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DTM出来なくても、作曲出来なくても音楽家になれるという話#2

ここ最近コライトが主流になってきて益々分業化が進んでいる。

co-writingという、いわゆるチームで1曲を完成させること。
海外では既に主流となっているが、日本でも定着しつつある。


コライトのメリットとしては、作曲、編曲、作詞を一人でやっていたが、それが単純に3分割されるので1/3の負担で制作できるために1ヶ月に5.6曲作るということも可能ということになる。

数を作れるという点では音楽作家向けにはなるのだけど、もう一つのメリットとしては自分1人の実力以上のクオリティを作ることも可能となる。
それは自分の引き出しになかったアイデアや知識も盛り込めるのでビックリするくらい良い曲になってしまうことってホントにある。

その理由からアーティスト自身が仲間を集めてコライトするというやり方も出てきた。

コライトする場合は主に3つの役割がある。

1.トップライナー
作曲(メロディとコード)担当
ファーストデモ(FD)というメロディとコードを打ち込んだものを作り、それをアレンジャーにパスする。作詞も兼任する場合が多い。

2.アレンジャー
編曲(FDをアレンジする)
アレンジャーは降りてきたFDを修正変更することもあるし、完成までの全般的な工程をこなし、クオリティ担当のため力量差がはっきり出る。

3.ディレクター
直接制作には携わらないが、完成イメージが明確にあり、メロディやアレンジに対してアドバイス、軌道修正、+αの提案をしていく。それだけでなくゴールに向かいスケジュール管理も担当する。

そこで今回注目したいのがディレクターの役割について。
一見地味に見えて、実はチームの誰よりも音楽に詳しくないといけないし、耳も良くないといけない、メンバーのメンタルケアまで幅広く。
ある意味カリスマ性も必要なため、ディレクターの人格で楽曲クオリティが変わることもある。

例えば、人気のアイドルに楽曲提供するとなった場合。
ディレクターはそのアイドルの楽曲を研究しまくる。メロディの動き、コードの流れ、使用楽器、構成、歌詞の世界観、とにかく細かく。
その知識を基にトップライナーのFDに対して、「もっとシンコペーションさせた方がいい」とか、「もっとウラを感じさせた流れにしたい」とか1音単位で指摘していく。
アレンジに関しては、「今のままだとミックス薄いからアコギのバッキング足してみて」とか普通に言う。もっと言うと、「キックを0.5dbだけ上げよう」...0.5!?少し変態的聴覚を必要とする場面もある。

要するに、音楽を聴くのが大好きな音楽ヲタクで豊富な知識がある人であればいい。音楽評論家の人は間違いなく向いてる役割。

作曲に関しては、影響を受けた音楽やセンスによって向き不向き左右されるかもしれないが、知識は学べば誰でも得ることができる。
なので、タイトルにも書いたが、作曲DTM出来なくてもディレクターの役割をすれば音楽家になれるということ。

ただし、ディレクターの立場である以上メンバーより知らないことがあってはいけない。
だから少なくともどういった工程で曲が作られているのか頭に入れて置かないといけない。
例えばアレンジ面でいうと「DTMで具体的に何が出来るのか」「どのようにして音作りしているのか」
特にエフェクターの知識があるディレクターは具体的に提案してくれる印象。
「ボーカルがこもってるから、EQでLOWを軽くして、サチュレーターかけてみたらどうかな?」という具合に。

アレンジ面だけでなく、メロディ面でもコードとメロディの関係性(要するに理論)を理解した上で、もっと美メロにするためにはどうしたら良いか。
「もっとテンションノートにアプローチかけてオシャレなメロディにしたいね」とか。

作詞面でも見るべきポイントがいくつもある。
(そう言ったディレクターとして見るべきポイントに関しては後日書いていこうと思う。)


良いディレクターと悪いディレクターの違いとしては、
好きな曲を聴いた時、この曲のサビは何でこんなにも美しいと思ってしまうのだろうか、と思ったことある方いると思う。
必ずそこには理由があって、計算されて作られていることが多い。
だからそれを研究し、提案していく。
それが良いディレクターといえる。
ダメなディレクターは、良し悪しは言うけど、具体的にどこがどう良くないのかを説明しない(できない)。
私自身も「メロディ微妙だからもっと良くしてみて!」って言われて(この人の良いってなんや!?)と頭を悩ましたこともあった。
もっと具体的にどこをどうしたら良くなるのか提案してほしい。
これはどの分野の仕事においてもそうだよね。
ただ売り上げ出せって言われて、どうやったら売り上げ出せるか提案するのがあなたの仕事ですよ?と部下は思うよね。

あと言い方も大事!
「このメロディダサいよ」って言われて、あ?やんのか?って思わない人いないと思う。
「このメロディのテイストめっちゃ好き!でも今回はR&Bの裏を感じるテイストに寄せた方がいいと思うんだよね!少し修正してみてもらってもいいかな!?」って私なら言う。
出来はどうあれ一生懸命作ったものに敬意を払わないのはどうなんだろう。
ディレクターは言葉しか武器がないのだからそれを巧みに操ることが必要といえる。
仕事のできる人は、部下も、上司すらも言い方一つで自分の思い通りに動かしてしまうもの。そこの駆け引きの楽しさに気づいたら社会では間違い無く勝ち組だと思う。


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