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中高の科学技術教育に大学院人材を活用すべき理由 (180/365)

私の息子も娘も、高校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)でした。

科学技術人材の育成を目標に文科省が設定したもので、カリキュラムや実績に一定の基準が求められているようです。

特に特徴的なのは、課題研究と呼ばれる活動で、一定期間特定のテーマについて研究し、成果発表を行うという活動です。

教科書に書いてあることを学ぶだけでなく、

テーマ設定
課題の探索
研究計画と実行
まとめと振り返り

というプロセスを一通り体験する点でとてもよい取り組みだと思います。

ただし、大きな問題があります。それは、

本格的な研究指導ができる人材が極めて少ない

ということです。

これは、現在の教職課程の仕組みにも原因があるように思います。多くの教師は、4年生大学の学部卒で教職課程をおさめた人材でしょう。

誤解を恐れずに言えば、課題研究の指導には、少なくとも大学院修士課程、望むらくは博士課程を修了した人材が各校に一定数いることが望ましいでしょう。

息子のSSHは国立大学との連携校で、研究指導力のある先生方が多くいました。また異動がほとんどないので、経験知の蓄積もありよい指導をいただけたと認識しています。

娘のSSHは都立高校だったので、異動も多く経験知の蓄積も十分ではない印象でしたが、幸運なことに担任の先生が、

国立大学の博士課程の現役学生

だったのです。教師を続けながら、博士課程で活動していた極めて稀有な例だと思います。彼の指導が実践的で非常に素晴らしかった。

私なりの提案ですが、修士、博士人材をもっと中高の科学技術教育人材として活用すべきでしょう。恐らくは現行の教職課程の仕組みが妨げになっているかもしれません。

このように考えるもうひとつの理由は、修士、博士人材、特に博士人材の活躍の場が限られているという問題があるからです。これは、受け皿を作らずに博士人材を増やすという施策が失敗しているからです。

直接的な研究開発人材だけでなく、次世代の科学技術人材の育成に教師として関わるキャリアパスがもっと一般化すれば、好循環が起きるものと信じます。

教育関係者の方、ぜひ検討をお願いします。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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