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キネシスとエネルゲイア

キネシスとエネルゲイアというデュアリティ(二元的)な言葉を、
わたしが勝手に日常的に用い始めたのは
いつ頃からだったかもう忘れてしまったけれど、
どちらも、「活動」というニュアンスなのだが、
両者は微妙に意味合いが違う。
 
どこが「活動する」のか。
 
キネシスは、キネシオロジーという言葉にも通じてくるが、
交感神経を通じて、主に筋肉を使いながら活動する様子、反射的に、どちらかというと肉体にひきずられるように活動する様子のメタファとしてわたしは使っている。
また少し、違うイメージでたとえるならば、工場で、繰り返し、機械が同じ作業を何度も何度も繰り返している様子、というとわかりやすいだろうか?
コインランドリーで、えんえんと洗濯物がぐるぐると回転している風景も象徴的だ。


Photo by Florian Olivo on Unsplash
https://unsplash.com/photos/ZEwiaOrRbaI

マトリックスの最新作の冒頭で、日常に取り憑かれ、かつての自分を忘れてしまったネオの象徴として、ランニングマシーンの映像が印象的に描かれていたけれど、あの感じ、とも言える。
 
これに対して、エネルゲイアという定義は、確かシモーヌ・ヴェイユがどこかで用いていたことから閃いたような気がする。
ヴェイユのことは大好きで、書くと脱線しすぎそうなので今はちょっと割愛するが、起源は彼女の造語ではなくて、アリストテレスまで行きつく。
 
わたしのニュアンスとしては、
フンボルトというドイツの言語学者で、
「カーヴィ語研究序説」(1836年)との序論において、
「言語は作品(エルゴン)ではなく、作られたもの、すなわち活動(エネルゲイア)である」
と言っているところからに起源があるように思う。
 
このエネルゲイアという用語は、
わたしが愛読している織田哲司先生の書籍にも出てきたのでわあ、シンクロだととても嬉しかった([人間らしさ」の言語学 P58参照)。
 
言語が、ゆれうごくいのちそのものである、という発想。

この、躍動感あふれる、生き生きした様子は、ミヒャエル・エンデのモモに出てくる「時間はいのちなのです」の、いのちそのもの、とも言える。

日本語に訳される前、ドイツ語での表記では、この「いのち」は「leben」であり、この言葉のニュアンスをしっかり理解することと、エネルゲイアという世界観は、大きな意味でほとんどかぶっているように私は感じている。

ホメオパシーの世界において、治癒とは、バイタルフォースを活性化させるものであり、そのスイッチがレメディであって、治るのはあなた自身のバイタルフォースによるもので、レメディが治すわけではないですよ、という説明がなされることがある。

この「バイタルフォース」は、ドイツ語を英訳したもので、これが基本用語として用いられがちなのだが、もともとは「lebenskraft」というハーネマンが用いた造語であった。

このlebenを理解することはものすごく本質的な話なので、これもあとで別記事で深くつっこんでいきたい。

かたちの「ひとつまえ」にあるものに、想いを馳せる。

そういう様子にこの「エネルゲイア」という言葉の響きがしっくりくる。生き生き揺れ動くいのち、なイメージをかきたててくれる。
あわただしく動き回らないのに生き生きしている。


Photo by Taylor R on Unsplash
https://unsplash.com/photos/clkI9_xcuis


どんな人も、自身の肉体領域と、心の領域、両方を統合しながら生きているのだが、その両方の調整の仕方、統合の仕方は、個人差がある。

どういう風に調整する方がその人にとって心地よいのかは、
違っていて当たり前。

そうなのだが、どんな人も、最終的には、
エネルゲイア領域に強めに軸足がのっかった生き方
をしていく時代に入ってきているのではないかと感じている。
 
「ひとつまえ」をととのえることをわたしは大事にしたいといつも思っているのだけど、
その感じが、相似象(カタカムナ)の世界観において、潜象界と現象界にわけて世界をとらえていたことにも通じてくるように思う。
 
現象界にあらわれたものを、あとから弄り倒しても、もう遅い。

そのみえないひとつまえを感じ取り調整していく力、

それがエネルゲイア的な生き方。


言霊を大事にするということ、
自分の深いところの本望を、できる限り自覚して生きていくということ。
 
別の言い方をすれば、
放っておくとすぐに外からおしつけられる「こうするものでしょう」という外的規範に依存して生きるのではなく、自分の内側からゆらめく、あたたかくしっくりくる、自分だけのプロセスを一歩一歩踏みしめながら生きるということ。
 
なので私は、誰の内側にもあるエネルゲイア領域へのラブレターとして、これを書いている。

キネシスとエネルゲイア、というざっくりとした方向性を見据えながら世界を読み解くと、自分にとっての真実が浮き上がってくる。

そのための道具として、この書き物がヒントになってくれると嬉しい。 

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