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「私は私であり続けるだけだったのですから」-スージー・クアトロ インタビュー

-イギリスのロックダウンは徐々に緩和されているようですね。あなたとあなたの家族が健康であることを祈っています。昨年からのあなたの日常はどのようなものでしょう?

スージー・クアトロ: とてもとても忙しい日々ですね。今回のアルバムはすべてロックダウン中に書き上げられ、レコーディングされ、リリースされましたし、『Through My Words』という詩集を執筆して発売しました。そして毎日のInstagramの投稿からインスピレーションを得た別の作品『Through My Thoughts』を発表しようとしています。将来のアルバムのための曲も書いていますし、私の人生を描いた映画の脚本も書いているんですよ。昨年の9月以来の初めてのギグも6月にイギリスで行なわれます。

-ロックダウンの間に、シェリー・カーリーやニック・ギルダー等とオンライン・セッションをされていましたね。如何でしたか?

スージー: 2019年12月に私のドキュメンタリー映画『Suzi Q』が公開されて、世界中のあらゆる場所でチャートインして以来、物事がざわざわと動き始めているんです。シェリーはこのドキュメンタリー映画に貢献をしてくれて、私たちは良き友人になりました。私は彼女と“Roxy Roller”をやり、彼女は私と“Betty Who?”をやって…彼女のことが大好きです。勿論パンデミックの影響があったので、それぞれのパートを別々に収録して、送ってまとめて貰いました。私のアルバムの時も彼女は同じ方法でレコーディングをしましたね。

-また、あなたは『Suzi Quatro Bass Line Episode』というシリーズもYouTubeでされていましたね。あなたのアイデアで始まったのですか? ファンからの反応は如何でしょう?

スージー: えぇ、勿論私のアイデアです。ロックダウンが始まってすぐに、私は、まだそれでも人々を楽しませたり、コミュニケーションを取ったり、創造ができる様々な方法を考えてみたんです。まもなく別の企画も始めるのですが、世界中のファンやミュージシャンに大変愛されました。私が曲をピアノで再解釈して演奏をする『Sunday Special』(Facebookで閲覧可能)もですね。再開するのが待ちきれないです。

-配信ライヴの企画はあったのでしょうか?

スージー: いいえ、ありませんでした。

-コロナ禍の中で、多くのミュージシャンは望むような活動ができていません。このような難しい時期、アーティストは何をするべきだと考えますか?

スージー:状況にもよるでしょうね。ギグによって生計を立てている人はとても大変で、他の方法でそれをやらなくてはいけません。私は恵まれたことにお金を必要としない立場にあります。私は好きでやっているし、神の思し召しで、これからもやっていくことでしょう。

-ニュー・アルバム『スージーの心奥』について話しましょう。まず初めに完成おめでとうございます! アルバムのアートワークの中でこのアルバムにはコンセプトがあるとお話しされていますが、それについて聞かせて頂けますか?

スージー:息子はこのアルバムを最初のアルバム(『サディスティック・ロックの女王』)のような画期的なものにしたいと考えていました。それが私たちのアプローチの取り方でしたね。それが基準となり、すべてに正しい雰囲気が含まれていないといけませんでした。私と息子は2019年のアルバム『永劫の女王』で既に足慣らしをしていて、いっしょに作業をするのがとても楽しかったこともあり、2作目という選択が取られた時に、私たちはそれに飛びついたのです。

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-前作『永劫の女王』に続いて、再び息子のリチャードとの共同作業となりましたね。彼との仕事は如何ですか?

スージー:リチャードは私のベストを引き出してくれるようです。息子は36歳という年齢と世代をテーブルに持ち込みました。そして息子のDNAには、本人が覚えている限り、母親がスージー・クアトロであることを見てきたという事実があります。私は70歳という年齢と57年のビジネス経験、そして人生経験を持ち込みました。私たちは完璧な嵐を作り出したのです。私は息子の目を通して、まったく新しい自分を見ることができました。それと、息子が才能あるギタリストでありソングライターであることも助けになりました。

-ジェネレーション・ギャップを感じることはありませんでしたか?

スージー: まったく感じませんでしたね。私たちはとても相性が良いのです。

-ミュージシャンとして、一個人として、リチャードのことをどう感じていますか?

スージー: 息子は自分自身が輝くことや、状況に適応することに時間が掛かりましたが、前のアルバムのように一度やり遂げたら、息子を止めることはできませんでした。真の才能を持ち、私は息子の直感を信じることを学びました。個人的には、息子は私のためになんでもしてくれる、とても愛情深く思いやりのある子ですね。

-タイトル・トラック“The Devil In Me”の歌詞には「パパ」や「ママ」という言葉が登場しますね。あなたのご両親、特にお母様はとても厳格な人だと伺っています。この歌詞にはご両親からの教えも反映されているのですか?

スージー:100%そうですね。母は私にとってとてつもなく重要な存在でした。母には5人の子どもがいて、私のことを「最も優しく、最も恥ずかしがり屋だけど、いつもいたずらな目をしている(The Devil In Me)」と常に言っていましたが、それは本当のことです。私の夫は、私の別名を「トラブル」と言うんです……最高にキュートな意味で、ですけどね。

-シェリー・カーリーと“Betty Who?”でデュエットされていますね。これは先述のオンライン・セッションがきっかけだったのですか?

