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ボヘミアン・ラプソディ和訳・深堀り②バラード1/4

フレディ・マーキュリー作詩の楽曲ボラプの和訳の続きです。


前回は、冒頭のコーラスパートを深堀りました。

今回は、続くバラードパートです。

ポイントがたくさんあるので、バラード部分は4回に分けたいと思います。バラードには1番と2番があり、さらにそれを2つづつに分けます。


まずはバラードの1番の前半から深堀りしたいと思います。

Bohemian Rhapsody
Written by Freddie Mercury

~バラードの1番~

Mama, just killed a man,
Put a gun against his head,
Pulled my trigger, now he's dead,
Mama, life had just begun,
But now I've gone and thrown it all away-

Mama, ooo,
Didn't mean to make you cry-
If I'm not back again this time tomorrow-
Carry on, carry on, as if nothing really matters-

今回はこの太字の部分のみ解説します。


まずは、その一部からです。

①-A

Mama, just killed a man,
Put a gun against his head,
Pulled my trigger, now he's dead,

訳は、

お母さん、人を殺してしまった、

彼の頭に銃をつけ、僕の引き金を引いたら彼は今死んでいて・・・

としました。


この部分はすでに以前(Queen’s English(2)にて)取り上げました。

特に韻について触れています。

今回は、残りの「意味」についてです。


ここでは、主語が省略されています。

my triggerの ”my” が不思議な感じですが、ここで初めて、省略された主語はやっぱり "I"(私)だろう、という感じを与えます。

これが myではなく、the trigger だと、主語がまったく曖昧になります。フレディはmyを最低限のところに入れた感じがします。これなら主語を入れなくても主語は”I”だろうと想像されます。それが本当にそうとはわかりませんが。

文法にも注目します。

全て時制は過去形です。

putも過去形です(put-put-put)。

just killed a manは、justがついているので、I'veが省略された現在完了の「完了」かもしれません。ちょうど○○したところ、という意味です。アメリカでは過去形でも使います。



また、この歌詞カードの区切りにも注目します。

セリフの最後に「ー」と伸ばし棒が入ることが多いですが、ここは全てカンマ(,)区切りです。つまり、主語は最初から同じ可能性があります。

すると、先ほどのjust killed も主語はhave のない"I"かもしれません。

(歌っている様子からは、「ただ、男を殺しただけ」、とも聴こえます。メロディも穏やかです。)


ここで、疑問をはっきりさせときます。

a man(=he)とは誰なのか。主語がないが本当に「私」が殺したのか。そもそもどんな状況なのか。


冷静に状況を判断するとすれば、

語り手は、コーラスパートと同じ、自称「少年」と思われます。

ママに語り掛ける口調で言うには、少年かもしれない誰かが「一人の男を殺した」ということと、最後に韻を踏むためか、もう一度、「彼は今死んでいる」、といっています。

つまり、ある男が殺された(=亡くなった)ことは確実です。

さらに、死ぬ前の男の頭に銃をつけたのも事実のようです。

長くなるので進みましょう。

では、続きです。


①-B

Mama, life had just begun,
But now I've gone and thrown it all away-

訳は、

ママ、人生は始まったばかりだった。

なのに、僕は全て投げ出してしまったよ。

にしました。


まず気になるのは、Life had just begun, の"Life"の部分。

aも、myなどの所有格も付いていません。

不可算名詞のLifeにもいくつか意味がありますが(人生、生活、生命)、

「殺人」と対比させて、一番シンプルな大きい意味での「人生」という意味かと思います。

しかし、誰のでしょうか?


その前に、文法を見ていきましょう。

時制は完了形ですね。

Life had just begun,

の過去完了(had +done)の部分は、殺人を犯した時点から遡って、(「今」から遡ると現在完了)、あの時は人生がちょうど始まったばかりだった、ということです。

But now I've gone and thrown it all away-

この、itとは何でしょうか。

直前の文章から考えて、"life"のことでしょう。

まとめると、あの時、人生がちょうど始まったばかりで、→殺人を犯し、→そこから今やその人生(it)を投げ出してしまった状態になった、ということでしょう。


それでは、Life had just begunの"Life"が「人生」とすると、誰ものか?という考察に戻りましょう。

まず、my lifeが考えられます。


つまり、

殺人を犯し、始まったばかりだった自分の人生を投げ捨ててしまった、

という意味です。


または、his lifeもアリかと思い、訳してみると、

男の人生がこれからというときに、今や投げ捨ててしまった、

となります。

しかし、他人の人生を投げ捨てた、とは言わない気がするので、前者の説が有力です。しかも、今や投げ捨ててしまったというよりは、殺人の時点で投げ捨てているので現在完了なのはおかしいです。



また、実は今まで軽く無視してきたNow I've gone (and thrown It~)の部分も考察しておきます。

"have gone"は、第三者が主語で、現在完了の「結果」で、「去ってしまった(ので、今ここにはいない)、死んでしまった」という「ニュアンス」を表すことがあります。しかし、"I've" goneと、私が主語になると、ちょっと変です。

一番あり得るのは、「去った」という意味で、多分、その新しい人生から去って(そこから)いなくなったという意味でしょう。つまり、物理的に去ったのではなく、心の中である場所から去ったのです。つまり、第三者です。相手には、心の中の少年はあの人生のあの場所に今もいるんだな、と思わていて、その心の中の人間が知らないうちに去っていることを教えてあげるのです。そうでなければわざわざgoという動詞を選ばないと思います。


他にも、辞書には、”have gone and done”(またはgo and do)で、(しゃべり言葉で、)第三者から見て、誰かが何かよくないことをして驚いたときに使われるようです。「彼、人生これからって時に棒にふっちゃったよ!」みたいな感じです。自分に対してこんなしゃべり方があるのかはわかりません。

客観的にみて、自分がおかしくなってしまった、という感じを出しているのかもしれません。これなら、話し手が今どこにいるのか、ということを考えなくてすみます。

つまり、うまくいきかけてたのに、「全て台無しにしたよ」、ということをgoneで強調している感じだと思います。


それでは、今回の部分を音とともにまとめます。

少年はママに、「自分が関わってある男が死んだ」と穏やかに美しく淡々と歌うように告白します。次に「人生は始まったばかりだった」で、美しいファルセットになり、「今やその人生を離れ、」で最高潮の高さまで頭打ちになり、最後は「全部投げ捨ててしまった」、と美しいファルセットから急降下し、少し声にこぶしが入ります。ママ、ごめん、という感じでしょうか(死んだ男には、特に憐みの描写はなさそうです)。

このたった5行で、疑問符がたくさんです。


まとめると、バラードの1番は、

①-A、B

Mama, just killed a man,
Put a gun against his head,
Pulled my trigger, now he's dead,
Mama, life had just begun,
But now I've gone and thrown it all away-

でした。見てわかるように、セリフはずっとカンマ(,)区切りなのです。


次回はバラードの1番の最後のところ(1番のC)を深堀りします。

少年の運命はどうなってしまうんでしょうか?


お楽しみに!

ありがとうございました。

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