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3. 地下鉄乗車の洗礼

 14:45ポルテラ空港着。空港は日本のローカル空港を思わせる簡素な出迎え口から始まったが、ブロック毎にさりげなくタイルの色が変わってゆき、タイル好きの私は此処からしてポルトガルに着いたわくわく感が始動する。
 ブロック毎のタイルを写真に収めなかったことが残念でならない。
 市街地隣接のポルテラ空港はアクセスが良く、タクシーを使わず地下鉄で市内に入ることにした。ポルトガル語は全く諦めての旅行の為、チケット購入は英語に頼らざるを得ない。路線自体は4系統なので難しさはないのだが、日本の駅チケット購入タッチパネルを思い出してもらえると有難い、その外国語バージョンとなると異国人にはパネル表示理解は難しい。
 やっと購入してホームへ降りると丁度電車が滑り込んできた。電車先頭行先名も車輌横の行先表示も確認する時間が無かったため、行き先情報は車体カラーだけだった。目の前の電車は「青」、私たちが乗車したいのは「赤」系統。この日本的な感覚がまず修正される。違うと判断して一本見送ると次に入ってきた電車も「青」。今度は行先を確認する。「そうなのね、車体は色分けされていない。」と学習。

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 日本は一旦色分けすると何もかも統一され便利だったが世界中がそうではないのだ、とまだこの訪問時はスペイン、ハンガリー、とポルトガルが海外旅行三ヵ国目の初心者は納得する。
 この手の「区別」されない世界はチケット自体にも及んでおり、寧ろこちらに気が付くまでが手古摺った。チケットにはチャージタイプ「StoredValue」と乗り放題「Bus/Metro daily ticket」の二種類があり、そのチケットは単なる紙片ではなく磁気が内包された名刺サイズの紙製。JR東日本発行のSuicaのようにプラスティックでもなく、イメージとしてはお店で利用する紙製スタンプカードとさほど変らない。この耐久性に問題がありそうなカードをチャージ用として何度も使うというのも何とも不思議だった。

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 翌日、前日に「一日券」として購入したチケットに「乗車一回分」をチャージしようとするがチャージ出来ず。困り果てていると、見かねた隣の方が「それには出来ない」旨をジェスチャで教えてくださる。見た目は同じチケットでも一日券として購入したものは一日券の機能のみ、日本の紙チケットと変わらない。只、使い捨てに使うには贅沢な仕様。つまり、これを一回券と併用することはできないのだ。色違いのデザインでもなければチケットに区別の記載文字があるわけでもない。こうした親切なサービスが日本的だということは外国へ行かなくては解らない。この件は帰国してガイドを改めて読んでもそこまで丁寧な記載はされていなかった。実地演習応用編の世界。
 同じくメトロに関しての笑い話。
 日本の様に各車輌停止位置に合わせて乗客が並ぶラインが引かれていないことは当然だろうことも、おそらく車輌停止位置マークがないことも予想はあったので驚きも困惑も無かったが、実際はさてホームの何処で待とうと戸惑いはする。
 ホームを眺めると皆夫々のところで三々五々待っている。そのばらけた風景に私たちも入り「適当」に立った。そう「適当」に立ったお蔭で入ってきた電車が随分とホーム先前方に三輌短く停車し駈けっこ集団に巻き込まれることになる。よくよく見ると走っているのは同じ観光客の模様。あてにしていた外国人の多くが現地の方ではなく観光客だった。日本人とは違うのだからあてになどしてはそもそもいけない外国人だった。(*決して侮辱ではなく国民性の差)以降は進行方向の前方で待ち、静かに乗車。 (*Topの写真を参考に)
 おそらく観光客の多くは母国ではたった三輌ではなくもっと長い車輌に乗り込んでいたのではないか。車輌はたったの三輌で乗り込む人々も溢れるほどではないにも拘わらずいたずらにホームが長いのが解せない。これが先の誤解を招いているのだ。但し、車内は綺麗で荒れた感じもなく安心して利用できる印象を受けた。また、電車到着2分前から30min刻みで到着時間案内表示が出され、停車から約20秒で客を乗り込ませ発車という、これも予想外のシステマティックな部分に接する。

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