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電気自動車乗りになって気付いたこと

軽自動車なら200万以内という値段は何故?


2022年前半に三菱と日産から軽自動車のEVが発売される予定です。
三菱は世界初の量産電気自動車であるIーMiEVを2009年9月よりリース販売にて発売開始し、2021年に販売終了してからの再チャレンジモデルという位置づけになっているみたい。

このアイミーブ、一般発売開始は2010年4月1日で10kWhのバッテリーを積んで、398万円でした。

iーMiEV 出典 wikipedia より

この間に三菱自動車は、もう一つの軽EV商用車のモデル。ミニキャブMiEVを2011年12月8日より発売開始しています。最安モデルが、10.5kWh電池で240万円、一番高いモデルで297万円(多分16.0kWhモデルの急速充電付き)だったそうです。

ミニキャブ・MiEV 出典 三菱自動車HP

当時のプレスリリースによると経済産業省の補助金を利用すると、「実質的な車両本体価格が「CD 10.5kWh」で173万円から、「CD 16.0kWh」で202万円からとなるよう、お求めやすい価格に設定した。」とあります。

そして軽トラックの電気自動車「MINICAB-MiEV TRUCKミニキャ
ミーブ トラック)」が、2013年1月17日に発売開始。 価格は急速充電機能なしで185万8000円、急速充電機能ありで191万500円。(いずれも税込)

私はこの軽トラック急速充電付きモデルを、2014年5月に法人リースで導入しました。

ミニキャブMiEVトラック

この時100V電源取り出しのために、2012年1月に発売されたばかりのMiEVPowerBox(当時税込149800円)も一緒に導入しています。

出典 三菱自動車HP

下記がパワーボックスのプレスリリースになります。

今もそうだけれど、リース契約だと経済産業省の補助金は購入者に入金されずリース料に反映することになっていますから、どのくらいの補助金だったか定かではないけれど、電池容量が少なかったので25万円程度だったはずです。

何が言いたいかというと、

10年前も、今回も補助金後の価格は200万円

に設定されていたという点では、何ら状況は変わっていないということ。
変わったのが、電池容量が10kWhが倍の20kWhになったということ
安全装備が増え、内装や、ナビなど豪華になったという点でしょうか?

いずれにせよ、10年前のミニキャブMiEVトラックは、市販されている最安の電気自動車だったということなんです。

さて、皆さんは

10kWhしかバッテリーを持たない電気自動車の使い勝手


をどう想像されるでしょうか?

当時のカタログによるとJC08モードで 満充電で110km走行できる性能でした。

現在主流のWLTCモードだと8掛けくらいですから、88kmくらいですね。
実際春から秋にかけてエアコンをかけなければ、平地巡行でそのくらいの距離を走れます。
というよりも実際に電気残量がゼロになるまで走らせることはありませんので、実質60kmも走れば充電します。

このカタログにみられる充電時間を見てください。
普通充電4.5時間で満充電
急速充電約15分で8割充電されます。

電気自動車購入にあたって、作業小屋の横に、普通充電器を設置しましたので、自宅と、作業小屋と2か所で充電できるようにしました。

NPO南アルプスファームフィールドトリップ充電施設

1日の作業が終わったら、充電開始すると、概ね2時間くらいで充電終了してしまいます。NPOや私の経営する農園はある程度分散していますが、そうは言っても、片道5k圏内を移動する程度ですから、軽トラックなら1日20から30kmの移動です。その程度の移動距離なら、それほど満充電にsるのに時間はかからないのです。

つまり

軽トラックと電気自動車は相性がいい。

惜しむらくは、何度か書き込んでいますけど

4WDを設定しなかったこと

これが売れなかった第1の敗因です。
この車で走り回って何度農家のお年寄りから声をかけられたことか・・・

なんか商用車は安くなきゃ!とかいう記事も何度か目にしたことがあるのですが、実用に使うのですから、値段がありきではなく、仕事に使えるかですよね。

で、私の使い方では、たまたま農場が平坦地が多く、土壌もぬかるむような土質ではないですし、4WDの軽トラはほかにもありますので、「絶対に4WDでなくてもなんとかなった」のでそれほどのデメリットではないのですが、軽トラを1台しか購入しないならやっぱり
「4WDは必須。」です。

あと皆さん電気の値段をよくわかっていないのでは?
と感じることも多かったのです。

良く表現される電池容量ですが、この10kWhという単位がよくわかっていない。もちろん少ないより多いほうがいいですけど、これ言うならば、走行距離ではなくてガソリンタンクの容量みたいなものだと思うのですよ。

近頃の軽トラックのタンクは増えてきてはいますが、基本30Lくらい、で、4WDで短距離しか走らない軽トラックの実質燃費はリッター10Kから12km位で、HV燃費のリッター20km以上を期待して購入する農家はほとんどいないと思います。(少なくとも私の周りの農家にはおりません)
だから満タンにして300km走れれば十分。という形ですね
だから、300kmくらいの航続距離を考えると
バッテリーは30kWhクラスはなけりゃダメだよね
みたいな発言が出てくるのではないかと思うのです。

その発言は、中距離以上の移動を前提とした車の使い方であって、我が家の農薬散布機も、トラクターも、そんな300kmも移動するためのガソリンタンクは積んでません。それよりも自宅で充電するのに必要な時間のほうが大切だと思うのです。

