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英国王立研究所の金曜講話ってご存知ですか?(9/365)

英国王立研究所 (The Royal Institution) ってご存知でしょうか?

イギリスで1799年に設立された科学教育の機関です。特に1825年以降ファラデーが始めた金曜講話、子供向けのクリスマスレクチャーが有名で、彼の講演の内容は「ロウソクの科学」として広く知られています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%A6%E3%82%BD%E3%82%AF%E3%81%AE%E7%A7%91%E5%AD%A6

 聴衆は専門家ではなく、教養としての科学に興味を持つ貴族や、子供たちでした。ですので、専門的な講演ではなく、わかりやすく楽しい講演が好まれたのです。いまで言うなら、TEDが近いコンセプトかもしれません。

私が金曜講話をはじめて知ったのは、当時所属していた研究所の大先輩であった飯島澄男氏が、金曜講話でカーボンナノチューブの話をしたと聞いたときです。カーボンナノチューブは炭素で構成された極小の人工物なのですが、それを竹の網かごを使って説明されていたのが印象に残っています。

金曜講話の講演は、研究者にとってとても名誉なことです。多くのノーベル賞受賞者も講演しているとのことです。

先端の科学技術を、わかりやすく、楽しく説明するのはとても大事なことだと思います。現代は、人工知能、量子コンピュータ、ブロックチェーンなど、極めて高度な科学技術に支えられており、これらの意義が正しく理解され、適切な研究投資が行われ、若手の人材育成が図られるようにするためにも、わかりやすく、そして正しく伝えていくことは関係者の責務と考えます。

しかし、最近の風潮として、特に「正しく伝えていく」ことが軽視されていると感じます。政府の補助金や、VCからの資金調達、はたまた自己の名声のために、適切でない表現で意図的に扇動したり、横文字の技術用語を並べて翻弄したりするケースをよく見かけます。非常に残念なことです。

情報発信側の立場としては、時間がかかったとしても、よりわかりやすく、適切に伝える努力が必要ですし、受け手としては真贋を見極めるため、より教養を深める努力が必要なのだと思います。

金曜講話からそんな気づきを得ました。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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