右側通行。
______ノンフィクションとフィクション。
『右側通行』 acado nae 著
なんでみんな左側通行するんだよ、壁に右側通行でお願いしますって書いてあるやろうが!!
京都河原町駅を歩きながら、左側通行する人たちをかき分けて、私はいらいら右側を貫く。
関西はーとか
関東はーとかじゃなくて
書いてあるんだからわかるだろ!
毎日の登下校で同じ駅を、通る私は
日々、イライラを募らせていた。
今日も変わらず、右側の壁に沿って、
でも、ちゃんと体の面を横に向けて、
縦に小さくなりながら、
前から歩いてくる人を
切り抜ける。
はぁぁぁあぁいらいらする。
すると、その時、
ちょうど大阪梅田からやってきた電車が到着し
大量の人が降りてきた。
その人々は、右も左も関係なく、
広めに作られた階段を埋め尽くして上がってくる。
はぁ、。
反対に大阪梅田行きの電車を目指す
少数派のわたしたちは
その人の多さにうんざりした。
はぁ、。
私が二度目のため息をついた時
もうスピードで歩いてくる人がいた。
「おら、どけよ!ふざけんなよ、邪魔だよ!!」
興奮を抑えきれない
謎に起こった人間が集団の中を突っ切る。
やば、なんかあれは、やばい人だ。
朝の駅にふさわしくない尋常じゃないほど
怒っているその人に、
すれ違いぶつかられた人のヘッドフォンがズレる。
その彼はヘッドフォンを治しながら
変わらず前に向かって行ったけれど
私だったら嫌だなぁあれ。
八つ当たりじゃん。朝から気分悪いな。
「どけよこら、開けろよこら」
声をあげるその人は、大きく膨らんだ腹を左右に揺らしながら歩いていった。
あんなんに巻き込まれたら最悪だな。
人ごみをかき分けながら時計を確認した私は、
出発時刻まであと、4分だということに焦る。
発射までにトイレ行きたいんだけど。
いらいら、いらいら。
あ"あ"。
私も負けじと怒ってるな。
そう自分を客観視した瞬間、
さっき過ぎ去っていった
怒ったあの人を思い出した。
ズカズカ、歩く、あの男。
いやあの腹。
「ちっ邪魔だよ、右、ちっ」
さっきは聞こえなかった声が
聞こえるような気がする。気のせいか?
あれ、
「おら、どけよ!ふざけんなよ、邪魔だよ!!」
あの人が歩いてたのって
あ。
右側か。
右側なら、仕方ないよね。
親近感が湧いた。
以上、ご清聴ありがとうございました。
nae'avocado