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おつるたんが「ひょうたん島水上タクシー」のPR大使に就任しました♪

ある日、おつるたんが西国三十三か所の巡礼の旅から徳島の実家に帰ってくると、入り口に見覚えのないちょうちんと藍染めののれんがかかっていました。
「ここは、どこ…?」
おつるたんが呆然と立ち尽くしていると、建物の中からおねえさんが現れました。

「わたしおつるたんといいます。ここわたしのおうちなんですけど…?」
「ここは『徳島県立阿波十郎兵衛屋敷』というのよ」
「とくしまけんりつ…? イヤイヤ…ばばさんはどこにいますか?」
おねえさんは、不思議な顔をしました。

「私のばばさんがお留守番してくれていたんです」
「ここはたくさんのお客様に阿波人形浄瑠璃を紹介する文化施設よ。毎日2回の公演『傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段』を上演しているよ」

わあっと泣き出すおつるたん。
「えーん、えーん、ととさんやかかさんにも会えず、ばばさんもいなくなったら、わたしは本当に独りぼっちになっちゃうよ涙」

おねえさんは驚いて、おつるたんをよく見ました。
「あなた、姿も雰囲気も『傾城阿波の鳴門』のお鶴ちゃんにそっくりね…。もしかして、タイムスリップしちゃったのかしらね?」
「たいむすりっぷ…?」
「今は2022年。令和の日本よ。あなたはきっと江戸時代から来たのね。
わかったわ。ちょっと待ってて」

徳島県立阿波十郎兵衛屋敷スタッフのおねえさんのおかげで、おつるたんは「徳島じょうるりショップ」で、当分の間仮住まいすることになりました。
「ばばさんはいないけど…。ショップで、首人形さんとか、神山工房のおつるさん・おゆみさんとか、たくさんの仲間ができたよ。うふふふ、これからはわたしのこと『借りぐらしのおつるたん』って呼んでね笑、なんつって」

でも夜になり、みんなが寝静まるとしんみりします。
「ととさん、かかさん、ばばさんに逢いたいこっちゃ、逢いたいこっちゃ、逢いたいこっちゃ、逢いたい〜泣」
涙があふれて、あふれて、止まらないおつるたん。

それからおつるたんは毎日泣きくらすようになってしまいました。

ある時、おつるたんは佐藤憲治館長に呼ばれました。

「毎日、泣いてばかりいてはダメだぞ」
「だって泣」

「おつるたん! 徳島の観光のため、地域振興のため、一肌脱いでみないか?」
「(一肌脱いだら空洞ですが、何か?)・・・」

「さあ、涙を拭いてごらん。そうだ! ひょうたんつながりで、徳島の新たな観光インフラ『ひょうたん島水上タクシー』のPR大使として、水上タクシー乗り場近辺の魅力を宣伝するっていうのはどうだろうか?」
「徳島のために? わたしが?」
「あちこちを訪ね回っているうちにお父さんやお母さんが見つかるかもしれないよ」

「やってやろうじゃないか🔥!じゅんれいにごほうシャー☆」
佐藤館長の熱い叱咤激励を受け、徳島のため、もう一度生きる気力を取り戻したおつるたん。

おつるたんは、今日も『ひょうたん島水上タクシー』を世界に向けてPRするため、毎日おでかけいたします♩
いつかどこかでととさん、かかさんに再会できることを祈りながら…。

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