見出し画像

【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】感染症対策によって奪われる学校の活動たち

こればっかりは本当に仕方がないというか、
「新型ウイルスさえなければ」と、切実に思いました。


小学校でアニメ制作の授業のお手伝いをしています。

4人1組で協力してひとつのアニメを作り上げる。
班によっては120枚もの絵を描く子たちもいます。
作品のクオリティも年々上がってきていて、
子どもたちも先生も大人も、みんなが楽しみにしている活動。
学校としては、協働活動をとても大切にしていました。
クラスの中で新しい人間関係が生まれたり、
気づいてなかった好きや得意に気づいたりと、
毎年いろんなドラマが生まれる活動でもありました、

ですが、やはり今年度はこの活動にも制約がかかりました。

各教育委員会が感染症対策の「ガイドライン」出しているのですが、
そこでも「話し合い活動は距離をとって・・・」
というような内容が書かれています。
ですが、制作活動は、話し合い以上に「密」になります。
距離をとっていたら協働での制作活動はどうしてもむずかしい。
子どもたちですから、熱中すればするほど、
距離とか換気とかもそっちのけになってしまう。

先生たちといろいろ考えた結果、
「協働作業」は必要最低限に縮小することに。
同時に、作品の規模感も縮小せざるを得なくなりました。

でも、子どもたちは、
昨年までの先輩たちが作った作品も見てきている。
「もっといい作品を作りたい、表現したい」
という気持ちも持っていて、
でも、その気持ちには応えられないかもしれない、
あきらめないといけないかもしれない、
・・・・そんな状況にもなってしまいました。

もしかしたら、もっともっと工夫ができたかもしれない、
何か方法があったのかもしれない・・・
後から考えたらいろんなことが言えるのかもしれないけれど、
でも、感染症対策が「協働作業」を阻んでいることは
間違いない事実でもあります。

そして、これは、オンラインで代替えできるものでもない。

目の前にある同じものを見て、触って、
いっしょにひとつのものを作り上げていく活動は、
学校というリアルな「場」だからこそできる価値なんだなと、
あらためて感じることとなりました。

もちろん、オンラインツールによって生まれる価値は、
この半年間で私たち大人も実感してきています。
この危機の中で見えてきたオンラインの新しい価値と、
リアルな「場」で得られる価値と、
これを組み合わせたらもっと学びがおもしろくなるはず。

でも、後者は、
感染症対策によってまだまだ、得づらい環境なのだと、
あらためて実感してしまいました。
いちばんもどかしい想いをしているのは、
きっと、子どもたちを目の前にしている先生たち。
感染症対策で仕事も増えていて本当に忙しい先生たち。

「いま」を支えながら、一緒に未来を創っていくために、
キャリア教育コーディネーターもがんばらないと、と
あらためて実感しました。


松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
☆学校を応援する大人のための教育マガジン無料配信中☆
 登録はこちらから。
  https://submitmail.jp/FrontReaders/add/4173
 バックナンバーまとめ読みはこちらから。
  https://note.mu/axfactory/m/m4a777303bd10

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?