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ディズニー✖️クイーン考察3〜旧ディズニーの功績まとめ〜

ディズニーXクイーン考察企画。

前回、「次回はクイーンからディズニーに及ぼした影響を話す」と言いましたが、ディズニー→クイーンの影響をまとめないと次に進めなくなってしまいました。

前回⤵️


あまりに旧ディズニーというものは奥が深すぎました。

なので、まとめをしたいと思います。


クイーンへの影響

「ピーターパン」、「アリス」、「101匹わんちゃん」、「プーさん」など、原作がイギリスで、ウォルトがイギリスやロンドンを描いたものが特に影響するかと思いました。

「ピーターパン」は、フランク・チャーチルの音楽、フック船長や永遠少年のイメージ、「アリス」はハートの女王、「101」はクルエラ・ド・ヴィル(デビル)や作曲家ロジャー、「プーさん」は101と同じくシャーマン兄弟のピアノ作曲。

特に、ピーターパンについてまとめてみたいと思います。


1.ピーターパン

ピーターパンが、まず影響を及ぼしたのは、前回述べた「キラー・クイーン」の、前のアルバムに遡ると推測した。


輝ける7つの海(The Seven Seas Of Rhye...)」は、デビュー・アルバムは演奏のみで、2作目のクイーンII(Seven Seas Of Rhye)で歌がつきました。

1974年2月、この曲でデビッド・ボウイがドタキャンしたTV番組トップ・オブ・ザ・ポップス(TOTP)という、NHKみたいなのに出ました。映画「ボヘミアン・ラプソディ」にもキラークイーンでしたがありました。

TVに出たことで、ビジュアルとサウンドから、視聴者から問い合わせが殺到したようです。

今までイギリスでは人気はまだまだだったのが、TVの力と、彼らのビジュアル、フレディの演技力などでついにヒット(チャートの10位にランクイン)。クイーン結成から3年近くかかりました。


その歌つきの後者の曲は、最後に”I do like to be beside the seaside”という「海辺の暮らしはいいもんだ」みたいな歌のコーラス(サビ)の一部が歌われます。

この曲は1907年に作られ、イギリスでは有名な曲です。ジャンルはミュージック・ホールというイギリスの大衆音楽で、パブや酒場、カフェで歌われました。

クイーンでは「うつろな日曜日」がミュージック・ホールにあたるのか?ピアノ曲です。


とにかく、「輝ける七つの海」の最後、この海辺の歌みたいなのを歌う前に、「ヨ、ホッ、ホッ」と聞こえます。

Yo ho といえば、ランドのカリブの海賊です。

1967年、ウォルトの死後に解禁となったこのアトラクション。

「ヨー・ホー、ヨー・ホー、海賊ぐらし
(Yo Ho, Yo Ho! A pirates life for me!)

俺たちゃうみの海賊、

酒を飲み干せ、」

みたいなやつです(シングアロング・ソング)。

原語では実は真の意味はかなり卑猥で低俗なことも言っているという噂の問題作です。ジョニデのパイレーツオブカリビアンの方が近いかもしれません。


おそらくカリブの海賊の歌は、ピーターパンの海賊の歌(”A Pirates' Life”と”The Elegant Captain Hook”)がもとになると思います。ピーターパンは1953年公開ですが、1930年代後半には製作が進んでいました。戦争の影響かペンディングになり、作曲家のフランク・チャーチルは1942年になくなります。詳しくは前の記事参照。

いつピーターパンの海賊の歌ができたかはわかりませんが、ヨーホーと言って、似ています。

1950年には、ディズニーはスティーブンソンの小説「宝島」を実写化しています。海賊船のはなしで、2002年に「トレジャー・プラネット」としてオマージュされます。


「輝ける七つの海」は、フレディと7つ下の妹カシミラさんの創作の話を元にしたらしいです。

7つも下の女の子と遊んであげるなんて優しいです(まるで手塚治虫とみなこさんのようです)が、インドにいたはずなので一体いつの話なのか?学校を中退し、ザンジバル(元タンザニア領の島)に戻った16歳と9歳?それとも、時々船に乗って、ザンジバルに帰ったとき?

