記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

【Dear My Abyss】感想

ネタバレ無しの感想


始めに言わなければならないのは、良い感想を言わないということです。このゲームが好きで好きでマイナスのことを聞きたくないという方は見ない事をオススメします。

評判が良いのは知っていますし、CP違い(カップリング違い。誰と誰が好き合うかという趣味が合わなかったということ)のオタクが呻いているだけだと思っていただければ…。


このゲームはクトゥルフ百合ノベルゲームです。

「クトゥルフで百合のノベルゲーム!?絶対好きに決まってる!」と思った方は、絶対に好きだと思います。


百合は本当に大好きです。

クトゥルフも、まあ…扱い方次第では好きです。そしてこのゲームの扱い方は好きでした。


では何が合わなかったのかと言うと…


・百合ならなんでも好きな訳ではない

・主人公がとにかく嫌いだった

この2点につきます。


聞きかじりですが、制作に7年かけたとか…そして前述の通り、評判が良いのも知っています。

7年もの月日をかけて百合ゲームをこの世に生み出していただけたこと、そしてそれを楽しんだ人々がいること。そのことは本当に尊く、ありがたく、作った方は幸せになっていただきたいと本当に思っています。


でも、お金を出してプレイしたのに、主人公の友達がとにかく可哀想だと思った事、主人公とヒロインの事を嫌だと思った事を誰にも伝える事が許されずに墓まで持っていかなければならないのでしょうか!?と思ったので、己の気持ちの供養の為にnoteを書いています。


これは個人的な体感なのですが、百合(何の説明も無しにここまで来ましたが、ガールズラブ、つまり女の子同士の恋愛のことです)は周期的に流行が来る割には文化として発達していません。BLに比べれば15周遅れくらいの文明にあります。

百合があまり見られない、供給が少ない為どんなものでも受け入れるのか、はたまた百合好きな人はおおらかな人が多いのかは分かりませんが、「百合要素があればとにかくOK!」という人が多いと感じます。Dear My Abyssの感想をチラッと見るとそんな感じも見られました。

しかし、主人公がとにかく嫌な奴で、ヒロインは不気味だし、主人公の友達は本当に良い子なのにとにかく本当に可哀想。


そんな中で主人公とヒロインの恋路は応援出来ませんでした…。


主人公が嫌すぎて途中何度ももう辞めようかなと思ったし、主人公やヒロインがピンチに陥るたびに「そのまま消えてくれ〜!」と願いました。(冗談半分ですが)


怨念の呻きは後の項目で続けるとして、ゲームの紹介を続けます。


選択肢がほぼない

選択肢分岐のノベルゲームですが、その選択肢がほとんどありません。ずっと文章を読んでいる感じです。個人的には気にならない点ですが、ガッツリ操作したい方には物足りないかも。

あと、ボイスもないです。これは個人的には無い方がありがたいのでプラスの点ですが。登場人物たちは「かまいたちの夜」みたいなシルエットで出てきます。どういう基準なのかは分かりませんが、主要人物はたまに鼻から下あたりがイラストで出ます。顔は絶対に出ないので、想像にお任せするという感じです。こちらも個人的には特にマイナスポイントではありません。


隅から隅までクトゥルフ要素

とにかくクトゥルフ神話の要素が出てきます。

話の軸になるのはとにかくクトゥルフ神話です。

ここまで全面的にクトゥルフの要素出されたら、もうこちらとしてもクトゥルフのゲームなんだなと覚悟してプレイするしかないな、といった感じです。

知っていればニヤリと出来るとかそういったレベルではなく直球でお出しされます。

登場人物たちはクトゥルフ神話なんて全然知らない、クトゥルフ神話ってなんだろう?調べてみよう、というスタンスですし、その関係で少しは解説も出るのですが、段々と「このくらい言わなくても知ってるよね」「知らなかったら知らなかったでいいや」くらいの話の進め方になっていきます。

