見出し画像

18.街の概略を掴む

Ⅰ:◇水道橋
 「アレンテージョ」ことばの響きが綺麗だ。意味は「テージョ川の彼方」、Evoraはこの意味通りにテージョ川南にアレンテージョ地方中心都市として栄えていた。リスボアから東へ130kmも離れると寧ろスペイン国境に近い。歴史は丘の上のローマ神殿跡から察せられる通り兎に角古い。

 ホテルレストランは中庭に面した回廊を充てていたが、中庭中央の育ったオレンジの木が見事で狭さや圧迫感はない。cafeの通りに置かれたテーブルのような雑踏を楽しむとも趣は違い、外に接しながらもとてもパーソナルな静けさが心地良い。

 ヨーロッパの朝食でうれしいのは大好きなクロワッサンが美味しいこと、勿論、パンはペストリーも含め外れが無い。チーズ、ハム、果実の種類の多さとその美味しさ。イタリア同様にオレンジがふんだんにあり、特にジュースピッチャー脇には沈んだ果実を攪拌するようマドラーが置かれていたのはニッコリ、つまりそれほど搾りたてで新鮮と云うこと。一日中歩き回る為十分なvitaminを意識して摂取し一回目の散策へ出る。

 私たちは此処に三泊した。観光で訪れる多くの人は宿泊無し、理由は町の大きさもあるがスペインのツアーのカップリングの為だ。街が手頃な大きさと云うより小さい為か個人旅行で訪れたとしても一泊が大半。
 何をもって手頃というのか。この語感にはこちらの都合感が漂い過ぎていないか。生涯の中で再訪出来るとうれしいがその可能性が低い分、私はゆっくり街を歩き、足を止めながら様々な風景をこころに留めたい。となるとどの街でもせめて二泊はしたいといつも考える。せめて一日だけでも訪れた町の24時間に居たい。

 先ずは、アグア・デ・プラタ水道橋 Aqueduto da Água de Prataを辿る。
 完成は1537年、19世紀には改修が行われている。街中に解け込んだ、と表現するのか「街に取り込まれた」と伝えるべきかの様子は前に伝えた。
 始点は写真でも解るように街の中央低い高さから始まり、高さを次第に増していく。この本屋さん、どうしても此処にお店を開きたかったのね。こうした個性ある店舗が他にも見られた。

 水道橋の表と裏。旧市街地側とはちがい新市街地から眺めると壁は石垣ではなく塗りこまれ、写真のようにアーチは飾りではなく車が普通に走行している。まさしく共生の姿だ。

 水道橋一つでこれほどゆっくり散策。この水道橋付近にcafeがあったり土産店があるのでもない。只、過去の建築物水道橋があるだけの寧ろ生活路なのだが、遠い世界を想像しながら歩くことは案外楽しい。城壁外ももうすぐ。

 改めて写真加工一切無しにこの空の青は何!と。滞在中は雨に合うことなくこの吸い込まれるような青空の下、石畳を歩く。アイルランド旅行の写真とはあまりにも対照的過ぎる。

 

 

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?