架空の国ライは、3作目の「シアー・ハート・アタック」の「谷間のゆり」にも出るし、デビューアルバムの「マイ・フェアリー・キング」にもでると言われます。

とにかく、この曲は、7つの海を支配するライの王の物語で、海賊は出ませんが、政治家や伝道師、詩人などが登場し、彼が支配を宣言します。

最後だけ、酒場の酔いどれコーラスが入り、それがあの海辺の歌ですが、ヨーホーのせいか、わたしには海賊の歌のように聞こえます


この曲はデビューアルバムもクイーンIIも、アルバムB面の最後の曲であり、さらに次回作のシアーハートアタックの始めの曲、「ブライトン・ロック」で口笛でこの海辺の歌が吹かれて始まります。

イギリスの海辺の観光地ブライトンの遊園地みたいな音がサンプリングされて始まります。

つまり、この3つのアルバムは続いています。

デビューアルバムの最後で「七つの海」を予告し、二作目で完成させ、TVで初ヒットし、三作目に繋ぎました。4作目のミュージック・ホールも余韻が残るのかも。最後はイギリス国家「God Save The Queen」で終わり、とことんイギリスです。


なので、キラー・クイーンだけでなく、その前のアルバムからピーターパンの影響が見えると思っています。

キラー・クイーンの和訳でも述べましたので、そちらも参考にして下さい。おそらくキラー・クイーンのイメージ写真の帽子が、フック船長のように羽がついたつばの大きなゴージャスな感じ。1975/4/17の初来日でも被っています。(3月のアメリカ・ツアーの時点でかぶっていました。)

ミュージック・ホールの流行った1900年前後の時代も一部の人々は本当にこんな帽子をかぶっていたようです。


「七つの海」という表現自体が、アラビア人目線の世界の海のことで、イギリス人詩人キップリングによって紹介されたようです。彼はインドのボンベイ(現ムンバイ)で生まれ、フレディの寄宿舎もここでした。「七つの海」の他、ウォルトの遺作「ジャングル・ブック」の原作も書きます。このジャングルはインドで、モーグリ少年はインド人?だったらしい。リアル「オオカミ少年」です。

この「輝ける七つの海」の曲はわたしの中では、アニメ・ワンピースの主題歌になりそうな感じです。アルペジオのキラキラしたピアノのオープニングにギターが特に。

ルフィ(ゴム人間)がフレディ、ゾロ(ストイックな武士)がブライアン、サンジ(ブロンドのマダムキラーのおしゃれコック)がロジャー、ナミ(ダイナマイトな気象予報士)さんが、、、とこれは妄想です。しかし、海賊が仲間と共に世界を目指すストーリーはどこか共通するかもしれません。4人にこだわるなら桃太郎とか鬼滅とか。鬼(オウガ)の歌もありますね。


脱線しましたが、このように、色々、海賊の影響が見えると思った。


他にも、ピーターパン関連は、

ロジャーさんの子供達タイガー・リリーさん(ただのオニユリかも。アリスにも出ます)などや、バイシクルレースの「ピーターパンになりたくないぜ」などがあげられます。

ピーターパンの原作はバリーの戯曲で、「大人にならなかった少年」という副題が付いてます。歯が白い真珠というのは乳歯のことで、マイ・フェアリー・キングの詩にそんなような言葉があります。

ボラプの「小さい男のシルエットが見える」とは、ピーターパンの逃げる影のことかも。腰に両手を当てる威圧ポーズもピーターそっくり。大人になりたくなかった少年です。少年なのにあごの立派な大人フック船長を手玉にします。

最後はフレディの遺作とも呼べる「ショー・マスト・ゴー・オン」の「I can fly, my friend」も。ブライアンが詩を作ったようです。ピーターパンのYou can fly(きみもとべるよ)です。


まとめると、ピーターパンはイギリス原作の小説もあるかもですが、ディズニーのアニメのビジュアルや言葉およびフランク・チャーチルなどの音楽がクイーンへ及ぼす影響が多少なり、あると思いました。


