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2023.1月出会えた映画


こんにちは。
蒼子でございます。

今年から、こうやって一か月に一度その月見た映画をまとめてみて、
新作の大好きな一本と
旧作の大好きな一本をそれぞれ選出するという活動を始めてみようかと思います。

飽き性な女なので、まーいつまで続くかは分かりませんがゆるゆる読んでいただければと思います。

まず、2023年1月映画館で鑑賞できた映画は9本だけでした。

いやー、年始バタバタしててあんまり行けてないですね。

では、とりあえずは 一本一本振り返ってみましょう。

まずは、なんと言っても1月は、シネ・リーブル梅田にて開催されたチャップリン祭りですね!

この素敵すぎるポスター…!

本当は全部制覇したかったんだけど、
年末地元に帰っていたのでなかなかそうも行かず、

キッド、街の灯、独裁者、の3本を見てきた。

チャップリンは、母親が大好きで死ぬほど勧められてたんだけど、トーキー映画ということでモノクロでセリフもないというところに、あんまり面白くなさそうだなあと思ってしまいなんとなく避けてきていた。

でも、やはり「映画好きなんです!」と豪語しているからには映画の原点にして頂点とも言われるチャップリンを見とかないのはいかがなものか…?と思ってみたりして。

ほら、ウォンカーウァイも長らく食わず嫌いしてたけど、去年の夏には夢中になって見てたわけだし…!

まー、見に行くか!

と、腹を括って3枚チケットを買った。

そして、やはりこれがもう、どーしようもなく素晴らしかったのである。

全てシネ・リーブル梅田にて鑑賞

全部良かったし、鳥肌が立つほど感銘を受けたのだけれど、やはり一番感動したのは最後の日に見た「独裁者」。

ヒトラーが存命でまさにユダヤ人たちに対してホロコーストを行っていた時に、
「このヒトラーだけはどうあっても笑いものにしてやらなければならんのだ!」
という強い信念で、稀代のコメディアン笑いを武器に残虐な独裁者と真っ向勝負を挑んだ傑作。

ヒトラーのお得意の演説をこれでもかというほど笑いものにして、
作中全体を包み込む温かな笑いの中にヒタヒタと迫ってくるナチズムの足音。

そして、最後の演説。

2時間の映画でチャップリンが被り続けてきたチャーリーの仮面も、ヒットラーとしての仮面も投げ捨てて、カメラの中の83年前のチャップリンと目が合う。

何もかも投げ捨ててたった1人で、
私たち観客一人一人に言葉を一つずつまっすぐに投げつけてきて、そこには逃げ場がない。

画面の中にはチャップリンその人がめいいっぱいに映し出されて、ここで私たち観客はチャップリンと一対一で向き合わなければならない。

その迫力と、壮絶な眼差しに涙が自然に溢れて止まらなかった。

まさに今、元コメディアンのゼレンスキーと独裁者プーチンが真っ向対決してるこの時代にこの映画を見ているという現実にも鳥肌が立ってくる壮絶な映画体験だった。

映画館帰りに書店で買ったこの本もすごく分かりやすくて理解を手伝ってくれて面白かった。

次に、こちらもシネリーブル梅田にて
『ラストエンペラー』

シネ・リーブル梅田にて

これ、死ぬほどみてみたかったけど見れてなかったやつ。

チャップリンで、「今月はもうあれに勝てる感動には出会えねえだろうなあ」

などと余裕ぶっこいてたら、
頭からぶち抜かれて放心状態になった作品。


中国の清朝の最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の生涯を描いた映画。

言語が英語なのがちょっと残念だけど、
本物の故宮で撮影されたその圧倒的な映像美が凄まじい。

何もわからない幼い頃に母親と引き離されて、
それ以降故宮から一歩も出られず、
皇帝としてしか生きられない最後の皇帝となった男。

それが、愛新覚羅溥儀。

誰の駒にもなりたくなくて、
自らの手で中国という大国を統治し改革をしたいという夢を抱き続け追い求める過程の中で、
運命と時代によって絡め取られ、
いつも誰かに利用され、翻弄されるところから抜け出せないその姿が切なく悲しい。


