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金髪にして半年過ごしてわかった同質性を守る気持ち悪さ

 すごく明確な主義・主張があったわけではなく、きっかけは「ほんの出来心」というか、その程度のこと。

 いつもちょっと仕事が落ちつく4月・5月。2020年は外出自粛になり、輪をかけて手帳が真っ白に。外に出るのは近所のコンビニかスーパーに行く時のみ。人に会わないのであれば、いままでできなかったことをやってもいいじゃーん・・・金髪にしたのはその程度の理由でした。私の髪の毛は本当に面倒なくせ毛で、この20年、パーマをかけてしまうか、がっつり縮毛矯正をかけてました。ですが、美容師さんからはブリーチをするのであれば縮毛矯正もパーマもやめたほうがいい、と言われ、本当に20年ぶりにくせ毛も復活。ストレートにできないならばいっそのこと、と思いショートカットに。これで20年ぶりに男と間違われ人生も復活です。金髪の上に性別不詳。なかなかの45歳のできあがりです。

 仕事に影響が出たりするんだろうかとか、ちょっとドキドキもしたのですが、なんだかんだで、区役所との打ち合わせ、企業とのオンライン会議、学校との打ち合わせ、学校の授業、某中央省庁の委員会(オンライン)なんかにも、このまま行っちゃいました。もちろん、キャリア教育コーディネーター養成講座も金髪のままです。年に1回しか顔を合わせない税理士さんがびっくりした程度で、それ以外はとくに何も言われることはありませんでした。ていうか、面と向かってなんて、怖くて誰も何も言わないか(笑)もうそんな年齢にもなっちゃったしね。

 そう。

 こんなにすんなり金髪がまわりに受け入れられるのであれば、いままで何を躊躇していたんだろう?という疑問が生まれてきます。

「一般的な中学・高校の校則では禁止されているコトだから」

「一般的な会社のビジネスマナー的にもNGとされるコトだから」

 だから、なんとなく、教育関係の仕事をしていて学校に行くんだから、金髪じゃあダメだよなー、と思っていたのです。

なんだけど、これって、そもそも何がダメなんでしょうね?

 この4月に専門学校生になった姪っ子が髪の毛の色を明るくしたそうなのですが、近所のおばさまにつかまって「黒に戻しなさい」と言われたそうです。象徴的な話だなぁと思いました。「金髪=不良(ダメなやつ)」という先入観が、学校においてもビジネス社会においても、もっと言うなら地域社会の中においても、根強く存在しているという面が間違いなくありそうです。

では、なぜ「金髪=不良」というイメージが定着してしまったのか?

 ていうか、いまどき「不良」って、なんやねん!(笑)なんだけど。髪の毛の色は黒くて、学校では制服をきちんと着ている、という「みんな同じ」への反発を、「金髪」というカタチで主張していたんだと推測されます。黒髪が大多数を占める日本だから起きることかもしれません。

 校則でもビジネスマナーでも、黒髪を良しとしています。しかし、「みんな同じ」からはみ出さないように、同質性を守るためのものが「校則」や「ビジネスマナー」だとしたら、これってすごく気持ち悪くありませんか?

 目立つことはするな。
 まわりの人と違うことはするな。

これにどれほどの意味があるんだろう?

 中学も高校も、校則があってないような学校で育った私としては、管理を目的とした校則に意味を感じたことが一度もなく(先生たちも校則で管理はしなかったし)、さらに「ビジネスマナー」に至っては、それはルールではなく「相手を気遣うためのもの」だと考えていました。であれば、まわりの人と違う髪の毛の色は、誰かを傷つけたりイヤな気持ちにするものだろうか?・・・んなわけない。私が金髪でも誰も傷つかない。これが高校生であっても、誰も傷つかない。だったら、髪の毛の色なんて、なんでもいいじゃないか。

 むしろ、気づいてしまったのは「異質なものは排除したい」という心理が世の中にはあるんだという事実。もちろんそれは自分の中にもあるってことにも。私の金髪は人為的に作ったものだけれど、地毛が明るい色の人だったら?外国人だったら?肌の色が違う人だったら?・・・日本で人種差別の問題がないように見えるのは、日本人に差別意識がないからじゃなく、単に多様性が存在していないっていうだけの理由。そんな中で同質性を守ろうとしていたら、ダイバーシティなんて本当に絵空事なんじゃなかろうか・・・

 そんなわけで、しばらくは意志を持って金髪を継続したいと思います。この髪の毛の色がNGだと言われる仕事現場であれば、手離してもいいんだろうなとも思います。ただし、基本的に髪型を変えるのが好きなタイプなので、そのうち違う色を楽しむかもしれません。むしろ現実的な課題としては、2ヶ月に1回のメンテナンスに耐えうる濃やかさがあるかどうか・・・縮毛矯正の黒髪ストレートは、圧倒的にメンテナンスが楽だったんです(笑)


松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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