見出し画像

アハ依存


もっと素晴らしい何かに気付けるのではないか。


占いやセミナー、自己啓発を繰り返すジプシー。

その心の根底にあるのは、求めて止まない、

"もっと素敵に生きられる筈の私" 探し。


アハ体験という言葉がある。

強烈な気付きを得て、自分の世界がひっくり返る体験をする事。


占いや自己啓発等のセミナーでは、しばしば アハ体験 が起きる。


すると、その瞬間自分が何か特別な悟りを得たかのような気分になり、

まるで仏陀の境地に至れたかのような、一種のカタルシスが起きる。


これが、

このままじゃいけない

とそれまで、日々もやもや生きてきた者にとっては、非常に美味しい体験となるため、

ジプシー状態でそれを繰り返しに行く事となる。


言わば、占いセミナージプシーとは、

アハ依存と言ってもいいかもしれない。


この、甘美なまでのアハ依存から抜け出すためには、どうすれば良いだろう。


そう。


遊園地に行き、コーヒーカップに乗ってほしい。

メリーゴーランドではなく、必ずコーヒーカップだ。


アハ依存とは、コーヒーカップをグルグルと高速で回転させまくっているようなものである。

周りのカップよりも高速で回転している高揚感!

回転が速すぎてもはや景色は分からない。

いつも見えてるような景色が分からない事の特別感!

そんなに激しいスピードが出ているのにも関わらず、殆どその場から動いていない、本人の体感と現実とのギャップ!


痛い。

ものすごく痛い。


かくいう私は重度のアハ依存者である。


いや。

アハ依存者であった。



高速回転をしているコーヒーカップを、逆回転させるには。

中央にある回転盤を、逆回しにすればよい。

のだが。

高速回転している盤を逆に回すのは、物凄く大変。

まず一度、回転自体を止めて無回転にしない事には、逆に回すことなどできないのだ。


回転を止めるのには、物凄い力と根気がいる。

グググッと力を入れて、盤を抑え込む。

せっかく苦労して回していたものを止める、一抹の悲しさがある。

ゆっくりと回転が緩まり、周りの景色が見えてくると、高揚感は落胆に変わる。


そして、しっかりと一度停止してからようやく、逆方向に回し始められるのだが、盤が重くてなかなかスピードが出ない。


そんなコーヒーカップの操作をしながら、

流れない景色も楽しめて

重たい盤に力を込める瞬間も楽しめて

どんな瞬間も楽しめる。

という事を、じっくり体感するのには、コーヒーカップはうってつけ。


どっちの方向にいつ、どう回すのか。

それを楽しめる。


高速回転する事だけが素晴らしいことではないのだと、コーヒーカップから得るアハ体験(笑)


アハ依存から抜け出すには、

まずは自分がアハ依存である事に、気づく事から始めるのが良い。


開放感たっぷりの屋外で遊べる。

遊園地へ行こう。