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Queen和訳3/11マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン~verse1:物語の始まり~

はじめに

フレディ・マーキュリー作詞のQueenの楽曲「マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン」の和訳・分析をしています。

前回はイントロ。今回は詩(verse)1です。

物語が始まります。

※注意。差別的表現が含まれます。※


"The March Of The Black Queen"
Written by Freddie Mercury

最初の3分までの歌詞

Do you mean it
Do you mean it
Do you mean it
Why don't you mean it
Why do I follow you and where do you go
You've never seen nothing like it no never in your life
Like going up to heaven and then coming back alive
Let me tell you all about it -
And the world will so allow it
Ooh give me a little time to choose
Water babies singing in a lily-pool delight
Blue powder monkeys praying in the dead of night

Here comes the Black Queen, poking in the pile
Fie-Fo the Black Queen marching single file
Take this, take that, bring them down to size
Put them in the cellar with the naughty boys
A little n*gger sugar then a rub-a-dub-a baby oil
Black on, black on every finger nail and toe
We've only begun- begun
Make this, make that, keep making all that noise
Now I've got a belly full
You can be my sugar-baby, you can be my honey chile, yes

(直訳+手直し)

本気なのですか?
どうして本気にならないのですか?
なぜ私はあなたについていくのか、そしてあなたはどこに行くのか

あなたはそのようなものを見たことがありません、あなたの人生で決してありません
天国に上がってから生き返るようなものです
それについてすべてお話ししましょう-
そして世界はそれを許します
ああ、私に選ぶ時間を少し与えてください
睡蓮の池で喜びに歌う水の子
草木も眠る真夜中に祈る乞食少年兵

黒の女王がやって来る、束に囲まれて、突っつきながら
ファイ・フォー! 女王様!一列に行進する
これを取れ、あれを取れ、やつらを縮み上がらせておやり
わんぱくなガキどもと一緒に地下室に入れておけ
砂糖を少しやってから、ベビーオイルをダバダバかけて
すべての手と足の爪に黒く塗れ
まだ始まったばかり
これをしろ、あれをしろ、そのすべての騒音を出し続けよ
今、私は腹がいっぱいになった
お前は私のシュガーベイビーになることができる、お前は私の愛しい子になることができる、はい


物語の概要

今回語られる物語の概要について、先にお話しします。

前回ご説明したイントロは、状況がよくわからず、ボラプの冒頭アカペラ部分のように、物語のどこかを切り取っていると思われるので、ここからが物語が始まると思われます。

前回のおさらいからいくと、

8拍(?)から始まったが、次の阿鼻叫喚のコーラスは2拍(?)に変わっている。

(wikiには8/8拍子と12/8拍子が同時に現れるポリリズムとあったが、みみは音楽は専門外なのでわかりません。)

ワイルドな太鼓がどんどんと鳴り響くなか、叫び声が6回。


You've never seen nothing like it no never in your life
Like going up to heaven and then coming back alive
Let me tell you all about it -
And the world will so allow it
Ooh give me a little time to choose
Water babies singing in a lily-pool delight
Blue powder monkeys praying in the dead of night

あなたはそのようなものを見たことがありません、あなたの人生で決してありません
天国に上がってから生き返るようなものです
それについてすべてお話ししましょう-
そして世界はそれを許します
ああ、私に選ぶ時間を少し与えてください
睡蓮の池で喜びに歌う水の子
草木も眠る真夜中に祈る乞食少年兵


突然バックが阿鼻叫喚系が消え、ピアノだけに切り替わって8拍(?)に戻ります。

叫び声が消えた瞬間、ピアノのチャンチャン...とともに、すかさずナレーションが入ります。

俯瞰者(ふかんしゃ)がでてきて、臨死体験をしたようなことを言います(天国に行ったとか)。

その驚くべきことを、全て話すと言っています。

物語が始まります。子供向けの子守歌なのでしょうか。

世界はそれを許すというので、ちょっと世間的に許されないような話のようです。ファンタジーでしょうか。

色々ありすぎて、どれから話そうか迷います。


英児童文学の「水の子どもたち」や昔存在したという青いパウダー・モンキー(達)が登場し、深夜の真っ暗な夜という設定が明らかになります。

この2つは後述します。

ここは流れるようなピアノがすばらしい。


Here comes the Black Queen, poking in the pile
Fie-Fo the Black Queen marching single file

