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城山文庫の書棚から014『Project Management 進化論 CCPM』後藤智博他 2022 プレジデント社

「なぜ、プロジェクトには"余裕"がないのか?」第一章のタイトルである。
少なくとも私には、この第一章のタイトルだけで本書を読み進める動機となった。

本書はマネジメント層とプロマネ層の悩みリスト や プロジェクトスケジュールの描き方、プロジェクト進捗時のスケジュール変異に伴う対応方法などが実践的な事例と共に詳細に記載されているため、現実のプロジェクトにおいても大変参考になる内容となっている。

例えば、スケジュール管理手法は、CCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)がプロジェクトマネジメントには最適であると紹介されている。よく比較されるCPM(クリティカルパスマネジメント)との違いは、同時実行タスクの減少を行うこと や バッファを各タスクに取るのではなく、プロジェクト(orプロジェクト内の大きなタスク)の最後に集約する等の点である。また、プロジェクト進捗管理については、プロジェクト管理上、進捗率の共有は無意味で残日数を共有すべきと明確に回答がある。進捗率は過去の報告であり、未来へ進むプロジェクトには何の意味もなさないためである。

これらは全てプロジェクトには付き物の「不確実」をどうコントロール・マネジメントすべきか、に基づき記載されており、プロジェクトを進める一助になりそうだ。

本書終盤には、上流プロジェクトのプロジェクトマネジメントについても触れられている。
「詳細な計画工程を作らずに計画する方法」で進める、所謂、アジャイルの紹介だ。
アジャイルとは、仕様確定後の実行や品質確定ではなく、一定の短期間で仕様検討・設計・最終テストを繰り返し、変化に柔軟に対応できるとされる手法である。

締め括りは、プロジェクトマネジメントを組織に定着させる秘訣についての考察があり、定着できない組織の問題点や組織への定着方法が紹介されているため、大変参考になる。


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