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16.Loios checkin

 元は修道院と聞いていたので一切の華やかさは期待しなかったにも拘わらず、一歩中に入ったそこにあったのは洋の東西の違いが示された「慎ましさ」のlevel差。Top写真はホテル入口からカウンタを抜けての中庭に面したロビー風景。正面のタイルはシンプルなデザインだが近くで見るともっと華やかだ。改装している部分を差し引いても残る、圧倒的な存在感。大理石やタイルがこの静謐中にも華やかさをもたらすのだろう。

 滞在中何度も上り下りした大理石の階段。日本の星が付いたホテルよりも重厚感を示す。単に機能だけの階段に日頃接していると「世界が違う」の言葉を使いたくなくてもそこへ辿り着く。もう一度念を押すが此処は元修道院なのだ。

 正式なチェックインの手続きを終え、写真の階段の奥にある回廊を渡り部屋へ入る。ポサーダ到着時に一名の予約とあるが、と告げられ慌てるがすぐに対応してもらい部屋の鍵を受け取りEvoraでの時間が始まった。

 客室ドアの作りやこのルームキーを渡された時、更に加えるとこんなにもシンプルな鍵で安全は保たれるのね、と元修道院背景の長閑さを見る。実際、自宅の玄関ドアよりも軽やかな音でドアは開いた。

 駅からLoiosまで暑い中を移動し、更にはチェックインまでも時間があった為待ちの間の散策で疲れた私たちに正に文字通りの「welcome fruit」が気持ちが良いほど冷やされ待っていてくれたことには素直にうれしく、これから此処Loiosで気持ちよく過ごす時間が約束されたようだった。
 実は正確に記すと、私は本当の修道院に泊ったことがある。
 長崎の教会でボランティアをしていた。皆が想像するより九州であっても冬雪の日は多い。ある日、雪の降り方が激しさを増し市内バスも運行を中止し困った日に(坂の街長崎は雪に弱い)シスターのご好意で泊らせていただく展開となった。
 用意された部屋は清貧という言葉通り慎ましく、生活するにあたって必要最低限のベッドに横たわりカーテンから伝い下りてきた冷気を覚えている。
 その部屋と比較すると調度品はホテル用に新たに置かれた筈の為除外してみても、ポルトガルの修道院は恵まれた部屋に映った。

 


 


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