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「ファンはライヴの重要な要素で、彼らが居ないと正しいライヴとは言えない」-フレドリック・バーグ(BLOODBOUND)インタビュー

 2019年念願の初来日公演を果たし、ファンに素晴らしい思い出を残してくれたBLOODBOUND。前作『RISE OF THE DRAGON EMPIRE』から約2年を経て最新作『CREATURES OF THE DARK REALM』を完成させたBLOODBOUNDのブレイン、フレドリック・バーグに来日時の思い出、新作やこれからのことなど色々語ってもらった。

-2019年BLOODBOUNDは遂に来日を果たしました。今振り返ってみていかがでしたか? 楽しめましたか?

フレドリック・バーグ: もちろんさ。日本でツアーが出来て本当にハッピーだったよ。俺は日本で1997年からアルバムをたくさんリリースしてきて、常に日本でライヴをしたいと思っていた。東京は素晴らしかったよ。見て探索したいと思える興味深い場所が山ほどあった。もちろん日本のファンも素晴らしかったよ。また日本に戻ってくるのが待ち遠しいね。で、2019年にEvoken festでプレイした時に、主催者のYamaが2021年のEvoken festに再び呼びたいと言ってくれたんだ。でも残念ながら世界はパンデミックに陥った。だから2022年には来られることを願っているよ。だから待っていてくれ。

*ライヴ後の集合写真。バンド念願の日本公演の熱演は凄まじかった。

-個人的な思い出ですが、初めてあなた達のライヴを生で見て、特に大好きな名曲“Nosferatu”が聴くことができてとても感動しました。ただ、まさかライヴ直前になって、自分がノスフェラトゥ(バンドのマスコット・キャラクター)の中に入りステージに立つことになるとは思っていませんでしたけど(笑)

フレドリック: 君もライヴを楽しんでくれたようで良かった。俺たちは常に素晴らしいライヴになるよう努力しているし、東京での3公演は素晴らしかった。ファンの反応もとても良かったしね。君がノスフェラトゥを引き受けてくれて助かったよ。グッド・ジョブ!(*ちなみに3公演中、中の人がライヴに行けなかった日はNORTHTALEのビル・ハドソンがノスフェラトゥの中に入っていたという噂!?)

-あなたはSNS上で自身が新型コロナウイルスに感染したことを公表していましたが、その後調子はどうですか?

フレドリック: ああ、俺と家族は去年12月に感染したんだ。自分は幸運なことに重症化はしなかった。4、5日間熱が出て、今までに無いような倦怠感に襲われたけどね。ただ、その感染で味覚と嗅覚が感じられなくなり、今現在(4月末時点)も回復していない。味覚は50%くらい戻ったけど、嗅覚は全然だね。早く全回復できると良いんだけど。(*5月上旬、今度はヴォーカルのパトリック・J・セレビーも新型コロナウイルスに感染したと公式で発表。早く回復することを願いましょう)

-2020年から始まった一連のパンデミックで、バンドのライヴは軒並みキャンセルか延期になりました。メンバー達はその間曲作りをしていたのでしょうか。それとも他の仕事をしていましたか?

フレドリック: 俺たちは常に曲作りはしているんだ。だから2020年内に新譜をレコーディングすることは、パンデミックが無かったとしても行なわれていたよ。だからこのタイミングで新作をリリースする事は予定通りだったということさ。

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-前2作はアルバム・タイトルにドラゴンが含まれていました。今回もドラゴンものかと思いきや『CREATURES OF THE DARK REALM』がタイトルですね。今作のコンセプトを教えてもらえますか?

フレドリック: 今回のコンセプトは恐怖に直面する事を表している。そして恐怖は姿形を変えて様々な装いでやってくる。人々は異質なものに対して恐怖する。でもそれは通常、単なる頭の中でのファンタジーにしか過ぎないんだ。対処方法さえ知っていればそれに打ち勝てることを表している。

-クレジットによると、各メンバーがそれぞれ身近なスタジオで今作をレコーディングしたようですね。これは今作に限らず、バンドにとってはいつもの事なのでしょうか?

フレドリック: そうだね。今作も過去の大半のアルバムと同じようにレコーディングしたよ。ただドラムのみ大きなスタジオで録音したけどね。他のメンバーは各自ホーム・スタジオで録音した。ミックスに関してはキッチリとした設備のプロ・スタジオでやったよ。

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-今回レコーディングで最も重要視した部分は有りますか?もしくはどこに一番力を入れましたか?

