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仕事や組織に慣れた時期(三年目くらい)のメンティに起こりがちなこと

 現代社会において、仕事や組織への適応が進む中で、多くの人々が経験するのが「迷いと停滞」の期間です。これは、一定の業務能力を獲得し、自身の役割が明確になるタイミングで現れます。特に、仕事の与えられ方やその自己裁量の度合いが変化することは、メンティの心理状態に深刻な影響を与えることがあります。

以下引用

 この時期は、仕事や組織、社会人生活の慣れからくる「迷いと停滞」が起こる時期です。
 仕事もひととおりできるようになり、組織全体のなかでの自分の仕事の位置づけが見えてきます。そのため、この時期には仕事の任され方に変化があるかどうかが、メンティの心理状態に影響します。
 例えば、仕事の与えられ方を考えてみます。これまでは、仕事や目標、やるべきことは上司や周囲の人、先輩から用意されてきているはずです。しかし、この時期のメンティは、いままでよりももう少しレベルの高い仕事をしてみたくなり、自分自身の判断で仕事をしたい、任されたい欲求も高まります。そのときに、これまでと同じように仕事のやり方、手順までもが用意されている場合には、メンティはその仕事、上司や組織、事業が物足りなく感じてしまうでしょう。
 一方で、周囲の期待が高まり、どんどん主体的に仕事をつくり、仕事の進め方も自己裁量で成果をあげていくことを期待され始めた場合には、メンティにはとまどいが生まれがちです。何を考えたらよいかわからなかったり、自分の思っているようには成果があがらないことに焦りを覚えたりするでしょう。この時期のメンティは、こうしたとまどいと成長欲求が綯い交ぜになってくるようです。
 また、ほかの会社、組織、仕事のほうが、いまの自分がやっている仕事や組織よりもよく見える時期でもあります。組織への限界を感じ、自分自身への限界を感じたり、同期との差を感じ始めたりする時期です。隣の芝生が青く見え、ほかの会社に行けばもっと自分の個性を伸ばしてもらえる、違う分野で自分の能力を花開かせてもらえるのではないかといった、環境を変えることによって、さらに自分自身の成長余地が生まれることを漠然と期待しがちな時期でもあります。

以上引用

出典:渡辺三枝子・平田史昭
   日経文庫「メンタリング入門」
   日本経済新聞社 2006年

 一方で、自らの成長を求める気持ちと、環境の中での位置づけに対する不安が入り混じるこの時期は、特に重要です。周囲の期待や比較対象としての他の組織や仕事の誘惑もある中で、メンティは自らの能力を最大限に引き出し、成長の機会を探求することが求められます。

 このように、渡辺三枝子・平田史昭氏の『メンタリング入門』から、仕事と成長に対する洞察を深めることができます。

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