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小説

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オリジナルです。いつかは短編集を作りたいと考えております。
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#小説

Two guys

Two guys

カツッカツッカツッーーー

 銀杏並木を連ねた静寂なる大道は、昨夜降り積もった雪一面に、初夜の月明かりが反射して、昼のような明るさを模していた。明後日は満月である。

 カツッカツッカツッーーー

 この通りの通行人はこの男女のつがいだけである。うち1人は下駄で足早に歩く大学助教授である。そしてその後を追うようにスノーブーツを履いた女学生が1人。名は玲香。2回生である。一見するとこの2人は各々が個

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道化師の苦悩

道化師の苦悩

ええ、わかりました。できるだけ、端的に言います。僕は何をしていても笑えません。        

 クスリともしないんです。ええと、いつからでしょうか。確か、2年前に仕事を始めてからでしょう。ええ、そうです。仕事を始めてしばらくしてからです。仕事が僕を故障させてしまったんです。

 高校を卒業した僕は母のために仕事に就きました。それまでは国から扶養を受けてました。家には僕と母と一人の妹だけです。で

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