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「ママがいい! 母子分離に拍車をかける保育政策のゆくえ」を読み始めた。

元埼玉県教育委員長の松井和さんの著書、
「ママがいい!母子分離に拍車をかける保育政策のゆくえ」を読んでいる。

読み始め30ページで、涙が止まらなくなって今、休憩中。

実はこの本、読み始めるのにかなり勇気がいった。
ずっと気になってはいたが、内容が今の自分にとってはなかなかヘビーそうで、躊躇してしまいなかなか手を出せずにいたのだ。今日、お散歩途中に昼寝してしまった息子を抱っこしながら、ようやく覚悟を決めて本屋でこの本を手に取ることができた。

「ママがいい!」という、今の時代なかなかセンセーショナルな表題。


平成二十年(2008)、新待機児童ゼロ作戦に「希望するすべての人が、子供を預けて働くことができる社会」を目指す、と書かれた時、当時私の講演を依頼してきた保育士たちは「希望するすべての子どもが、親と一緒にいることができる社会」を目指す方が自然で、本当の待機児童ゼロ作戦ではないのか、と言って違和感を覚えていた。

(中略)

「保育所に入りたい待機児童」はいない。0、一、二歳児は、母親と一緒にいたい。それにすべて応えることはできないのだが、政府が意図的にその意に反する政策を進めていけばどうなるのか。その答えはすでに出ている。仕組みの整備が大人の都合で進み、弱者の存在感が薄れていく。

「ママがいい!」松居和



このページ、涙がとめどなく溢れ出る。


昨年4月、生後8カ月の息子を保育園に預けて仕事に復帰した。
青天の霹靂だった。

地方に移住し、お互いの実家もすぐに頼れる距離にはなく。
そんな中での初めての子育て。
嬉しいこと楽しいことは数え切れないほどたくさんあった。
夫も精一杯頑張ってくれて、口には出さないけれど、きっと本人の中で無理に無理を重ねた結果、体調を崩し、仕事を退職することになった。

1歳にもならない我が子を保育園に預けて働く選択肢は私にはなかった。
でもそうせざる終えなくなった。


生まれてからずっと、ありがたいことに母乳でなんとかやってこられて、彼にとっては母乳だけがライフラインだった。
そんな彼に突然、ミルクを飲ませる練習をしないといけない。
口をむっと閉じて哺乳瓶をくわえようともしない。
そりゃそうだ。だって目の前には当たり前のように飲んでいた乳があるんだもの。

彼からはものすごく強い意志を感じた。
胸が張り裂けるような思いだった。

保育園の担任の先生から「もう少し練習してみてね」と言われるたびに、車で一人泣いた。

私だって母乳をあげたい。
彼だって母乳を飲みたい。
私の身体だって母乳を生み出そうとしてる。

こんなに需要と供給がマッチしてるのに、どうして叶わないんだろう。

あの頃の張り裂けそうな胸の痛みと、心と体がバラバラでめちゃくちゃな感覚は、息子が2歳になった今も時々フラッシュバックしてくる。

息子よ、ごめんね。って。

ずるずると2歳の誕生日を迎えるまで私の決心がつかず、彼が求める朝晩2回は授乳が続いた。償うような気持ちすらあった。
「もうあんまり出ないのよ」って何日か言い続けていたら、あっさり彼は求めるのをやめた。
彼の中では、もうすでに次の階段にあがる準備は出来ていたみたい。
成長できていなかったのは、私の方。

でもこの経験は、ちょっぴり私の肩の荷を降ろしてくれた。

「もう出ないのよ」ときっかけを提示したのはこちらだけれど、
執着せず、自分からおっぱいを求めることをやめたのは、彼自身。

あの頃の傷がいつの間にかかさぶたになっていて、息子に綺麗に剥がしてもらった感じがあった。

「一緒にいたいのに叶わない。」
それは本当に身体が引き裂かれるような思い。
きっと母として動物的な反応でもあるんじゃなかろうか。
「あゝ私って動物なんだな」ってその頃痛いほど感じていた。


その渦中に、誰かに苦しさを吐き出せていれば、こんなに引きずることもなかったのかもしれないけれど、その渦中は、ポロリと本音が転げ落ちたら他の全部もゴロゴロボロボロ流れ出て無くなってしまいそうで、必死に必死に、弱音や不安の出口を塞いでた。

誰にも言わず、自分が頑張れば。大丈夫。
私が大丈夫って笑っていれば大丈夫。
実際なんとかなっていたし。
アドレナリンでまくってたんだろうな。笑
ランナーズハイというか、産後ハイがずーっと続いていた。


話がかなりそれたけれど。

この本の中では、様々な現代の社会構造の落とし穴というか、闇というか、
問題提議が続く。
保育の現場で働いてきた中で、ひしひしと感じてきた違和感、危機感。
息子が生まれてきてくれて、子育ての当事者となって、改めて「これって本当に子どもにとって最善なの?」と疑問に思う場面が日々本当に多くある。
でも実際のところ、全然動けなくて、八方塞がりな感覚が苦しい。

本当にこの国の子どもたちの育ちが心配になる。

一方で、心の底から子どもたちの最善を思って、日々尽力されている方々が多くいることも見ているし、励まされる。それでも社会は良くならないのか、という無力感に襲われそうになるけれど、でもやっぱり私も、そっち側の人間になりたい。

子育てって喜びだよね、って周りの人たちに沢山支えてもらって、すくい上げてもらってきたから、これからは私も支える人になりたい。

まだ全然読了できてないのだけれど(笑)
最初30ページで感じた思いを忘れぬように、綴っておこう。


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