スージー:シェリーは長年にわたって私の大きな支えとなってくれて、私はこのアルバムで彼女に歌ってもらって、感謝の気持ちを伝えたいと思ったんです。彼女は素晴らしい仕事をしてくれて、私はそれを聴く度に笑顔になるのです。これは私たちがデュエットをする曲になるだろうと、“Betty Who?”を書いた時に思っていました。

-シェリーとは長年親交があるかと思いますが、何か彼女との特別なエピソードはお持ちですか?

スージー:私たちはつながっているんです。多くのことはとても個人的過ぎるものですが、私たちはお互いに助け合っていると言っておきましょう。

-“Motor City Riders”ではあなたの故郷デトロイトへの愛を感じました。あなたは長年イギリス在住ですが、時々はデトロイトを思い出すことがありますか?

スージー:2014年に発売したボックス・セットのタイトルがそうだったように、私は「デトロイトから来た女の子(The Girl From Detroit City)」であり続けるでしょう。決して自分のルーツを失うこともないし、失うべきでもありません。故郷デトロイトのことが恋しいです……今でも、そしてこれからも。どれだけ長く離れていても、デトロイトは私の心、魂、そしてDNAにあるのです。

-ニュー・アルバムで特筆すべきことは他にもありますか?

スージー:そうですね、全曲大好きですよ。どれも私の可愛い子ですから。タイトル・トラックの“The Devil In Me”、とてもエモーショナルなクリスマス・ソングの“My Heart And Soul”、“Motor City Riders”も好きで……選ぶのは不可能に近いですね。どの曲もそれぞれ異なった理由で本当に大好きなんです。アルバムのレビューは素晴らしいものでした。このアルバムは世界中で愛されています。どの曲にもそこに存在する理由があるんですよ。

-昨年あなたのドキュメンタリー映画『Suzi Q』が公開されたことは、あなたにとってもうひとつの大きなトピックだと思います。映画を見てどう感じられましたか?

スージー:著名な方々にあんなに素晴らしいことを言って頂けるのは、とても謙虚な気分になりますね……とてもとても。実際、ロンドンでのプレミア公開の時に劇場へ行った時、私は会場の隅で泣いていたんです。その時初めて私がもたらした影響を実感しました。ワォ! 私がそんなことをしているとは思いもよらなかったし、私は私であり続けるだけだったのですから。

-あなたが影響を受けた、あなたを構成する3枚のアルバムを挙げるとしたらどの作品になりますか?

スージー:歌詞の面ではボブ・ディランの『ブロンド・オン・ブロンド』ですね。パフォーマンスやフレージングの面では、オーティス・レディングの『ペイン・イン・マイ・ハート』。ベースに関しては1960年代のモータウンの作品が多いですね。熱狂的なファンなんですよ。そしてジェイムス・ジェマーソンのプレイ・スタイルを大切に、少しブギーの要素を加えて。このアルバムでは特に“My Heart And Soul”や、私のベストなベース・ラインのひとつである“Hey Queenie”で、モータウンのベース・ラインがよく出ています。

-あなたは50年以上にわたりプレイを続け、多くのアルバムをリリースしてきています。もし最近あなたを知った人にお勧めしたいスージー・クアトロを知るための3枚のアルバムを挙げるとしたらどの作品になりますか?

スージー:『陶酔のアイドル』、『バック・トゥ・ザ・ドライヴ』、『スージーの心奥』ですね。

-ミュージシャン、そしてベーシストとして将来的にチャレンジしたいことはありますか?

スージー:我が道を進み続けるのみです。私は自分の人生とキャリアのその時点でやるべきことをしっかりとやっています。栄光に甘んじることなく、フレッシュな新しい音楽を出し続けています。私の挑戦はシンプルにこの基準を続けることで、そうします。

-多くの女性ミュージシャンにとってあなたはヒロインです。将来あなたのような素敵な女性ミュージシャンを目指したいと思っている若い人たちにアドヴァイスを送るとしたらどんなことでしょう?

スージー:もしあなたが楽器を演奏しているのであれば、脇目も振らずプレイしなさい。とても重要なことです。真のミュージシャンになりなさい。あなたの代わりなどいません。常に1,000,000%の力を発揮して、プロフェッショナルになりなさい。そしてたとえ男の子が周囲にいて、男の子の中の1人のように振る舞うことがあっても、決して女性らしさを失ってはいけません。

-あなたは何度も来日をされていますが、日本についての印象や何か良い思い出があれば教えてください。

スージー:日本は今でもツアーでの私のお気に入りの場所のひとつです。日本が本当に大好きで、私にちなんでお酒の名前が付けられたこともありました(「サケロック大関」のことと思われる)。素敵なことです。ぜひまた戻ってツアーをしたいですね。たくさんの思い出がありますよ。15回もツアーをしましたから。最後は4年前でしたね。

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-日本のファンへメッセージをお願いします。

スージー:なんと言えば良いでしょう。長年私と付き合ってくれたオリジナルのファンのみなさんに感謝します。そして新しいファンのみなさん……クアトロ・トレインの旅にようこそ。愛を込めて。

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