いじめの認定が子どもの成長を妨げていないか?っていう話。

「いじめ」という事象において、もしも、
「加害者」と「被害者」という2つの箱しかなかったとしたら、
小・中学生当時の私は、間違いなく、前者に分類されるはず。
もちろん、ここでそれを正当化したいわけではありません。

議会での教育長の発言がニュースになっている
横浜市での、福島県からの転校生へのいじめの一件。

本人と家族に対しての学校・教育委員会の対応が
充分じゃなかったという問題はあったんだろうとは思います。
教育長の発言も、議会の議事録を確認できていないので
文脈がわからないのですが。

でも、大人の過剰反応も、気持ち悪いなと、
思ってしまったのでした。

この件、
当初のメディアの情報からの私の「なんとなくのイメージ」は、
「制服を着た中学生」のイメージでした。
 (当事者たちが現在は中学生だからなのかもしれません。)

というのもあって、
「150万円ってもはや恐喝じゃん」とも思ったし、
○○菌発言とかも「幼稚だわな」と思ったし、
最初に受けた印象はそんな感じでした。

ただ、単なる印象なので、事実かどうかはわかりませんでした。
ニュースもちゃんと見てたわけじゃないし。

なので、今日、

横浜市会「こども青少年・教育委員会」「いじめ防止対策推進法第28条第1項に係る重大事態の調査結果と再発防止の取り組みについて 」(平成28年12月12日)

を読んでみて、あらためて、ちょっとびっくりしたのが、
(該当ページは15pから「本事案の経過から認定しうる事実について」)

・「150万円」は小学5年生当時の出来事だったこと

・「○○菌」発言は小学2年生当時の出来事だったこと

もちろん、どちらも「だから許される」というわけではありませんし、
ダメなものはダメって、大人がちゃんと言わないといけないです。

でも、「○○菌」って、
小学校2年生、何も考えずに言っちゃうだろうなと思ってしまいました。
7歳とか8歳とかって、そういう年齢じゃないですか?

あと、報告書によると、「150万円」に関しては、
プロレスごっこと称した「いじめ行為」を回避するために、
児童自らが「おごる」という解決方法を選んでしまったらしい、と。
 (調査が正しければ、という前提ではありますが)
総額が150万円になるまでにどれだけの時間があったかと思うと、
親も含めてまわり大人がこれを防げなかった点は、
本当に、やりきれない気持ちになるけれど、
一方で、小5の頭で思いつく解決策だったんだなとも思う。

人を傷つける行為はもちろんやっちゃダメだよ。
子どもであっても、ダメだものはダメ。

でも、なんか、この「いじめ」の議論に関しては、
すごく、モヤモヤするものがあって、
なんていうか・・・
「いじめの認定」って議論に、違和感を感じるんだと思います。

もしも。
自分に小学校2年生の子どもがいたとして。
その子が友達に「○○菌」って言ってたとしたら、
「それはいじめ防止法でいじめと認定される犯罪である」
なんて、言うだろうか?

もしも。
自分に小学校5年生の子どもがいたとして。
その子が友達から多額の「おごり」を受けていたとしたら、
「それはいじめ防止法でいじめと認定される犯罪である」
なんて、言うだろうか?

「いじめと認定されるかどうか」じゃなくて、
「自分が相手の立場だったらどう感じるかを慮る」ってことを
ちゃんと伝えられる大人でいたいなと思うんです。
「ごめんなさい」がちゃんと言えて、
相手を傷つけたのと同じ分、自分も傷つく人であれるように。

子どもは、人としてかなり未熟な存在だと思う。
相手の気持ちを慮ることなんて、できないから、
人を傷つけてしまうという失敗もする。
でも、「いじめ」という枠で整理しようとすることで、
その失敗すら許されなくなるのだとしたら・・・

仮に「被害者」と「加害者」の2つの箱しかないとしたら、
大人は「加害者になるかもしれない成長途上の子どもたち」も
守る必要があるんじゃないか、ということを、
切実に思ってしまったわけです。
「弁護する」という意味ではなくて、
ダメだって伝えることもそうだし、
そこから人を思いやれる人になる支援だって必要。

今回の横浜市の件も、
「加害者」となっているかもしれない子どもたちが
相手を思いやれる子に成長できるように、
それを支えている大人がちゃんといますように・・・

犯人探し・悪者探しで終わらせてはいけない気がしています。
あと、一方で、「いじめ」という言葉を使うことで、
犯罪まで犯罪に見えなくなるという弊害もある予感も・・・

松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部社会学科卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factoryを設立。

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