目で音を聴いていた:雑踏の溢れる音の中で
パートナーの予定変更に伴って散策の帰路が一人になった。
万が一に備えてバッグにイヤホンを入れていたならよかった、と反省しながらいつもの見慣れた街を、いつもどおりに歩き出したのだが。
帰省した時には教会や路面電車が走る長崎の音は東京で過ごす日常とは明らかに違い懐かしくて音を拾うように聴いてるのに、私は自分が住んでいるこの街の音を採集するように聴いたことはなかったかもしれないという考えに、ふと落ちる。
「些細な音も聴き取るわ」と自身に小さな宣言をして自宅への道を歩き始め