なので、クトゥルフ神話を全然知らない…という人がプレイして面白いのかどうか…正直わかりません。

よく分からないことは「よく分からないけどなんかそういうものなんだな」で納得出来るなら大丈夫かもしれません。

個人的にはクトゥルフ神話にそこまで詳しくない上に破滅的にニブいので正直よくわかっていない事が大量にあります。クトゥルフ神話を絡めながら解説している方がいたら教えて頂きたいです…。


百合

繰り返していますが百合です。百合なら絶対に何でも好きという人なら間違いなく好きでしょう。

逆に百合は絶対大嫌いという人にはオススメ出来ないかな。明確に恋愛感情と宣言されている訳ではないから、百合ではなく物凄く強い友情なんだと解釈することは出来なくもないかもしれないけど…


人によっては多少ネタバレ、大多数の人にはネタバレではないゲームの構造など


前後編になっています。

序盤は色々な人物に視点が変わるのですが、前半パートは主人公の友達のミスカ(ミスカトニック大学をもじった名前なのでしょう)が死に物狂いで主人公を助けるために頑張るパート。後半パートは、とにかく性格が最悪な主人公朝戸昴(アサトスバル。アザトースのもじりなのでしょう。人に言われるまで気付きませんでしたが…)の内面がとにかく描かれ、ヒロインである九頭ルウ(クズルウ。クトゥルーのもじりでしょう)との交流で心を開き、想いを通わせる様子が描かれます。


主人公スバルのことをとにかく嫌だ、性格が悪いと連呼していますが、スバルはとにかく自分に自信がなく、内向的で皮肉屋です。

前述のミスカや蓮田カザミ(ハスタカザミ。ハスターのもじり…というかストレートにハスターモチーフでしょう)といった友人たちにひたすら引目を感じ、妬み、内心延々と呪いの言葉を吐き続けます。

しかし視点が変わってミスカやカザミの心情を見てみると、スバルのことを見下すどころか、本当にスバルのことを大切に想っているのです!


さらにちょっとネタバレを含んだ紹介


かなりの序盤で出てくるのですが、ミスカはスバルがミスカを妬み延々グチグチ内心憎んでいることを一切知らないどころか、スバルに想いを寄せているのです。

だから命がけでスバルを助ける為に奔走します。

後半パートではミスカが頑張っていた間スバルが何をしていたのか、スバル視点で語られるのですが、何をしていたかというと、

ヒロインであるルウとひたすらイチャイチャし、「ミスカの事嫌いなんだよねー」と陰口を言い合って親交を深めています。


ミスカ、可哀想すぎませんか!?


スバルがそんな状況なので、後半、スバルがとある人物からめちゃくちゃ褒められまくるのですが、「そんなに褒めるに値するような立派な人物ですかねぇ…?」とかなり斜に構えた感想を抱いてしまいました。


カザミはカザミで、待遇だけ考えればもっと可哀想です。

苗字を蓮田に改名した、「黄の印(エルダーサイン)」をお守りに持ち歩く少女という事で、クトゥルフを若干知っていれば「危ないポジション」だなと何となくは分かるのですが、オカルティックな目に遭っても周りから全然信じてもらえません。

素行の悪い不良少女ということで、不思議で危険な目に遭っても具合が悪くなっても「危険なハーブでもやってたんでしょ?」で片付けられます。

さらに、作中で間違いなく一番の功労者であるのですが、具体的に何をどうしたのか全然分かりません。「クトゥルフ知ってれば何となく分かるよね」といった感じです。個人的には全然分かっていません…。メタ的にも可哀想です。


さらに、昔主人公スバルが援助交際と間違えられ、おじさんたちに乱暴されそうになったところをたまたま通りかかったカザミに助けられた、というエピソードがあります。

この体験で、気を遣って心配してくれるカザミに対し、スバルはお礼を言うどころか暴力を振るったカザミを軽蔑し野蛮だと見下します。(もちろん内心で。面と向かって言う勇気はありません)