2.フランク・チャーチルの功績

まとめさせてください。

音の世界に住むひとは、素晴らしい音楽にすぐ反応するようです。


例えば、スピルバーグ作品のジョン・ウィリアムズなど。

1975年のジョーズ、ET、77年のルーカスのスターウォーズなど。77年スーパーマン。ホーム・アローン、2000年代ハリーポッター。


また、ディズニーにおけるフランク・チャーチルもまた歴史を作った。


彼が若くなくなったから目立つのかもしれないが、

ウォルトが初めて作った長編アニメの

白雪姫(1937)から始まり、

続く、

ピノキオ(’40)、ファンタジア(’40)、ダンボ(’41)、バンビ(’42)。

ファンタジアはクラシック音楽を使ったので彼の出番はないが、亡くなるまでのこれらの音楽をてがける。

「白雪姫」の「いつか王子様」が、はいまだにいろんなところで耳にする。整形外科クリニックCMとか。

ハイ・ホーやヨーデル、ワークソングなど名曲揃い。

次の「ピノキオ」は赤字なものの、「星に願いを」はディズニーのテーマ曲でもある。トラウマアニメだが、美しい。


その次の「ダンボ」は実写化してたが、改めてすごい作品。


可愛い象の赤ちゃん、母との涙の別れ、人種の話、ピエロ達や動物の労働環境など、かなり深い。機関車ケイシーJr.などはランドかなんかで耳にする。

最後は象が飛んでしまうという衝撃作。


特に特筆すべきは、音楽「ぞうたちのパレード」(Pink Elephants on Parade)だ。


プーさんの「ズオウとヒイタチ」でリニューアルされるが、かなりサイケデリックな内容。

像の赤ちゃんと鼠が酒を飲んでしまってみる幻覚だ。


シャボン玉のピンクの象が増えて、音楽を奏でる。怖いのと面白いのギリギリを責めるアニメで、音楽も、エジプト風、ラテン系、なんでもあり。最後はカオス。

アニメはCGと見分けのつかない出来。1941年作と、戦前、手書きとは思えない。


ファンタジアのチャイコフスキーのくるみ割り人形などもそうだが、アラビア風も取り入れている。

象そのものが、インドやスマトラ、アフリカ原産だからか。

スピルバーグ(フレディとほぼ同い年)も、このダンボとお母さんの涙のシーンをフィーチャーしているし、そもそもディズニーのせいで僕はこうなったと言っている。手塚治虫と同じ。


さらに、チャーチルの生前に関わったピーターパンは、「右から二番目の星」や「ワニを冷やかすな」、イカボードとトード氏など、死後に公開された作品も多い。アリスとかもそうかも(短編ミッキーの鏡の国「thru the mirror」1936年はチャーチルでした)。


アニメの異常な巧さや魅力的なキャラもそうだが、チャーチルなどの音楽そのものがディズニーを表しているとも言える。


3.まとめ

そしてここからが本題だが、これが幼い未来のアーティスト達にも影響したのではないか。

スピルバーグやフレディなどのアラビア、中東地域やアフリカなどにルーツや関わりを持つものにとって、かなり世界を広げてくれたのではないか。アジア原産の大人の手塚治虫やわたしにとっても。


子供の頃というのは受ける影響はかなり大きい。


無意識な音楽や美意識、ユーモア、センス、そういったものが刷り込まれる。

わたしがバレエやクラシック音楽、欧米のキリスト教的世界に憧れるのもこのせいかもしれない。

もちろんディズニーだけではないが。


ディズニーが南米で人気なのも、クイーンがそうであるのと似ている。

ブライアンはスペイン語やラテン語にも堪能で、ラス・パラブラス・デ・アモールや手を取り合ってを作詞作曲したり、ロジャーもフランス語ができて、ドミニクさんとの息子は半分フランス人でレディオ・ガガが生まれた。

ディーコンさんは最年少のせいか、アメリカのブラック系音楽にすぐに反応し、バイツァ・ダストした。


このようにとても国際色豊か。

もうその道はディズニーが示してくれた。

1960年代のビートルズもインドやサイケデリックな雰囲気で、色とりどり。ユダヤ人の32歳で亡くなった伝説的マネージャー(ブライアン・エプスタイン)が、革ジャンにジーンズ、ヤクヅケの彼らを、イギリス紳士に仕立てた。