日本の家庭の電気の電圧は100Vです。これを10Aの電流量で1時間(1h)使用した電力量が1000Wh=1kWhになります。

身近な例で言うと、100円ショップでも購入できる一般的な家庭用の延長コードが危険なく使える電流量が15A(アンペア)くらいで、
それを100V(ボルト)の電圧で使うと1500W(ワット)というのが1時間に使える電力量なので家庭用の100Vコンセントと、電気自動車を15Aの電気コードで繋いで充電すると、10kWhの電池容量の電気自動車なら満充電になるまでにおよそ10kWh≒1.5kWhx6.6時間なので、6時間半は最低かかるということです。

20kWhの電気自動車なら12時間、30kWhの電気自動車なら18時間ですね。これで何がわかるかというと

自動車を充電するコンセントが100Vの家庭用電源だった場合、40kWh(初代リーフの電池容量ですね)以上の電池容量の電池を積んでも、充電するのに24時間以上かかるので、走行に充電地を使い切ると、次の日は使えない。ということになります。

日本の家庭の電線には実際には100Vの倍の200Vの電圧のコードが引き込まれていますから、家庭用の電気自動車用のコンセントは2倍の電圧の200Vコンセントを使えますから、実際には先の半分の充電時間で充電できます

それが
10kWhの電池容量で 3.5時間
20kWhで7時間の充電時間
という電気自動車の充電時間の目安です。
家庭用の普通充電機の出力が3kWモデルが多いのはこれが理由です。
ところが、この出力では、リーフ40kWhモデルを充電するのに14時間はかかってしまいます。これは、自宅に夕方6時以降に帰宅した場合、すぐに充電機で充電を開始しても、次の日の朝8時までに充電が終了しないということです。

だから日産さんの販売店でも、前の日に50%電気が残っていれば、翌朝には満充電になりますよ、みたいな表現になりますし。さらに高性能の倍速充電機能を持った6kW出力の充電機器の場合は40kWhの電池容量でも7時間程度で充電が終了することができますので、リーフを購入予定の方への家庭用の充電機には6kW出力の充電機をお勧めされたりするわけです。

ただし日本の家庭に届けられている電圧は200Vであって倍の400Vではありませんから、6kW出力の高性能な充電機を設置するためには電気の通り道が太い(電流がたくさん流れる)30A以上の契約にしなければなりません。
実際には6kW出力の充電機を繋ぐと200Vx30A=6kWですから、一気に30Aの電流が流れていくので、家庭内でLED電球1個つけただけでも、30Aの容量を超えてブレーカーがあがります。
だから現実的には6kW出力の倍速充電機を繋げる家庭は、契約電流は40A以上の電流でなければ現実的ではないのです。

さて、長々と説明してしまいましたが、
日本では、家庭内に引き込まれる電圧の問題で、

自宅で電気自動車を充電するなら


たとえ電流の容量が大きい6kW出力の倍速充電機を使用しても、60kWh以上の容量を持った電気自動車は10時間以上の充電時間がかかるので(満充電に近くなると電流量が下がるのでもっと時間がかかる。)現実的ではないし
コストの安い3kW出力の普通充電機なら

30kWh以上の電気自動車は現実的ではない

ということです。新型の三菱アウトランダーPHEVの普通充電による満充電の時間が、電池容量20kWhで7時間半となっていますが、
新型の軽EVもこのくらいの充電時間になると思います。

これは、現状深夜の電気料金が安くなる時間帯がおおむね8時間~10時間であることを前提にして、夜間の充電を8時間以内に抑える上で

20kWhの電池容量が最適。

だということですね。
新型アウトランダーの電費は4.5km/kWhくらいなので、電気だけで走れる距離が4.5kmx20kWhで90km位になるのですが、
車重量の軽い軽EVでは倍の9km/kWhの電費になるのと予想されていて、そこから走行できる距離が180km位なのだろうと予想されるわけです

ということで、現状一般家庭向けの電気自動車は、夜間に自宅で充電するという建前を維持し続ける限り8時間x3kWの最高効率を追求しても、電池容量の上限は24kWhまで、(現実的には20kWhまで)あとは1kWhの電力で走行できる距離を表す電費をどこまで伸ばせるかによります。

この電費を伸ばす現実的な方法は、電池の重さを軽くして、さらに車体を軽くして全体的な車重を軽くする。ことで、だからこそ、重い普通車より、軽自動車のほうが有利な部分です。

で、私的なこれからの予想として

日本では、倍速充電設備が増えていく。


と思っています。私はそうしようと思っています。
ちなみにV2H機器は倍速充電ができます。

なぜ急速充電器が増えないかというと、

日本のチャデモ規格は大容量の電池容量を急速充電するには時代遅れの規格になってしまった

からです。日本としては中国の規格と互換性がある新規格に変わっていくのが、一番傷が浅いと思うので、これが自然な流れだと思うのですが、早く日本の規格を修正しないと

日本の電気自動車だけ急速充電規格がガラパゴス化します。

でも普通充電機の規格は日本の家庭用電気の電圧が100Vと産業用電機が200Vという電圧の規格が変わらない限り、わざわざ変更する必要がありませんし、もし、充電コンセント形状が変わっても、コンセントの形を変換するアタッチメントで対応するだけで済みます。(家庭の電圧は変わらないから)
だからこれから10年を見据えた投資をするなら、高額なのにいつ終了となるかわからない急速充電設備の規格より、安く導入できて、家庭の半分の時間で充電できる普通充電器のほうがましではないかと思うのです。

これが、10年間電気自動車に乗り続けてきたユーザーの感覚でした。






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