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○月×日、今日は買い物に出かけた。

とは言え、何か買わなければいけないものがあるわけではなかったので、駅前に着いたものの、まずどこに行こうか…と悩む。


うーん、本屋に行くか。


そう思って向かった先は、本屋に併設された文房具売り場。一番目立つところに置かれた、ファンシーなキャラクター文具に目を奪われる。
ぐぬぅ、リラックマ もすみっコぐらしも可愛い。

しかし悲しいかな、下敷きにも消しゴムにもペンケースにもシールにも、手が伸びない。デジタルな生活になってしまったからか、大人になってしまったからか。どうも判断が鈍る。

クリアファイルなら使うんじゃない?
この小さなメモ帳なら良いんじゃない?
と天使がささやき、
どうせ買ったところで使わないんだろ?
最近散財しているじゃないか…
そんなに金ないだろ?
と悪魔がささやく。

そうこうしている内に、他のお姉さんが棚に近づいてくる気配がして、なんとなくその場を去る。

まぁとりあえず、またあとで見よう。


次に向かったのは、文房具売り場内のポストカードコーナー。残暑見舞いのカードがたくさん飾られている。

風鈴の音、清流の音が流れている。
最近は夏のカードも賑やかだ。
(クリスマスカードはいつも賑やかなイメージ)

切り絵風のものや、立体感のあるもの。
凝ったカードがひしめく中に
実にシンプルな海の写真のポストカード。

それを見た途端、唐突にそれを眺めていた中学生の頃の自分が蘇ってくる。



学校帰りはいつもお決まりのルートがあった。
まずCD屋に行き、8cmシングルCDコーナーを覗き込む。
毎週欠かさず夜中に見ていた「CountDownTV」と大差ないランキングを眺めたあと、アルバムCD棚を一通りチェックし、店員さんのオススメ手書きカードを時折立ち止まって読みながら、知らないアーティストの知らない音楽に思いを馳せる。

しばらく店内をうろついたあと、何も買わずに、隣の隣にある本屋に向かい、音楽雑誌コーナーで『PATi・PATi』と『WHAT's IN?』(どちらも休刊)を手に取り、お目当てのミュージシャンが掲載されているか確認する。掲載されていれば、雑誌を左腕に抱えた状態で、併設された文房具コーナーに行く。

当時は名の知れたキャラクターの文具よりも、文具メーカーのオリジナルデザイン(例:アメオくん)が充実していた。小さなメモ帳は友達との手紙交換用に、プクプクシールはカセットテープケースに貼るために、シュールで可愛いやつを選んだ。

あ、そうだ、ペンがもうすぐ無くなるから買わなきゃ。ボールペンコーナーに行き「HI-TEC-C」の0.5mm黒と、0.7mmのカラー(オレンジかピンクか水色)を手に取る。

さて会計をしようとレジに向かう途中、
ふと立ち止まる。
ポストカードコーナーだ。

夏になると必ず海の写真のカードが並べられていたので、なぜか必ずしばらく眺めていた。

海に行きたい、とかではない。
泳ぎたいわけでもない。(だって泳げない)

ただただ
青い海の写真が好きだった。

しばらくじーっと眺める。
じーっと眺め。
じーーー。



で、結局、ずーっと抱えていた
・音楽雑誌
・メモ帳
・シール
・ペン
を買って帰路に着く
というパターンが多かったなぁ…


なんて思い出しながら
本日も実に無駄な午後を過ごした。