フレドリック:今回最も重要視した部分、というか全てのアルバム共通で重視しているのは可能な限り強力な曲を作ることさ。作詞作曲に関しては常に前作超えを目指しているよ。あともちろんだけど、全てのパフォーマンス、アレンジ、ミックス、そしてマスタリングも最高のものにしなくてはいけない。1枚のアルバムを作るのは長い長い道のりなんだ。

-BLOODBOUNDでの作曲過程を教えてください。あなたやトーマスが最初にデモを作るのでしょうか?

フレドリック: このバンドには3人のメイン・ソングライターが居る。俺、パトリック、トーマスだ。その過程はアルバム毎による。俺たちは各自ホーム・スタジオで作曲やアイデアを練って、その後、皆にプレゼンする。そうやって話し合いながら徐々に正式な曲の形にしていくんだ。俺たちは常に曲作りはしているよ。

-あなたはアイデアの枯渇からは無縁のようにも思えます。あなたが作詞作曲をするときは、どこからインスピレーションを得るのでしょうか?

フレドリック: 人は誰しも多感な時期に聴いたバンドや今好きで聴いているバンドに、例え無意識だとしても多少なりとも影響を受けるものだよ。俺たちは特定のバンドを想定して曲を書いたことは無いんだ。可能な限り良い曲を書くために腐心するし、インスピレーションの元はたくさん存在するよ。

-あなた方は2015年にリリースした、チェコで行われたMasters Of Rock FestivalのライヴDVD『ONE NIGHT OF BLOOD』に続いて、今回も2018年の同フェスのライヴを収録したDVDをリリースしますが(日本未発売)、チェコではかなり人気が高いのでしょうか?

フレドリック: ああ、チェコでは人気があるんだ。そのフェスを開催しているプロモーターは、最大手かつベストなメタル・プロモーターでとても良い関係を築けている。俺たちは2008年から毎年ずっとチェコでライヴをしているんだ。コロナが起こるまではね。実は当初2019年のEvoken festでのライヴを新作のボーナスDVDにしようと思っていてね。全部撮影もしたんだよ。だけど残念なことに録音した音の質が良くなくてね。これじゃあ正規品としては出せないってなったんだ。だから将来再来日した時に改めて録音し直して、それをいつか映像作品として出せたらと思っている。

-今回日本盤のボーナス・トラックに収録されている2曲のライヴ音源は、前出の2018年に収録した映像と同日のものでしょうか?

フレドリック: その通り。2018年のMasters Of Rock Festivalからのテイクさ。

-最近BLOODBOUNDの全スタジオ・アルバムを聴き直したのですが、今までスロー・テンポの曲は数多くありしたが、他のバンドと比べて純粋にバラードと呼べる曲は極端に少ないですよね。これには理由があるんでしょうか?

フレドリック: 言われてみれば(笑) 多分今まで3、4曲くらいしか作って無いんじゃないかな? 特別な理由はないんだけどね。さっきも言ったけど俺たちはただ強力な曲を作りたいだけなんだ。その結果そうなっただけさ(笑)

-今のラインナップになってから、今回で3枚のアルバムを作ったことになります。どれも完成度が高い作品になりましたが、その理由ついてどう考えていますか?

フレドリック: 数年前のドラマー交代を除けば、俺たちは2010年から同じメンバーなんだ。今バンド内にはとても良いケミストリーが働いているし、俺たちが作る音楽に反映されていると思う。その秘訣というのは、とても良い人間関係が築けていることに他ならない。お互い仲間として支え合い、そして共に過ごすことがとても楽しいんだ。

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-BLOODBOUNDは既に15年以上活動を続けていますが、これだけ長く続けられている秘訣は何でしょう?

フレドリック: 最大の理由は諦めずやり続けることだね。未だにバンドが存続している大きな理由として、ラインナップが素晴らしいということが挙げられる。みんな人として素晴らしいし仲良くやれている。これは世界中をツアーで周り、長い時間共に過ごす上でとても重要なことなんだ。

-デビュー20周年もそう遠くはありませんが、何かその時のために特別なイヴェントは考えていますか?

フレドリック: ああ。あと4、5年したらデビュー・アルバムから20周年だ。時が経つのは早いね。今のところ具体的なことは考えていないけど、何らかの形でお祝い出来たら良いだろうね。

-とても基本的な質問なんですが、何故バンド名をBLOODBOUNDにしたのでしょう?それとマスコット・キャラクターであるノスフェラトゥはどのように生み出されたのですか?