この曲が流れ始めた途端に映画の中に引き摺り込まれて終わるまでの163分間一切出て来れなかった。

本当に凄まじい映画だった。

この映画を見たことによって、私の「コロナが終わった2023年に行きたい旅行先リストでランキング」の全くもって権威のないランキングで23位だった北京は一気に首位に。

サントラをダウンロードして、大きく息を吸いながら故宮を歩きたい。

絶対に行くからな、北京。

そういう映画でした。

年始から旧作が続きましたが、5本目に見たのがインド映画。

「響け!情熱のムリダンガム」

シネヌーヴォにて

東京にあるインド料理屋さんが、
どうしても日本で上映したくて、はるかインドから買い付けてきて日本で上映してくれた映画。

ムリダンガムというインドの伝統楽器を、
楽器職人の楽器を弾くカーストではない男がその愛と努力と根性で学び、真髄を突き詰めるためにインドの隅から隅まで旅をして、
リズムを奏でる!!

古き良き日本の少女漫画のスポ根にインド映画の陽気なエッセンス。

青春100%の見てて死ぬほど楽しくスッキリする映画だった。

シネ・ヌーヴォでみたんだけど、
この日はこの映画を買い付けて上映してくださったインド料理屋さんの方も来てくださり、買い付けに至った経緯や裏話も聞けてすごく楽しかった。

次に見たのが

またしてもインド映画の
「エンドロールの続き」

なんばパークスシネマにて

インドの映画監督の少年時代の思い出を監督自信が映画化したというもの。

映画を見る喜び、
映画への思い、愛が溢れている映画だった。

去年の9月に公開されたさかなクンの自伝を映画にした「さかなのこ」に近いものを感じる優しくて暖かくて、そこにインドの社会の現実がしっかり乗っかってきていてスパイスとして効いている。

インドには二種類しか人間がいない。
英語が喋れる人間と喋れない人間。
少年よ学べ、学びたければこの街を出ろ。

という学校の先生のセリフには色々考えさせられた。

ラストへの流れと電車の中のラストシーンは本当に鳥肌もの。

夢を追いかけて大好きな家族がいる街を1人で出ていく姿には私も自分と重なるところがあってほろりときてしまった。

そして次の一本はこちら
「SHE SAID その名を暴け」

大阪ステーションシネマにて

大物映画プロデューサー、ハーバーワインスタイン氏による長年のセクハラを、ニューヨークタイムズの女性ジャーナリスト2人が暴く過程を描いた映画。

いやー、これも素晴らしい映画だった。

セクハラというよりももはやレイプのような行いを映画業界に夢を見る数多の女性相手に繰り広げ、その全てを権力と金に物を言わせて封じ込めてしまうワインスタイン。

業界の中に圧倒的な影響力を持ち、
ワインスタインを拒んでしまったという理由で映画業界でのキャリアを奪われてしまう女性たち。

彼女たちは女だからというシンプルな理由で、人生の夢も選択肢も、そして声を上げるための声すらも奪われてしまう。

直接的な性描写がないものの、実際のハーバーワインスタインの音声が映画の中に使われていて、
映画を見ている間に自分も性暴力に晒されるようなショッキングな仕上がりになっている。

単なる実話を記録する映画ではなく、
女性としてキャリアを積み上げ、人生を選択し、生きていくことはどういうことなのか。

そこにどんな壁があるのかをここまでむき出しの現実として突きつけてくる映画を見たのは初めてだった。

まさに衝撃的な映画体験だった。


お次はこちら
中国映画「シャドウプレイ」

シネ・リーブル梅田にて

ロウ・イエ監督の最新作と言われれば行くしかない。
この監督、中国社会の暗部というか中国社会をそのまま描くことに対する姿勢がすごくて、
一回天安門の映画を撮って5年間国内での制作活動の禁止を喰らってるような監督なのである。

