「みんなには曲を聞くことによって元気づけられたり、また歌詞に込められたメッセージを聴いて良い影響をもたらしてくれることを願っている」AURO CONTROLインタビュー
ブラジルという国は音楽大国であり、メタルの歴史においても重要なバンドを生み出してきた国で、現在においてもプレイヤー、リスナー共に層が厚い国である。それまでメタルと言えばアメリカやヨーロッパのバンドが当たり前だった80年代、SEPULTURAがデビューし、その後世界規模で成功を収めて以来、ブラジルにおけるメタル・ムーヴメントは過熱する。90年代になると世界的にはグランジ・オルタナが流行しグルーヴを重視したメタルが主流となっていく中、日本では80年代からの延長でメロディを重視したバンドが次々とヒットを飛ばしていき、中にはビッグ・イン・ジャパンと半ば揶揄的に表現されるまでの人気振りを博したバンドも少なくなかったが、世界の音楽市場の中において、当時それだけ日本における売り上げの割合が高かったことを示す言葉だろう。そんな中、1994年日本のファンの琴線に触れるブラジルのバンドが日本でデビューする。この記事を読んで頂いている多くの読者の方がご存じであろう、デビュー・アルバム「Angels Cry」で一躍時の人となったバンドANGRAだ。クラシックをベースにしつつも、ブラジルの民族的なリズムを大胆に取り入れたこのバンド・サウンドは、日本で爆発的な人気を獲得する。現在も活躍する彼らのその後はご存じの通りなので割愛するが、母国ブラジルにおいても彼らの成功は多くの影響と亜流バンドをも生み出し、シーンの活性化を促した。そして当時若かりし頃そのANGRAに触発され、後々となった’20年代にAURO CONTROLというメタル・バンドを結成し、アルバム「The Harp」でデビューした人物が本日の主役、バンドのリーダー兼ヴォーカリストのルーカス・デ・オウロである。彼はアンドレ・マトスやエドゥ・ファラスキと言った元ANGRA組だけでなく、ジェフ・スコット・ソートやジェフ・テイトなどのレジェンドからも多くの影響を受けたと語る。
どうしてバンドを結成しようと思いましたか?その時どういうアイデアを抱いてましたか?
ヴォーカリストである、自分ルーカス・デ・オウロ(以下オウロ)が抱いていたアイデアから全ては始まったんだ。パワー・メタル、プログ・メタル、民族的ブラジル音楽とパーカッションをミックスしたようなサウンドのバンドをね。自分はギタリストのルーカス・バネリー(以下バネリー)と共に、自分たちのルーツであるヘヴィメタルに基づいた、アルバム作成への素材を2年ぐらいかけて用意したんだ。その作曲は自身の影響に沿ったものであり、過去への旅でもあった。
あなた方のサウンドを5つの単語で表すと?
スピーディかつ正確、更に純粋でメロディックでもあり、エネルギッシュだね。
このアルバムはファンにどのように受けとめられると思いますか?
高い評価を貰えると確信しているよ!作品には惜しみない努力と愛を注いだからね。自分たちにとっては夢の一部が叶った訳さ。俺たちがこれを作った時と同じようにファンのみんなにも好きになってもらえると嬉しいね。
このアルバムでファンにどのような体験をしてもらおうと思っていますか?
最初にリリースしたシングルで、自分たちの主たる影響を表に出して、バンドの本質が何なのかを示したかった。ファンのみんなには曲を聞くことによって元気づけられたり、また歌詞に込められたメッセージを聴いて良い影響をもたらしてくれることを願っている。他の曲もファンにとって大きなサプライズになることを願っているよ。
どうやって曲作りを進めましたか?
自分はほとんどの歌詞を書き、バネリーはアルバムの11曲中8曲を作曲したメイン・コンポーザーだ。ただディエゴ・ピレス(以下ディエゴ)やチアゴ・バウムガルテン(以下チアゴ)も、曲に沿った様々なアイデアや提案をしてくれたよ。
バンドのメンバーは他にどのようなバンドで活動していましたか?
自分は様々なスタイル(ジャズからワールド・ミュージックまで)の違ったバンド・プロジェクトでローカルの活動してきたミュージシャンで、AURO CONTROLが本格的なメタル・バンドだ。チアゴはブラジル国内のいくつかのコンテストで優勝した人物で、現在はHIBRIAのメンバー。バネリーはずっとソロで活動してきて、ローディ・クルー・マガジンが選ぶブラジルのトップ20のギタリストとして選ばれたこともある。ディエゴは伝説的なアメリカのバンドWARLORDでもプレイしているし、デヴィッド ”ダヴィ” ブリトーはDREAM THEATERのカヴァー・バンドをやっていたこともある実力派新人だ。
今回のアルバムの収録曲はどうやって決めましたか? この作品はどのような内容なのでしょう?
このアルバムは人間の魂の主観を通したツアーであり、パワー・メタルの特徴であるエネルギッシュで速い瞬間があり、かつプログ・メタルの影響を多く受けたテクニカルで複雑な部分も含まれる。これらすべてには、ブラジルのパーカッションとブラジル北東部の特徴的なリズムをミックスしたユニークなタッチが加えられているんだ。
他のバンドと比べて、あなた方のバンドのライヴには何が期待できるでしょうか?