突然、女王が表れ、兵士が忠誠の声をあげながら1列で行進します。

サウンドもダークな世界観になります。

Take this, take that, bring them down to size

「これをとれ、あれをとれ」。舞台は死んだような夜から一変し、騒然として殺戮(さつりく)現場のようになります。しかしここは何か十字軍的な威厳にあふれています。サウンドは光が差すようです。

ここだけちょっとリズムも変わります(3拍系)。

真夜中ですが、誰が被害者なのでしょうか。themといっています。

夜中に起きている、悪い子たちでしょうか。子供の精でしょうか。


女王へのコーラスがはいります(March to the Black Queen~)。リズムは戻る。

ギターソロで、略奪風景が描かれます。

太鼓も行進曲のビート。

Put them in the cellar with the naughty boys
A little n*gger sugar then a rub-a-dub-a baby oil
Black on, black on every finger nail and toe
We've only begun- begun

「彼らを地下の貯蔵庫(牢屋)にわんぱくボーイズと一緒にいれろ。」

ここでも彼らとは誰でしょうか。わんぱくボーイズは?モンキーたちでしょうか?

差別的ですが、有色人種の砂糖(少し?)と、ベビーオイルをラバダバかけてこするのでしょうか。意味の分からない言葉です。音的にはマザーグースのように韻を踏んで聞きやすい。ベビーオイルということは、牢屋に込められたのは子供なのでしょうか。

手と足の先を黒に黒に。始まったばかりというので、全身真っ黒にするのでしょうか。これらは序の口で、本当の恐怖はこれからという感じ。

Make this, make that, keep making all that noise

あれをしてこれをして、全ての騒音を立て続けるよう命令します。

ここもリズムが変わります(3拍系)。


また女王へのコーラスです(March to the Black Queen~)。リズムも戻ります。

Now I've got a belly full
You can be my sugar-baby, you can be my honey chile, yes

おなかはbelly(ベリー)。a belly-full of~で(嫌なもの)がたくさんある、という意味もあります。ここだけバックに高いピアノが加わります。

次のセリフは女王でしょうか。声が変わり、ハイテンションな感じがします。

「私のシュガーベイビーになれる、ハニーチャイル(ド)になれる。」

つまり、前のセリフは子供や格下のようです。砂糖やはちみつなど食料が形容詞として出てきます。前に地下貯蔵庫(cellar、地下牢)に少し有色人種の砂糖とともに入れられたらしい描写がありました。甘いもので子供を調教しているのでしょうか。

子供らしき者のセリフも満腹になったせいなのか、なんだ元気がなさげです。おなか一杯になったのは、砂糖でしょうか。黒の教えをたたきこまれてもうたくさん、という気持ちになっている感じもします。


ここから物語の最後まで間奏(50秒ほど続く)です。

間奏に入り、ギターソロで、この悪夢のような状態は続く模様です。


間奏は、途中の2:23~24くらいからリズムが8拍(?)から2拍(?)にまた変わり、ダークなサウンドから明るく威厳にあふれます。

チューブラー・ベル(のど自慢の鐘の音)が連続する4音階を1つづつ下がるメロディではいり、次にベースが同じメロディを奏で、次にピアノは古典的な左右が同じ旋律を奏ではじめ、次に「lalalala...」とコーラスが入ります。

