脂肪腫を取った[前談]

右肩にコブがあった。なんとなくは知っていたが、筋肉だと思っていた。右利きで右腕だけよく使うバイトをしていたので、そのときに右肩だけ筋肉が付いてそれが落ちなくなったものだと思っていた。

なんとなく最近そのコブが大きくなった気がして、肩こりもひどくなってきた気がして、洋服も右だけ浮くようになってきた気がして、気になっているときに「脂肪腫」という言葉を初めて聞いて、すぐさま調べてそれだと確信した。

まずは主に美容目的系(イボをとるとか、ワキガを治すとか系)の形成外科に行った。簡単な診断の結果、おそらく脂肪腫だがMRIを取ってきてくださいとのこと。別日にMRI専門の機関で初めてのMRI検査。棺桶の中で大音響のテクノ音楽とお経のライブを満喫する体験は人生の中でも群を抜く壮絶な初体験だった。後の全身麻酔手術よりこのMRIの方が強烈なインパクトだったと思う。

MRI結果を元にした形成外科での再診では「特に問題はない腫瘍だが、次第に大きくなるのでできれば早めに取っておいた方がいいでしょう。でも大きいし首に近い部分だし、全身麻酔が必要な手術。うちの病院ではできません」となり、大学病院を紹介されることになる。
この時点で初診からはもう2週間くらいは経っている。日帰り手術も可能などの情報を見ていたのもあり、すぐにでも取りたい気持ちになっていたので焦る気持ちが大きくなっていた。
幸いにもそう遠くない場所に大学病院があり、すぐに予約。と言ってもさらに2週間後。受診の結果「手術しましょう、入院になります、いつにする?じゃあいつね」まで一回の診察でささっと決まった。手術は再来月、二ヶ月半後だ。

入院までの間、二度ほど検査などで病院に行ったあと、ついに4泊5日の予定で入院。6歳の時に1週間ほどの入院経験があるのと出産のとき以来、初めての外科手術入院。緊張や不安もあるが、どちらかと言うと興奮エキサイティングな気持ちだった。準備にも余念がなく、偶然本屋で見つけたパズル本を持って(これが質、ボリューム、ちょうどよく、最高の入院の友となった)、動画を見るようにイヤフォンを購入して、万全な体制、むしろ楽しんで入院に挑んだ。
そりゃそうだ、悪性でもなく、余計なものをとって楽にしてもらえる。ちょっと懸念事項は傷が残ることぐらい。でも肩ならまあ別に気にならないし。
むしろ久しぶりにたった一人の時間を堪能できる数日間(結婚出産以来、数日以上1人は皆無)に喜び勇んでいた。職場に迷惑かけることだけ憂い事項だったかな。

入院後はまた後編で。

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