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【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】 学びの個別最適化への個人的誤解の解消をしてみた件


先月配信したメルマガでも登場したこちらの書籍。

「個別最適な学びと協働的な学び」(奈須正裕/東洋館出版社)

実はこれを読んで、「個別最適化」について、恥ずかしながらちょっと誤解していた自分に気づいたのでした。というわけで、今回は、「こんな誤解を発見しました」を告白したいと思います。

●AIで「学習進度を個人に合わせること」だと思ってました。

講義型の一斉授業の場合、学習の進度は授業を行う教員にイニシアチブがあることになり、中にはその進度について来れない子、逆に、「遅すぎる」という子もいるかもしれません。特に中高生の教科学習では、実は本質的なつまずきは小学生レベルの分数だった、なんていうこともあったりして、ひとりひとり異なる「つまずきポイント」まで戻って学習しなおしがでいたら・・・なんていうことを私も進研ゼミ時代に考えていました。

経済産業省「未来の教室」で行われているようなAIを活用した学習システムではそれが実現できる!というわけで、個別最適化って、こういうことかー!と理解していたのでした。

●なぜ「教科担任制」なのかがナゾでした。

中央教育審議会では、「義務教育9年間を見通した教科担任制」についての議論もされていますが、なぜ教科担任制なんだろう?というところがなかなか腑に落ちなかったんです。

最新の答申では、コロナ対策もあり、学校の先生の業務負荷がさらに高まっている。その中でさらに大きな変更・・・大丈夫か?と思ってました。(実際、負荷は間違いなくあるのだと思いますが)

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・・・と、私のしていた誤解は以上のようなものでした。

もちろんAIによる学習サポートも「個別最適化」ですが、これだけじゃない、というところが発見でした。

AIが適切な学習コンテンツを提供してくれることは、まだまだ学習者が「受動的」な状態に過ぎない。「学びの個別最適化」の基本スタンスは、学びの主体は学習者本人であり、どんな学習を、どのように計画して進めていくのかを学習者本人が考えて決めていくことなんだということがわかってきました。

さらに、そうして学習者本人が主体的に学習を進めていったら、必要になるのは、学習内容についての本人の状況や興味にあわせてナビゲートしてくれる存在。教師の役割が「教える人」から「支援する人」に大きく変わる、ということなのですね。そうなると、大人の方も教科書の内容だけでなく、その教科・分野についての深い知見が必要になります。より教科の専門家に。ゆえに「教科担任制」ということなのですね。

テストで点数をとることが目的の学びではなく、きっと教科の学びが、学ぶことそのものが、もっと楽しいものになるのではないでしょうか。


松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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