最近ライヴをする機会に恵まれていくつかやったけれど、それに対するバンドへの評価は凄く良いものだった。表現するのが難しいし、他のバンドと比較することを特に重視していないけれど、間違いなく自分たちは観客にエネルギーを届けることが出来ると思うよ。
歌詞のアイデアはどこから?アイデアの元となったのは何でしょうか?
歌詞のアイデアとなったのは自分の最近の数年間に渡る暗黒期から発想が来ていて、中心となるのが困難を克服することについてだ。それらは内省と発散であり、影から出てきて人生のスポットライトを求めるための招待状であり、結局のところ、誰もが立ち上がって声を上げるべきということなんだ。この比喩は、孤独の瞬間との戦いを示唆し、暗闇の瀬戸際での重要な転換点と変革について語っている。意志の力と勇気は自分たちを動かし、人生に新しい意味を与えるんだ。
楽曲はみんなで協力して作りましたか?
その通り。バンドにいる全員が自由にどの曲でもアイデアを出し合って作るんだ。
音楽は歌詞に影響しますか?またその逆はどうでしょうか?
自分たちにとって曲(楽器パートという意味で)はファンが聞くときに感じて貰いたいことを表していて、そのヴァイブというのはとても重要なんだ。曲に込められたメッセージがサウンドと噛み合うように細心の注意を払っている。逆も然りさ。
あなたはバンド・サウンドをどのように表現しますか?
この2年間、作曲のプロセスでは、アルバムを再生した時にユニークな視点を持たせられるように色んな異なる要素をミックスすることに腐心した。次のアルバムでは、既にあるアイデアを元に今まで以上の深みを出すつもりさ。終わりなき作業だね。
最も影響を受けた5つのバンドを上げるとしたら?
ANGRA、STRATOVARIOUS、HELLOWEEN、SYMPHONY X、そしてDREAM THEATER
このアルバム全体をまとめて一言で表すと?
ブラジルからの大いなるサプライズ。「The Harp」は、作曲、美しいコーラス、優れたメロディのアイデアという点で、新しいけれど成熟したバンドを紹介するデビュー・アルバムさ。 非常にテクニカルでハイレベルなミュージシャンと、素晴らしいプロダクションが組み合わさったこの作品は、リスナーをクラシックなパワー・メタルとブラジル北東部のリズムを掛け合わせた世界に誘う。
各収録曲を解説してください。
1 Aurum Regium
イントロだね。
2 Feel the Fire
北ブラジルの伝統的なリズムにインスパイアされた導入部分から始まるクラシックなパワー・メタル。速いギター・リフと強力なデュエットがある。この曲は過去の呪縛から離れ、もう昔の自分では無いことを表している。
3 Not Alone
力強いパーカッシヴなイントロにモダンな音色とヘッドバンギングできるリフ。キャッチーなコーラスと壮大なソロが、曲を更に豪華にするための特別なゲストへの呼び水となる。この曲はほとんどのメンバーのお気に入りの一つだ。オウロが最も影響を受けたヴォーカリストの一人であるジェフ・スコット・ソートとデュエットしているからね。
4 Rise of the Phoenix
このアルバムの中で最も速い曲。アキレス・プリースターという偉大なドラマーによってドラムは録音された。この曲はファースト・シングルになり、バンドのミュージシャン全員のテクニックを示した曲。
5 The Harp
このアルバム・タイトル曲は注目すべき瞬間が沢山あって、スピード・メタル、ヘヴィでメロディアスなサビ、アイエスの天使のような歌声、オウロのパワフルな歌声が入った曲。そしてフェリペ・アンドレオーリとチアゴの二人による、今までかつてない長さのベース・ソロが繰り広げられている。
6 Afterglow
ヘヴィでクラシックなスピード・メタルに焦点を当てた、このバンドのプロジェクト全体を生み出したこの曲は、モッシュするための曲。素晴らしいコーラス、バネリーとディエゴの二人による壮絶なツイン・リード・ギターが収められた曲だ。
7 Head up High
この曲は自己判断を取り払って、違った視点を通して自分自身を客観視することの重要さを説いている。サビから始まって、バランスを失わずメロディアスで輝く特徴を持った音色が、メロディックでプログレッシヴなパートを通して駆け抜けている。
8 Conception
この曲は各バンド・メンバーから持ち寄った様々な観点と影響を表している。リズミックなバラードではあるけれどハードロックに起因する側面もある。ベースのチアゴ作曲による曲で、愛があらゆる形で時間を超越することを示す素晴らしい歌詞だね。
9 Runner
ギタリストのディエゴが作曲した神聖なアイデア。まるでランナーが走り出すような、キャッチーでテンポの良いメロディとコーラスが特徴のスピードソング。 間違いなく、一度聴いたら一緒に歌いたくなるようなコーラスさ。この曲はライヴで演奏するのに最適な曲の 1 つだね。
10 Breaking Silence
バネリーが作曲したバンドの可能性を最大限に発揮した良いサンプル。 複雑かつブラジルのバーイアのリズムを多く反映していて、この曲には、驚くべきリフ、ヴァース、そして爆発力のあるコーラスがある。メタルとバイアナ音楽の融合の真髄といったところだね。
11 Inside The Mirror
バンドによるプログレッシヴなバラードは、自分自身の影の真っ只中でも光を見つけることができる、という考えを強化する見事なヴォーカル・ラインで、様々な瞬間をもたらす。 最もエモーショナルなソロの一つと最も爆発的なエンディングではオウロがその才能を全て使い、息を飲むような音色を披露している。
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