そんな彼が、広東省と香港と台湾を舞台に00年代の汚職や腐敗を背景に2人の女と2人の男と1人の少女の人間物語を紡ぎ出す。

役者さんたちの演技は素晴らしいし、
時系列が行ったり来たりすることで私たち観客が迷子になったり、監督のミスリードという罠にハマったり、それが映画が進むにつれてパズルのようにカチカチとハマって主人公の刑事と共に真実にヒタヒタと近づいていく高揚感が最高に気持ちがいい。

見終わった後の余韻もすごかった。


そして、1月最後の映画はこちら
インド映画「RRR」

イオンシネマ心斎橋にて


今めちゃくちゃ話題になってるインドの映画RRR。

去年のシネヌーヴォのインド映画祭りからインド映画ときくととりあえず見にいうようになった私ですが、

これも例にも漏れず本当に面白かった。

物語のあらすじをめちゃくちゃ雑に話すと、
イギリス占領下のインドで、村からイギリス人によって攫われた少女を村の若い男が取り返すためにイギリス人と戦う映画。

そこにかけがえのないパートナーとの出会いがあって、ド派手なアクションがあって、エンタメとして最高に楽しめる作品だった。

間違いなく映画としての完成度はめちゃくちゃに高いし、私も例にも漏れずにめちゃくちゃ楽しんだんだけど、じゃあこれが今月見た中で一番好きな映画だったかと言われたらそうではない。

多くの人がこの映画をみて死ぬほど楽しんでたんだけど、この映画を見てる時私は中国の映画館で抗日映画を観たことを思い出した。

この映画は、クオリティや完成度は中国の抗日映画とは比べものにもならないほどに高い素晴らしい作品だが、そこにある対立構造や物語の展開、
力を倒す更なる強い力の応酬などの構造が信じられないほどに抗日映画と似ているのだ。

この抗日映画を見てしまった経験がある故に、
この純粋な対立構造を描いたエンタメ映画を私自身心の底から手放しに受け止められなかった。

この経験がこの映画を見て楽しむことを阻害してしまったような気もする。

というわけで、めちゃくちゃ楽しみながらも奥歯に何か引っ掛かるようなそんな映画鑑賞になった。

このrrrについては自分の中で何か心のモヤモヤが整理がついたら一度言語化してここに書きたいと思う。

そんなこんなで1月は9本の映画を映画館で見ることができた。

どれも素晴らしい映画だったけど、ここで私が一月最も好きだった映画を旧作から一本と新作から一本挙げておく。

まず旧作からは
「ラストエンペラー」

チャップリンの独裁者と最後まで悩んだけど、
圧倒的なスケール感と単純な私の好みによってこの結果に。

中国映画の言葉にできない胸に迫ってくる遣る瀬無さと切なさと暖かさが混ざり合ったような空気感が好きでこの映画にはそれがしっかりとあった。

音楽も素晴らしくて、大作映画とは映画館で見るとかくも素晴らしいものなのか、と改めて実感させてくれた。


そして、新作からは
『エンドロールの続き』

これも、シャドウプレイと最後まで悩んだんだけど、映画を愛する者の端くれとして非常に胸に訴えかけてくる映画で終始涙が止まらなかった。

フィルム映画という心から愛せるものに出会い、
夢中になり、追い求めて、そしてその自分の大好きなものが時代によって淘汰されてしまうのを見ていた主人公が、その時代の波に飛び込む覚悟をして、変わっていき、大好きな街を出ることを決めるというその流れが本当に悲しくも強くて勇ましい。

映画を愛すること、
映画を見ること、
映画を撮ること、

その全てが「大好きなんだ!」という監督の叫びが聞こえてくるような映画だった。


てなわけで、
年間100本目標のうち只今9%進捗中。

2月も本当に素晴らしい映画に出会っているので、またこの記事を書くのが楽しみです!!

それでは明日からまた頑張りましょう。

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