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【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】“キャリア教育”は“就職の準備”なのか?

キャリア教育という言葉が世の中に浸透したとは、
まだまだ言えないかもしれませんが、
一定程度浸透した結果、誤解も生まれているのかも、という話です。

<誤解その1>
「キャリア教育=将来の就職を見据えた準備」

という認識が、多いように思います。
ただ、この認識も、間違ってはいません。

<誤解その2>
「キャリア教育=夢を描くための教育」

という認識も、多いかもしれません。
これも間違っていまいません。

ではどこが誤解なのかというと、
いずれの認識も、キャリア教育を構成する要素の一部に過ぎず、
問題は「それが全て」になってしまっている点なのだと思います。
 ※「キャリア教育=夢を描く」の弊害については、
  法政大学の児美川孝一郎先生が
  その著書で非常にわかりやすく解説されています。
    →「夢があふれる社会に希望はあるか」(ベスト新書)

文部科学省の定義では、
キャリア教育を通して育成する力として、
「基礎的汎用的能力」が提示されていますが、
ここで求められる4つの能力を紐解いていくと、
これらはすべて、私たち大人が自身の生き方を探索するものと
全く同じではないかということに気づきます。

●「人間関係形成・社会形成能力」
会社組織に属していても、属していなくても、
人はなんらか「社会」との関わりの中で生きています。
他者と関わりながら関係を作り、自分の場所を作っていく。
地域や家庭も含めて、大人も同じことを繰り返していると思います。
●「自己理解・自己管理能力
社会人として自分の経験の棚卸しをしたりしながら
自分は好き・得意でどんな生き方をしたいのか、
大人も転機を迎えるたびに考えているのではないでしょうか。
●「課題対応能力」
与えられた課題の解決だけでなく、
取り組むべき課題を発見し、解決のために行動していくこと。
これも大人である我々にも求められるスキルです。
●「キャリアプランニング能力」
自分で主体的に生き方を決めて、
在りたい自分を手に入れるために行動すること。
生涯に渡り、取り組み続けることではないでしょうか。

学校教育の中では「キャリア教育」という言葉で語られていますが、
ひとりひとりの人生を自らが切り拓いて行く活動なのだと思います。
もちろん、そこには「夢を描くこと」も、
働き方の選択肢の一つとしての「就職」も包含されています。
ひとりひとりの生き方を作るのだ、と考えると、
「こうでなくてはならない」では対応できない教育活動でもあります。

豊かで、ゆるやかさや寛容さもある教育の場でありたいとも思います。

キャリア教育に関わる大人ほど、
「こうでなくてはならない」呪縛から解放されてほしいなぁ、と。

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松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部社会学科卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factoryを設立。
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