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職業人としての最初の岐路(十年目くらい)の時期のメンティに起こりがちなこと

 30代に差し掛かると、多くの人が仕事の面でも私生活の面でも新たな挑戦や選択を迫られることが増えてきます。職場での経験やスキルが蓄積され、リーダーシップを発揮する場面も増えてくる一方で、自分のキャリアパスについて悩むことが出てくるでしょう。この年代は、今後のキャリアをどのように形成していくか、深く考え始める重要な時期です。特に、専門職としての道を極めるか、それともマネジメントにシフトするかといった大きな決断を迫られることが多いです。

 以下に紹介する渡辺三枝子と平田史昭の共著「メンタリング入門」では、30代のキャリア形成についての具体的な悩みや考え方が詳しく述べられています。この書籍は、日経文庫から2006年に出版され、多くのビジネスパーソンに読まれてきました。ここで紹介する一節は、特にキャリアの方向性について考えるこの年代の特有の悩みや状況を描写しており、同じような悩みを抱える読者にとって非常に参考になる内容です。

以下引用

この年代は、仕事も十分にでき、職場ではリーダーのようなポジションで活躍もできている時期です。しかしながら、メンティは一見充実感を味わっているようであっても、これから先を考えたときに、現在の会社や組織の内外でどのようなポスト、分野でキャリアを磨いていくのか悩む時期です。
 専門性を深める専門職のような働き方が向いているのか、それとも一つの分野を極めるのではなく、人材や資源を活用し、成果をあげる組織マネジメントを志向するのかといった方向性を検討する時期といわれています。
 自分の専門性は何かを考え、この先どのような経験をしておくべきなのか、どこで経験するのが最も失敗が少ないのか、将来を考え、組織内に留まるか、転職するか、市場価値を高め続けるには、どのようなキャリアが良いのか迷い、考える時期です。
 リクルートワークス研究所の調査によると、この時期の転職意向内容として、賃金水準や勤務条件に対する不満もありますが、現在の評価や将来性と自分自身の専門性を磨くことにも関心が高い様子が見てとれます。
 この時期はまた、結婚し、子供が生まれ、夫婦間の家庭での役割について考えさせられる時期でもあります。ワークライフバランスを考え、仕事と家庭の両立といった問題への対処も求められます。家族が増えたために家を購入したり、子供が進学したりといった家庭のための現実的な出費が増える時期です。そのため、自分自身の可能性が急速に限定されたように感じることもあります。そして、現実的なキャリアの選択と「制約条件がなかったら」と理想的なキャリアの選択にも悩む時期です。

以上引用

出典:渡辺三枝子・平田史昭
   日経文庫「メンタリング入門」
   日本経済新聞社 2006年

 この引用部分からも分かるように、30代はキャリアにおいて非常に重要な時期です。専門性を追求するか、組織マネジメントを目指すか、どのようなキャリアを選択するかは個々の価値観や目標によって異なります。また、家庭とのバランスを取るための現実的な問題にも直面します。これらの課題を乗り越えるためには、自分自身の強みや市場価値を見極めることが不可欠です。

 「メンタリング入門」は、こうした時期におけるキャリア形成についての具体的なアドバイスを提供しており、読者が自身のキャリアパスをより明確にする手助けをしてくれます。特に、今後のキャリアをどう設計していくかについての悩みを抱えている人々にとって、この書籍は貴重な指針となるでしょう。職場での役割や将来のビジョンについて再考する際には、この本の内容が非常に参考になること間違いありません。

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