ、複数のスタートアップ企業により開設。【D】調理師学校の生徒たちに向けたインターネット上コンクール開設。【E】英国ロンドンの3つ星、500名の解雇決める。

2. 今週のトピックス

【A】経済省、労働省、農業省、農業従事者を救済するための施策発表

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