夏祭

約10日ぶりにノートを書く。
何を書くか。
そうだ、夏祭りについて書こう。

最寄駅の隣の駅で夏祭をやっていた。
僕が上京してから初めて見る光景だった。
狭い道路のに屋台が立ち並び、何か踊りを踊っていた。
僕はその日はバイトだったので、電車の中から見るしかなかった。
なんて虚しいことだろう。
そんなことはどうでもよくて、上京してから初めて見るその光景が電車越しからでも眩しかった。電車内には今から祭りに参加しようとソワソワしている人が何人かいた。僕の最寄り駅の手前の駅で多くの人が降りて行った。
その軍勢に自分もついていこうと思ったが、夏祭を1人で行くほど肝は座ってない。だから仕方なく諦めた。
逆にお昼から祭りを楽しんで、今から帰る人たちが乗ってきた。満足感に満ちた顔と、夏らしいジメジメとした肌が何とも気持ちよかった。
小学生何人かと家族が入ってきた。
小学生は自分達だけで行動することに、ちょっとした冒険を終えたような充実感がある。家族は5歳くらいの子供と両親。この子も成長したら、小学生達のように冒険をするのだろう。

最寄り駅に着いたら、少し祭りの屋台の香ばしい匂いがした。
それから浴衣をきた家族連れや、親戚で来ているらしい人達がいた。久しく夏祭に行っていない。最後に行ったのは高校1年の時だったかも。
地元の夏祭は花火大会だった。屋台が並び、浴衣をきたカップル。僕は残念ながら彼女と行ったことはない。そこは寂しいが、友達と見る花火も、彼女と見る花火も綺麗なのは綺麗だ。最寄り駅の祭りの匂いを嗅いだ時、懐かしくなった。
花火大会では先輩に会うと少し気まづい。普段はイキっている先輩が同級生にしかされないイジられ方とかをしていると急にこっちが恥ずかしくなる。
だが、僕達と会った瞬間、またイキった先輩に戻るのだ。先輩も大変だ。
その地元で何故か色んな地域に名前が知られている奴がいる。そういう奴を見つけては、「え、あれって⚪︎⚪︎⚪︎じゃん。」と言う。この何とも地方らしい特性は今でも残っているのだろうか。
そういう奴は大体イカつい。なんでそういう奴は型があるのだろう。量産型みたいにいる。そういう格好をすれば色んな地域で名が知られるようになるのか。
そして、中学生は花火大会で気になっている女子と何かが起こる。ノリで電話をしてみたり、話しかけてみたり、これもまたノリで2人きりにされる。時にはその女子の部活の先輩から話しかけられる。
誰だお前はと思う奴もいるが、嬉しいので話してみる。
高校の時はクラスのマドンナが先輩と一緒に花火大会に行っているのを見かけた。さすがマドンナ。何でマドンナは総じて先輩と花火大会に行くのだろうか。先輩が羨ましい。

すごく暑いのに何故か気持ちい。人混みが苦手とカッコつけて、結局一番楽しんでる。ふりふりポテトを必ず買って、家族分の焼きそばを買う。
花火を見るときは人がいないような暗い場所に行き、カップルの邪魔にならないように息を潜める。来年こそは意気込み、またしても同じ日がやってくる。
こうした悶々とした気持ちを胸に抱えながらまた花火大会に足を運ぶ。そこで見えてくる先輩同士や同級生の恋愛。あそことあそこ別れたんだ、くっついたんだと野次馬が情報を流す。
今考えると、花火大会は社交界のようだ。誰が誰を狙っているのか、誰と誰が別れたのかはっきり分かる。そうした世界から外れた僕は何なのだろう。
今年は社交界に参加したい。

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