ここの間奏部分は圧巻です。古典的な(キリスト教的)王国を称える旋律です。

私は古典的なこのピアノが大好き。

上に上がる「ラ・ラー」が6回続きます。女王や王国を称えるようです。


ここまでが物語1です。



概要のまとめ

単語をピックアップすると、

water babies, monkeys, boys, baby oil, sugar-baby, honey chile

など子供関連の言葉や、

rub-a-dub-dub(お風呂でごしごし、または太鼓ドンドン)などのマザーグース的フレーズ、「水の子どもたち」などの物語的要素があります。sugar2回やhoneyなど、甘いものも出てきて、いかにも子供的です。

ここの物語には、子供が関係しているようです。


音的には、暗い(ダーク)と、明るい(威厳的)を繰り返します。


間奏部分もおおいに語っており、素晴らしいの一言です。

3人とは思えない(または1人の)分厚いコーラスや演奏、リズムの変化、適切な楽器。古典的、物語的、王国的です。

ボラプのオペラティック・セクションを思わせ、意味は分からないもの圧倒されます。


これがざっとした私の概要です。

次回から詩について、韻(いん)やリズムも交えて詳しく解説します。


ありがとうございました。

おまけ

水の子どもたちとパウダーモンキーについて

水の子どもたちは、1863年にイギリスのチャールズ・キングスレー牧師によって書かれた本。煙突掃除少年トム(浮浪児・孤児)が水に溺れ、水の子に生まれ変わり、虫や女神に導かれ(後発だがアニメ・ピノキオに似てる、原作は1883年イタリア)、徳を積んで真人間になる道徳的な話(ギリシャ神話・ヘラクレスにも似てる)。チャールズ・ダーウィンの進化論を牧師の立場において擁護したともいわれる(進化論は昔のガリレオの「地動説」と同じく、教会の地位を揺るがすもの)。

イギリス国家の貧しい者への仕打ちや児童労働や不衛生な状態も疑問を呈したといわれる。冷たい水でごしごしすれば浮浪児・孤児も鍛えられ、いい子になれると考えていたようです。

おそらく、この曲の「水の子供達がユリのプールで喜びに歌う」、とは、睡蓮のことで、水の子たちの幸せな様子を描いている。

この物語はイギリスで19世紀で最も知られた物語の一つとなる。しかし差別的表現(アメリカ、黒人、ユダヤ、アイルランド、など)が多く、現在ではあまり使用されないらしい。

因みに、2年後のイギリスで、1865年にオックスフォードの数学教授のルイス・キャロルにより、アリス・キングスレーを主人公にした「不思議の国のアリス(Alice’s Adventures In Wonderland)」が出版される。1862年、29歳くらいの時に親類?の少女アリスに語った作り話をせがまれ文書にしたもの。ハーツの女王(Queen of Hearts)が登場し、傍若無人にふるまう。

1876年にはアメリカで、「トム・ソーヤの冒険」がマーク・トウェンによって出される。続編の「ハックルベリーの冒険」はアメリカ文学の祖ともいわれる。これは黒人種への差別的表現にあふれるのは作者が最初に断っている通り。当時のそのままの言葉を再現したから。


パウダーモンキーは、イギリス海軍で、戦闘の時に火薬を運ぶ少年のことのようです。最初にこの言葉が使われたのは航海時代の17世紀とのこと。10代前半くらいの少年水兵のようです。火薬があると危険なので、非戦闘時は火薬は倉庫にあり、戦闘時は素早い彼らにやらせたとか。負傷や死亡もあったとのこと。痛ましい。

アメリカなどでも19世紀の終わりも戦闘時に存在したとか。

これはキングスレーの疑問視した児童労働に関わります。水の子になったトムも孤児で煙突掃除人なので、同じく煤だらけでしょう。

なぜブルーなのかはわからないが、ブラックなクイーンに対応しているのかもしれない。「ブルーな」、やブルースなどを掛けている?またはユリのプール。

このように、目に見えない水の子たちが(夜の?)池で楽しく暮らしている一方、トムのような児童労働をしている子供が、死んだような夜にブルーになって祈るのでしょうか。

いずれにしても子供の話のようです

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