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ポル語のaは5種類の音があります【YouTube投稿のお知らせ】

YouTubeに新しい動画を投稿しました。
今回は「aについて」です。

あくまでも「私調べ」ですが、発見してしまったからにはお伝えせずにはいられません。

「開口音と閉口音は知ってる」とおっしゃる方がいるかもしれませんね。
逆に「nasal(鼻母音/鼻音)の母音は全て閉める」 ということを知らない方は結構いらっしゃいます。
今回メインでお話ししているのは、「閉め気味の開口母音」です。

開けるのに閉めるの?

という疑問があると思いますが、そうなんです。
基本的に、アクセントがないaの発音時に発生しますが、
教科書には書いてありませんし、辞書の発音記号にも表記がないため、
ほとんどの方が知らないと思います。

何が起こっているのか

どうやら、

◤アクセントのある音節が強調され、
アクセントのない音節が強調されないようにするために、
アクセントのないaは、[a]よりも少し弱い[ɐ]寄りで発音して、
言葉全体のリズムを維持する◢

ために起こる現象らしいです。
私は初め、「母音弱化(弱母音)かな?」と考えたのですが、どうやら弱母音ではないようです。
(ポルトガル語の弱母音は、eとoだけです。)

5種類のaを簡単に紹介

発音記号と一緒に、5種類のaを紹介します。

1、普通の開口音a[a]

アクセントのあるaです。
ほとんどの方がイメージしている開口音のaですが、
日本語の「常識」で発音してしまうと
全然開きが足りません。

2、閉め気味の開口音a[a]

今回の動画のメインの話です。
「開口音なのに閉める」という矛盾がありますね。
開けすぎてもダメだし、閉めすぎてもダメ。
微妙な開きを要求されます。

特に日本人の口は全然開きませんので、
「閉じて!」と言うと、めちゃくちゃ閉じてしまいます。
「ちょっと歯の隙間を見せるくらい」開きますが、
前の母音や子音を言い終わったあと、口の形が戻って来ないままaを発音したり、
加減が分からずなかなか開いてくださらない生徒さんが多いのが現状です。

3、m,n,nhの前のa[ɐ]

camaなど、鼻音(子音のnasal)の前にあるaは、閉めるaになります。
2の「閉め気味の開口音a[a]」とは違い、こちらは「閉めるa[ɐ]」です。

4、nasalの ã [ɐ̃]

「nasal(鼻母音)は全て閉める(閉口音)」
知らなかった方は、今日から練習してみましょう。
“m,n,nhの前のa[ɐ]”との違いは
~ tilがあるかないか→「鼻に通す息の量」だけであって、
口の形は同じです。

5、-alのa[ɑ]

後ろにlがある時のaで、舌の後ろが盛り上がります。
これはーalと発音すると自然に形ができるので、
そこまで意識しなくていいと思います。

1つの単語の中に複数のaの発音

これだけの種類がありますので、1つの単語の中に複数のaの発音を使い分けなくてはいけない場面ももちろんあります。
動画内では、
abandonar [ abɐ̃do ́naɾ ]「見捨てる」
という単語を例に解説しています。

最初のa… 閉め気味の開口音a[a](2番)
2番目のa… nasalのã [ɐ̃](4番)
3番目のa… 普通の開口音a[a] (1番)

学者さんによって解釈が様々

「せめて発音記号には書いておいてよ」
と、私も感じました。
しかし学者さんによっては、
「閉め気味の開口音a(2番)は、閉口音[ɐ](3番)と表記すべきだ」
とおっしゃっている方もいるそうです。
まあ、ラテン語やポルトガル本国からの流れや、
他の国のポルトガル語との兼ね合いもありますので、
「定義されない(できない)こと」もたくさんあるのかなぁと考えています。
(実際、議論が何年も進まず、曖昧なまま残されている議題もたくさんあるそうです。)

それに比べて日本語は、ほとんどが定義化されたり、言語学や音声学を以て理論的に説明できる言語だなぁと感じます。

動画の紹介

今回投稿した動画は、

▶︎5種類のaの紹介
▶︎「閉め気味の開口音a」のやり方
▶︎それぞれの口元のアップ

などを動画でまとめてあります。
特に口元のアップはお役に立つのではないかと思います。
短くまとめたショート動画も載せておきますので、どうぞご活用ください。

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✼••┈ A sua professora ┈••✼
꧁愛マリアンジェラ꧂

著書
『日常ポルトガル語会話ネイティブ表現』(出版: 語研)
※共著

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