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「レオン 完全版」

原題:Leon: The Professional
監督:リュック・ベッソン
製作国:フランス・アメリカ
製作年・上映時間:1994年 133min(完全版)*110min(通常版)
キャスト:ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマン、ダニー・アイエロ

 あらすじは不要かと、今回は省略。
 映画館で観たのは今回が初めてだが、既に作品は何回か観ている。全て展開は知っていても、それでも見入ってしまう。
 TOHOのお陰で完全版という形でスクリーンで観られたことはうれしい。

 冒頭、鳥瞰風景から入りワールドトレードセンターが映った時に、この映画が昔の映画だったことを再認識した。

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 人を愛することを捨てた殺し屋と家族を殺され愛する家族を無くした少女。共通点があるとしたら二人とも孤独であること。

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 二人の身長差を活かしたシーンが冒頭坂道の他、効果的に随所に入る。

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 現在のナタリー・ポートマンを知っていることが反映しているとしても、少女の中に大人を見せる演技。二人の会話にもあるよう、大人になろうとする少女と世間がいうところの大人になり切れていない大人の対比。

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 作品最初の頃にある無条件で私をあなたの部屋に入れてと懇願するシーンではレオンの台詞はないが、扉が開いたことを画面の明るさだけで示す。同時にその光は彼女にとっては救いの光でもある。
 こうした王道的なカメラワークに全く制作から時間が経過したことを感じさせない。

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 スタンフィールドを演じたゲイリー・オールドマンの狂気も見事。
 ベートーヴェン「田園」を脳内再生しながらの少女家族への非情さ。

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 最後の最後まで卑怯を体現する彼。

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 全てが終わった時、ある意味これも予定調和だと映った。
 邦画ほど安直な幸福は用意されていないように表面上は見えるが、少なくともレオンは不幸ではなかった。マチルダにしても結果的には悪の連鎖が犠牲を伴いはしたが切れた。

 CGを多用せずとも、厚塗りよろしくの音楽を重ねずとも俳優皆さんの演技と脚本、意味あるカメラワークが揃うと時間経過に劣化しない作品が出来る見本のような作品の一つだ。
 エンドロールでSTINGが歌う「Shape of My Heart」が只々切ない。特に弦だけの音色になった時に言葉少ないレオンの姿が重なる。
★★★★★

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