ビートルズも、ウォルトもアイルランド系がルーツが多く、皆ルーツが不安定という共通点があり、だからこそ国際的になれたのかもしれない。


世は国際的な時代になったのだ。


このように、わたしにも影響を及ぼすディズニーは、彼らにも影響を及ぼし、クリエイティブな国際的なパワーを生み出す踏み台となったと思う。


おまけ:ヴィランのヴジュアル考察

ディズニーのビジュアル面での影響を考えた。

それは、ディズニーのヴィランたち(悪役)。

上記ではフック船長を取り上げている。

また特に、女王など女性のビランからも、いくつか影響がうかがえる。


1.ハートの女王(アリス)

マーチ・オブザ・ブラック・クイーンでは、原作アリスとともに、ディズニーのアリスも影響すると思う。

以下に以前考察したマーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーンから女王の考察部分をリンクしておきます。


ウォルト自身(か共作者は分からないが)もアリスシリーズの短編をいくつも作ったりかなりアリスの物語にこだわっていたようだ。ルイスキャロルの残した謎を解釈し、表現している。自身のアイルランド系のルーツに関係するのか。数学的なにおいがする。

この憎めないビランは、「首をはねろ」と二言目には騒ぐが、国民の人気が取れるというだけで可愛いもの。原作もアニメも誰もはねられている場面はない(当たり前か)。

原作もトランプやチェスといった要素もあり、子供向けだけではなく、かなり深い作品である。キャロルの意味の不明な詩は、音楽の要素にあふれる。詩自体、音楽なのだ。

アリスの不思議な国の続編、鏡の国でも、赤と白の女王は、実は夢でアリスの飼いネコだったという解釈もできるという。猫もフレディ、ブライアンのお気に入り。


とにかくマーチ・オブザ・ブラック・クイーンの表現される「黒のクイーン」は、ディズニーのハートの女王のように、威厳や気品はあるが、実は低俗で親しみやすく憎めないような人物をイメージさせる感じがする。


2.白雪姫の「女王」

女王系のビランといえば、旧ディズニーでは、白雪姫の女王に始まる。

その後はアリス。

女性ビランは、順に、シンデレラの継母、クルエラ、マレフィセント(眠れる森の美女、アンジェリーナ・ジョリーも実写で演じた)、王様の剣の魔女など。


この白雪姫の「女王」こそ、マーチ・オブザ・ブラック・クイーンの黒の女王にイメージは近いかも。いから。

威厳があり、邪悪で残酷。

美にこだわるあまり、若い芽を摘もうとして逆に自滅する物語。老婆になってまでを殺そうとする。白と黒の対比である。

そして、「ハイ・ホー」はfie foとなる。



3.クルエラ・ド・ヴィル

クルエラはセンス抜群。白黒のツートンの髪、真っ白なゴージャスな毛皮の下に細すぎる体、ブラックのドレスをまとっている。ヘビー・スモーカー。呼びかけは「ダーリン」が口癖。

フレディは笑い声を「レット・ミー・エンターテイン・ユー」で再現している。

白と黒に取りつかれ、ダルメシアンの子犬から毛皮をとろうともくろむ。

ディズニーは1961年の作だが、最近のディズニー映画「クルエラ」は、1970年代のロンドンのファッションやカルチャーがテーマで、クイーンの「ストーン・コールド・クレイジー」も使われている。女優は「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーン。(実写初の「101」はグレン・クローズ)

アニメでの彼女の真っ赤なスポーツカーは、フランスのクラシック高級車のブガッティ・タイプ57「アトランテ」がモデルで、ここからエルトン・ジョンなどの要求などから高級車パンサー・ド・ヴィルが作られ、それが実写「101」に白黒モデルが使われる(Wiki)。これは原作に近い。このようにディズニーはいろいろなものに影響を及ぼす。


などと、ビランだけでもざっとこのように影響があることが妄想できた。


他にもわんわん物語のシャムネコや、アリスの芋虫、ダンボの象など、オリエンタルなキャラも豊富である。

ブラック系やインディアンや南米、アジア系など、動物や植物に変えてまで表現していたりする。このようにディズニーは名実ともに世界を制している。



これをもって、ディズニー→クイーンへの影響の考察を終えたい。

どうもありがとうございました。


追記、次回はこちら


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