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営業マネジメントを整える(営業支援アプリの選び方)④

営業マネジメントを掘り下げながら、それぞれのマネジメントレベルで営業支援アプリに必要な機能が何かを示していくことで、いろいろ考えるヒントにしたい、というシリーズ記事の第4回です。

前回は、案件が受注に向かっていく流れを見ていく「パイプライン管理」について確認しました。

恒例のフロー図

今回は、個別の案件や、営業担当者の活動にフォーカスした営業マネジメントである、営業活動管理について考えてみます。

そもそも営業活動とは

このシリーズ記事の最初の方で、営業活動は事業の「to be(ありたい姿)」に近づく活動と書きました。事業活動のすべてが、「as is(現状のまま)」と「to be」とのギャップを埋めるための活動なのですが、特に営業活動と言ったときには、顧客に変化を生み出す活動を指すことが多いと思います。

この「変化を生み出す活動」というのは、顧客に、新しい価値の必要性に気づいてもらって、こちらが提供できる製品・サービスを活用してもらうことで、顧客の事業や生活をより良くしていくということです。それが実現するためには、以下のようなことが重要になるはずです。

  • 適切な顧客とコミュニケーションできているか

  • 適切な情報や支援を提供できているか

営業活動管理というのは、この2点のマネジメントと言えます。

自分たちの事業だけでなく、顧客の事業の「to be」も実現する活動へ

誰に会えているか

まずは「適切な顧客とコミュニケーションできているか」という点です。これをマネジメントするには、営業担当メンバーの活動予定と実績を把握する必要があります。

営業を担当している人は誰しも、お客さんに会っていないと不安になります。いつも席に座っていると、ちゃんと営業活動をやっていないと怒られるのではないか、というプレッシャーもあります。そのため、やみくもに会える人に会っているだけになっているケースがあります。

事務所にこもっているより、誰かに会っている方がマシだ、という考えもあるのですが、誰でもいいから会って話をするというのは「適切な顧客とコミュニケーションできている」のとは違います。営業戦略にのっとった営業活動になっているか、ということが大切になります。

例えば、新規事業で提供する製品が、食品スーパーに適しているのではないか、という仮説のもとに、スーパーマーケットのバイヤーを対象にしていく営業戦略を構築しているならば、他業界の人とばかり会っていても、仮説検証すら進まないでしょう。

誰と会えているのか、というのを、営業担当メンバーそれぞれのスケジュールから確認していくことが必要になります。もちろん、そのためには、そもそも営業戦略があるのか、営業チームとして意識できているのか、ということが前提としてあります。チームとしての戦略が共有されていないのに、この顧客ではなく別の顧客に会いに行け、などと指摘しても、言われた側は納得できないことも多いでしょう。

会って何をしているのか

営業担当メンバーが、もし適切な顧客に会えているとしたら、次に、その顧客に対して「適切な情報や支援を提供できているか」という点が重要になってきます。

顧客の事業や生活が、より良くなるために、必要なことを一緒に考えて、その中で新しい情報や考え方を提示し、変化に向けた気づきを生み出すのが、営業活動の第一歩です。そして、その気づきをスタート地点として、具体的に変化を生み出すまでの道筋を作り上げていきます。顧客側で、組織としての意思決定が必要な場合には、他の関係者に情報が伝わりやすくなるように、説明資料などを提供することもあるでしょう。

営業マネージャーとしては、個々の営業担当者が、重点顧客に対して、適切な情報や支援を提供できているか、を確認していきます。例えば、訪問時に話した内容や、提示した資料、見込み客の反応に対して営業担当者がどう対応したかなどです。もし不足することがあれば、それを補うように支援していきます。

マネージャーと担当者のコミュニケーション

かつての企業の営業部では、日報や週報、そして週に1回の会議などで、営業担当者がそれぞれの活動状況を報告しているケースが多かったのではないでしょうか。それで上述のようなことをマネージャーが把握し、メンバーを適切に支援できている営業チームがある一方で、上手く情報共有と改善のサイクルが回っていないチームもあったと思います。

目標と実績のギャップは、リアルな営業活動によって変化を起こして埋めていくしかありません。そうであれば、マネジメントとしては「ギャップを埋めろ!とにかく頑張れ!」という声がけだけでは不十分です。今どのような活動をしているのか、今の活動をやめて別のことをすべきなのか、今の活動を強化すべきなのか、どんなアイデアがあるか、といった議論のリードや助言をしていく必要があります。

そのとき、週に1回、隔週、月に1回などの会議をベースに改善サイクルを回そうとすると、次の会議で報告すればいいや、来週相談しよう、指摘しよう、などとなって、どうしても情報共有とアクションが遅くなります。

なので、営業支援アプリで、ほぼリアルタイムに情報が共有されて、それをいつでもマネージャーが確認できると、改善への動きを早く取れるようになります。さらに言えば、担当者とのコミュニケーションも、営業支援アプリ上だったり、社内SNSだったりでできれば、チーム全員が外出していながら、その日のうちに改善サイクルを回すことだってできます。

ここで必要になる営業支援アプリの機能

  • 担当メンバーの活動予定と実績を確認できる

    • カレンダーで重点顧客への活動がマークされて、すぐに見分けがつく

    • 一定期間接触できていない顧客を顧客群ごとにリストアップできる

  • 案件ごとの個別の活動詳細を記録して、あとでその情報にアクセスできる

  • 社内SNSとの連携が簡単にできる

営業担当者が自分の営業活動を、予定から実績まで、できるだけリアルタイムに詳細に記録しておくことで、いつでも全メンバーの行動を知ることができるようになります。それが改善サイクルを回していくために、とても重要です。そして改善サイクルがスムーズに、かつ、素早く回るために、営業支援アプリが役に立っている、という状態が理想です。

今回書いたような営業活動管理ができるようになれば、個々のメンバーの営業力をアップすることにつながりますが、それだけでなく、組織的に営業力を高めていく動きも取れるようになります。次回は、データ分析的な営業活動の改善について、考えてみたいと思います。

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