素晴らしい景色を眺める、新しい景色を眺める
随分と長いこと夢を見ていた。
ここのこところ毎日そんな感じだ。
恐らく1時間ほどは夢を見ているんじゃないかと思う。
いよいよ目覚めたときは、1日を過ごしたかのようなリアルな感覚がある。
昨日は予定していた打ち合わせがなくなったことから、早い時間から外に出た。
近くのカフェで本を読みたいと思い、歩いて3分ほどのところにあるクロワッサンの美味しいカフェを訪れたが、大通りに面していること、店内にかかっている音楽の音量が大きかったことから別の場所を探すことにした。
現在滞在しているエリアには、本当にたくさんのカフェがある。
しかも、おそらく観光客ではなく地元の人たちが集まっている。
東京で言えば代官山や中目黒あたりだろうか。(起伏もあり、東京に似た感覚をとても感じる)
「グリーンカフェに行こう」というパートナーの頭にどこのカフェが思い浮かんでいるのか分からなかったけれど、とりあえずとついていくと、入り口部分に植物の生い茂ったカフェが見えた。近づくとテラス席の看板も出ている。
テラス席に行ってみたいとスタッフに告げ、案内された5階部分に足を踏み入れて息を飲んだ。正面に、ブルーモスクとアヤソフィア、そしてそれらが建っている半島が見える。約180度、何にも遮られないビューが広がっている。
プライスレスで特別な景色。
だけれどもそこにすでにいるのは2組(1人ずつ)の客。
なんて贅沢なんだろう。
先週末にブランチをしたアジア側の丘の上にあるレストランからの眺望も素晴らしかったけれど、なんと言ってもここは家から歩いて5分もしないところにある。
いつでも来たいときに来ることができる。
そして、今は、この場所に来ることのできる時間が(特に彼は)たっぷりとある。
こうして書きながら、素晴らしい景色を眺めているときの感覚は、その瞬間にしか味わうことができないのだということを感じている。
記憶として呼び起こすことはできる。
しかし、そこで身体の中に沸き上がってきていた感覚は戻ってこないのだ。
だから私は、体験し続けたいのだ。
毎日毎日。家の中でもいい。何気ない時間でいい。
そこにある時間を味わい、生きているという実感を感じ続けたいのだ。
キッチンの横の小さなダイニングに差し込む光が強くなってきた。
窓の向こうに見える向こう岸(イスタンブールのアジア側)はまだ白くもやがかかっている。こうして今日もまた、世界がここに生まれている。2021.06.11 Fri 7:14 Istanbul
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