フレドリック: バンドを始めた時、正式名を決めるのにとても苦労したんだ。俺とトーマスはいくつもの名前のアイデアを出し合った。例えばBLOODBOUNDに決める前には2つの候補があって、BRIDE OF CHRIST とIN THE DARKだったんだけど(笑)、それに決めなくてよかったよ。で、ある時雑誌でHAMMERFALLが“Blood Bound”というシングルを出すという広告を見たんだ。それを見た瞬間、俺とトーマスはその響きが気に入ってね。兄弟愛とか生涯に渡る絆を感じさせる言葉だと思った。ただワンワードにした方がより良いんじゃないかと思って最終的にBLOODBOUNDになったんだ。マスコット・キャラクターのノスフェラトゥは、バンドにモンスターのようなキャラが欲しくてマーク・ウィルキンソンという人物にアルバム毎に頼んで絵を描いてもらっているんだ。ノスフェラトゥは俺たちのライヴには必ずいるよ。

*間近で見ると結構な迫力!?ノスフェラトゥ

-もしあなたが若いュージシャンを目指す若者たちにアドヴァイスをするとしたら? 何を重視したら良いでしょうか?

フレドリック: 俺が言えることはロックン・ロールで頂点に立つにはとても長い道のりだってことだ。アドヴァイスするとしたら、たくさん練習して技を磨くこと。夢を諦めないことさ。

-最近多くのバンドがオンライン・イヴェントを行っていますが、あなた方にこういった予定は?

フレドリック: いや無いかな。コロナが収まるまで待とうと思う。オンラインでのライヴは生のライヴとは全く別物だからね。ファンはライヴの重要な要素で、彼らが居ないと正しいライヴとは言えないよ。だからやることは無いね。

-近々BLOODBOUND以外の作品にあなたが参加する予定はありますか?

フレドリック: 今の所、ロブ・モラッティとスティーヴ・オーヴァーランドで、それぞれ今年終わりごろに出る予定の新作のために曲作りをしている。他にも今はまだ公表できないプロジェクトでも動いているんだ。しばらくは忙しいよ!

-あなたは最近お気に入りの音楽やバンドは有りますか?もしくは音楽以外でも興味がある事はありますか?

フレドリック: 最近ので気に入っている音楽やバンドは無いんだ。昔の曲を聞くことはあるよ。自分のお気に入りで良く聞くバンドは、IRON MAIDEN、 JUDAS PRIESTからJOURNEY、 EAGLES、 FREEWOOD MACまで色々さ。音楽以外で時間を費やすことは家族だね。俺には2人の息子がいて、出来る限り彼らと過ごすのが楽しみなんだ。自然に囲まれ、釣りをするのが趣味かな。世界中のいろんな国を旅行するのも大好きさ。

-ところでSTREET TALKで今後アルバムを出す予定はないのでしょうか?個人的にBLOODBOUNDも好きですが、STREET TALKであなたが作る、ポップでキャッチーな曲も好きなんです。

フレドリック: 良い質問だね。今すぐにSTREET TALKでアルバムを出す予定は無いんだ。でもまたヨラン・エドマンやスヴェン・ラーソンと共に作品を作ることが出来たら素晴らしいね。BLOODBOUNDの活動には時間と労力が掛かるから、今はBLOODBOUNDに集中している。

ちなみに、今までに自分がキーボーディストやソングライターとして、他のミュージシャンと関わってきたメロディアス・ハードものを挙げると、ジョー・リン・ターナー、BONFIRE、アネット・オルゾン、スティーヴ・オーヴァーランド、REVOLUTION SAINTS、スティーヴ・オウジェリ、ハリー・ヘス、ロブ・モラッティ等々たくさんあるよ。

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-最後に、次のアルバムについてはもう青写真は有りますか? もし今年も来年もツアーが出来なかったら、次のアルバム作りにすぐ着手するのでしょうか?

フレドリック: 俺たちは今年の夏以降ツアーが再開できることを願っている。まだ次のアルバムについては未定だよ。ただ俺たちはいつでも曲を書くし、アイデアを温めている。俺は既に次のアルバム用に3、4つの良いアイデアを持っているんだ。多分2023年辺りに次のアルバムは出せるんじゃないかな。2年間隔で出すのが良いタイミングだろうね。

-ありがとうございました。

こちらこそ! ずっと応援してきてくれた日本のファンには感謝しているし、コロナが収まったら、何としても日本に戻ってきたいんだ。それまでみんな体に気を付けて。STAY METAL!

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<HM/HR>
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