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バナナブレッドの思い出

甘いもの。一口食べればほっとし、心も和らいでお腹も満たされる、わたしにとってなくてはならない存在である。

先日も、若山曜子さんがInstagramで紹介されていたバナナブレッドがそれはもう美味しそうで、いても立ってもいられず、無我夢中で焼いた。

本来であればバナナは真っ黒に熟したものを使った方が甘くて美味しいとのことだったけれど、どうしても今食べたくて、熟すのを待つことなく、焼くことにした。

材料を混ぜ、生地を型に流し込んでオーブンへ。段々と、バナナの甘〜い良い香りがキッチンに立ち込めてくる。焼き上がるのを待つ間に洗い物をしたり用事を済ませているうちに、はい、できあがり。

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自宅のオーブンの力がちょっと強めだったからか、こんがりとした仕上がりに。早速食べてみると、油分は溶かしバターでコクがあり、しっとりなのに軽い口当たり。バナナの風味が詰まっていて、いくらでも食べられそうだなあ…。

バナナは黒くなる前のものを使ったけれど、その分甘さ控えめでこれはこれで美味しい。ケーキ部分は茶色くバナナ感たっぷり、油っぽすぎずふわっとしていて、この食感は自分の好みのバナナブレッドに近いかも。

やっぱりバナナブレッドって食べごたえがあってお腹も満たされて、美味しいなあ。

そういえば、今まで食べたバナナブレッドで一番好きなのって何かな。

そうだ。東京にあるチェーンのカフェ、アンティコカフェのバナナブレッドがマイベスト・バナナブレッドだ。あの味を、ふと思い浮かべた。


以前東京に住んでいた頃、通勤途中にこのアンティコカフェがあった。スターバックスのようなコーヒーチェーンのお店で、イタリアンスタイルのコーヒーと軽食がいただけるお店だった。

コーヒーは美味しくてボリュームたっぷりの量。軽食はパニーニが常備されていて、注文すると店員さんがホットサンドメーカーで焼いてくださって、アツアツ、カリカリのパンにサーモン、カツレツなんかが入っていて、それはそれは美味しかった。

お店の色は赤が基調で、何となくヨーロッパのカフェを思い立たせるような造りだった。

このお店は、スイーツもとっても美味しかった。

ラム酒をたっぷり使ったナポリ風のババ・ナチュラーレはこのお店で初めて食べた。ラム酒入りのシロップにひたひたに浸かったブリオッシュを頬張れば、シロップの甘さがじゅわっと口の中で広がる。それにアイスクリームをトッピングしたら、疲れも吹き飛ぶわたしの甘い栄養剤だった。

そんなお店のレジの横に、いつもバナナブレッドとバターケーキが一切れずつ個包装になって置いてあった。ちょっと小腹が空いた時や、会社の通勤前、今日は忙しくなりそうだ、という日には決まってバナナブレッドをおやつに買って食べていた。

このお店のバナナブレッドは手の平より少し小さいくらいの割と大きめのサイズで、一切れでも十分食べごたえがあった。

甘すぎず、でもバナナ感がどっしりしていて、ふんわりでしっとりで… 見た目もちょっとバナナの黒っぽい感じがしっかりしていて、とにかく美味しかった。

ある日、アンティコカフェが好きすぎて、ネットで検索してみたことがあった。そして、運営会社はあの美味しいケーキで有名なハーブズも運営されているということを知った。そうか、だからスイーツもあんなに美味しかったんだ!と納得がいった。

他のカフェでバナナブレッドを注文しても、なかなかこの味に近いバナナブレッドを見つけることはできなかった。けれど、若山先生のレシピで作ったこのバナナブレッドを食べて、久しぶりにアンティコカフェを思い出した。

アンティコカフェのバナナブレッドは、わたしの東京時代の記憶が詰まった、思い出のお菓子だ。

あの味を思い浮かべながら、わたしはまた、バナナブレッドを焼くだろう。


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