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オンラインではできない”リアルの価値”を探す

学校へのオンライン授業の導入、私は大賛成!です。

学校が再開されたとはいえ、
今後も休校の可能性は残っているわけなので、
学習手段の確保は、いまやっておくべきこと。
また、特に映像配信形式のオンライン授業は、
理解できるまで何度も繰り返し視聴することもできれば、
自分の理解度に合わせて進度を調整することもできる。
インフラ整備にいろいろと課題はあるものの、
それでも得られるメリットは大きいと思っています。

3月の一斉休校後、私もオンラインでの学習方法の
実験・検証・プログラム開発を行ってきました。

ですが。

その一方で、オンラインは対面の代替えではなく、
全てをオンライン化してはいけない、とも思っています。
「リアル」と「アナログ」は捨てるべきではなく、
むしろ、その価値をクリアにし、
オンラインと組み合わせて活かすべき
、と。


オンラインの価値は距離を超えられること

いわずもがな、ではあるのですが、
オンライン学習=どこにいても学べるということは、
地域間の教育格差を解消することにもつながるし、
距離を超えて学べる可能性が広がることになります。
どこにいても、情報や知識を手に入れることができます。

私が行っていた通信制の大学にも映像教材があって、
これもオンラインでできるメリットだなと思いました。
芸術系の大学だったこともあり、
教科書の文字情報だけじゃなくて
いろいろなアート作品を映像で観て学べるっていうのは、
とてもいいなぁと思いました。

オンラインの価値は、場所と時間を選ばず、
より多くの人に良質な知識と情報を届けることができること。

一方で、オンラインでのむずかしさを感じるのは、
グループワークなどの協働活動。
ZOOMなどグループワークができる機能もありますが、
カタチは整ったとしても、
めざすクオリティがどこまで保証できるのか、には、
まだまだ課題が多いと感じていました。

で、そもそもオンラインじゃできないことってなんだろう?
を考えてみました。


「リアルの価値は身体性」という仮説を持ってみた

音楽、特に合奏はそのひとつではないかと思っています。
オーケストラや吹奏楽部による「テレワーク演奏」もありましたが、
ひとつの音声作品・映像作品として仕上げることはできたとしても、
演奏しているプレイヤーにとっては、
リアルな「合奏」とは全く異なるものです。
学生時代に吹奏楽をやっていたのですが、
まわりから聴こえてくる仲間の音のひとつひとつとか、
場と空気を共有してひとつのものを作る一体感のようなものが
合奏ではいちばんおもしろい部分だと思っていて、
それは「テレワーク演奏」では得られないものだと思います。
きっと合唱や舞台演劇も同じでしょうね。

こうした部分は、学校や研修・セミナーでも同じ部分があって、
その場に人がいて、動いていることが見えて感じられるから、
得られることが多いんじゃないかと思います。
例えば、こんなことたち・・・

 ●人間関係をつくること

 ●学び合うこと

 ●協力すること・協働すること

 ●感じること・感性を働かせること

どれも情報の伝達だけではできないというか、
視覚・聴覚以外の身体のいろんな感覚を働かせること
なんかじゃないかなと思っています。

「ソーシャルディスタンス」って、こういう学習の機会を奪っていく・・・
仕方がないこととはいえ、この機会が奪われるのは本当に大きいです。

できる限りの感染対策をして、
なんとかして、この学習の機会は諦めたくないと思うのです。


「紙に手書き」の学習効果もあなどれない

もう一点、「アナログ」について。

もう10年続けているキャリア教育コーディネーター養成講座でも、
当初からeラーニングを導入していますが、
視聴しながらメモできる教材(ノート)もお届けしています。

映像教材は、視聴ボタンを押さないと内容がわからないですが、
 (チャプターがあったとしても限界があります)
紙の資料は「全体をざっと見る」ということができるので、
視聴前に学習内容の全体像を把握しておくことができます。
目で見る、耳で聞くだけでは、
その場限りで流れていってしまうことも、
メモしながらであれば、知識の定着も期待できますし、
紙をあとから「ざっと見直す」ことも可能になります。
こうした反復学習に、紙教材の組み合わせは効果的だと考えています。
  *ちなみに、こんな検証本(by赤堀先生)もあります。
   おもしろかったです。


ただし、いずれも技術が進歩したら、変わるかもしれません。
VRとか、カメラ、プロジェクター、マイク、スピーカーとか、
きっと良いものが生まれてくるはず。
こうした技術の進歩も、未来の楽しみな部分ですね。


松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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