カザミはスバルを助けるためにおじさん達に立ち向かったことで怪我もしているのに…。



ガッツリネタバレの感想


とにかく前半パートがミスカ視点だったこと、スバルの性格が最悪だったことから完全にミスカに感情移入してしまったので後半がキツかったです。


ルウについて触れるとネタバレになってしまうのでここまで何も言いませんでしたが、先にミスカ視点で見ていたので「危険な化け物」というイメージが先行してしまい、主人公とヒロインの交流が一切良いものとして見られなかったので辛かったです。


ショゴスと人間の交流というのは個人的に少し身近だったのでそれ自体がダメだという訳ではなかったのですが、ミスカが本当にいい子だったこと、ミスカ視点で長くプレイし感情移入していること、ミスカがスバルの為にどれほど頑張っているかを知っている事に加えて、スバルの性格が好きになれなかった事、ルウも特に印象をひっくり返すほどの良いエピソードがあった訳でもない事が原因でしょうか。


不憫なカザミに先制攻撃をしかけて二度と戻って来られないように仕向けたのはルウですし、スバルにルウを好きになる魔法をかけて気持ちを操ってるし…。

異次元に飛ばされて自力で帰ってくるカザミは凄すぎるのですが…。

ルウが魔法でむりやり惚れさせないと自意識がねじ曲がったスバルは絶対他人を好きにならなかっただろうな、とは思うし、スバルが人を好きになる事で幸せを感じられたのは紛れもない事実ではあるのですが…

一方的に人間に惚れたから惚れ魔法を勝手に使ってくるショゴスルウは怖すぎるし(それほど盲目的な愛というのが琴線に触れるのかもしれないけれど、どうしてもミスカの肩を持ってしまう)、スバルの為に死に物狂いで頑張ってるミスカの陰口言って盛り上がってるスバルが幸せを感じた所で…特に嬉しいとかは感じないかなぁ…。


ショゴスって連呼してますけど、ルウってショゴスですよね?

ミスカが目撃した、手袋を取って人を貫いているアレは…一体何をやってたんでしょう?人をショゴス化させてた…??全然分からない!!


保険医の先生、何か事件に関わってるんだろうな〜と思ったら最後の最後唐突にニャルラトホテプ宣言されてビックリしちゃった。


保険医の先生が作中やったことって、本当にしたのか分からない「然るべき所に連絡しておきます」を何度かやったのと、カザミはクスリやってるってほのめかしてきたのと、あとはカザミとミスカがシャベル持ってたってスバルに言ってルウをボコってることを示唆したくらい?


海まで車出してくれたり(一般の人間の先生ならまずしてくれないと思う)、ニャルラトホテプだと思えば随分優しいですね。ニャルラトホテプの何を知っている訳でもないのですが…。


結局何故ルルイエ異本がスバルの元に送られてきたのか、誰が送ったのか、どうしたら壊せたのか、何故なくなったのかもよく分からなかったのですが…全てのENDを見ていないせいなのか、結構記述を読み飛ばしてしまったせいなのか、見たけど頭からすっぽ抜けているのか、語られていないのか…。

なくなったのはニャル先生が持ってってくれたから?正直ルウが居なくなってくれた事に心底安堵していて先生がニャルラトホテプでどうの…という部分、そんなに集中していなくて…。


スバルの最後の願いも…しょ、正直…何だったのか…分かっていなくて…。何を願ったんですか…?本当に自分のニブさに悲しくなる…。


スバルとミスカとカザミの記憶を消して日常生活に戻して欲しい…とか?その割にはカザミは記憶もっちゃってるけど…。

スバルとカザミは和解出来ないんだろうなあと思うと可哀想になります。


「主人公が本当に嫌だった」という感想を見つけられなかったので、インターネットの海に1件くらいそういうものがあってもいいかと思い書きました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?