蜜蜂

「蜜蜂と遠雷」

監督:石川慶
製作国:日本
製作年・上映時間:2019年公開 119min 
キャスト:松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士、片桐はいり、平田満、アンジェイ・ヒラ、斉藤由貴、鹿賀丈史、(東京フィルハーモニー交響楽団)

 原作未読での感想となる。
 原作映画化の場合、どうしても時間枠の中に全てを入れることはできない。もし、それを強引にもしようとするとダイジェスト版と何ら変わりがない作品になる。
 本で表現できない「音」が、それを得意とする映画媒体が全く活かされていない。「世界は音に溢れているわね」の親子会話で示す音もその音の絵もあまりに陳腐過ぎる。
 competitionの場に現役奏者を立てた音のリアルさと云われても、今は俳優さんが必死で楽器をこなし、自ら歌う時代にセールスポイントにはならない。そもそも、クラシックの一部を聴かせて「それらしく」しただけでは、そこに深みは生まれようがない。

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 元天才、天才等の話は多くある。珍しい設定である生活者が奏でる音の風景を描いて欲しかった。最近演技の幅が広がってきていてる松岡茉優、松坂桃李、お二方の演技を中心に観たかった。
 全てが中途半端な上、審査をする風景もTV番組並みのチープさで重さが感じられず映画作品としては印象に残る絵もなく終わってしまった。

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 平田氏のように仮令出演シーンは少なくとも、脇をしっかり支え、見えない話の部分まで浮き上がらせてくださる存在は好印象。同じように、片桐はいりさんのクロークでの細かな演技も現実味が添えられ実に良かった。
 こうした細部を丁寧に描くことで全体は締まっていくはずと考える。反対に、ブルゾンちえみの配役はミスキャストのようで、空気が全く合っていず終始浮いたまま逆目立ちになっていた。
評価点は平田氏、片桐女史に一票。

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