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『フローズン・ビーチ』に寄せて

あの時私は高校の文化祭で上演する為の演目を探しておりました。ふと、先日終えた地区大会のパンフレットを見ていると「フローズン・ビーチ」というタイトルと作者のケラリーノ・サンドロヴィッチさんという方が妙に気になったのです。
海外の作品なのだろうかと思って調べてみると、日本の戯曲で、数年前に岸田戯曲賞という賞もとっているとのこと。何より、演劇部は男子が不足していたので、女性4人芝居というところがとても魅力的ですぐに戯曲を買いました。
読んでみるとかなり難解でコメディとは到底思えなかったのですが、とても気になる内容だったのでDVDも購入。すると…
舞台作品では完全なるコメディで、お話もとても現代的でわかりやすくこんなに面白い演劇があるのかと感動したのです。
これが私と小劇場との出会いでした。
私は4歳のころからクラシック・バレエを習っていて根っからの舞台好きではあったのですが、演劇というと大衆演劇のようなものしか知らなくて全く惹かれなかったのです。正直、高校演劇も声優に憧れていた関係でなんとなく入っただけでした。
もともと三谷幸喜さんの作品などは知っていてコメディの舞台は好きでした。でもやはり女性の役割はキレイなヒロインというイメージしかなくて…身長も低いし、美人でもない自分が舞台役者としてやっていくという発想は全く湧かなかったのです。
でも「フローズン・ビーチ」を観て、個性溢れる女優4人で、こんなにもステキな作品があることを知りました。
あの時の演劇体験を私は一生忘れません。
私はそれから、使い慣れないパソコンを使って戯曲を三日三晩Wordに打ち込みました。どのセリフもすごく素敵に感じられてそのまま上演したかったのですが、高校では上演できない部分をカットする作業をしました。
そして、無事に上演許可もおりまして、文化祭で1日だけ上演したのです。
あの時に上演したものは今思うと拙いものだったと思います。でも、あの時初めて、演じていて「楽しい」と感じることができました。
バレエダンサーの夢に挫折した時から止まっていたワクワクする感情が初めて動いたのです。
「フローズン・ビーチ」は私にとってとてもかけがえのない、人生を変えてくれた作品です。
4年前に大病を経験し、その上コロナ禍でさまざまななことがあって…人生でやりたかったことをひとつひとつ能動的に叶えていきたいなと思った時に1番やりたかったのが「フローズン・ビーチ」にもう一度出演することでした。
吉祥寺GORILLAの平井隆也くんに演出をお願いしたのは直感です。私は「フローズン・ビーチ」は女性より男性に演出して欲しかったです。何故なら、かなり客観的・冷静な視点で女性の滑稽さが描かれていると個人的には思うからです。平井くんの作品には不条理な空気が漂っているものが多く、絶対に空気感が合うと思いました。そして何より彼は仕事ができる漢なので興行として成立させてくださるだろうという信頼があります。この作品を平井くんとやりたくて、ひとり芝居フェスティバルの作・演出のオファーもしまして、晴れてオーディエンス賞をいただけて今回の企画に至ります。
Wキャスト・4人芝居・2時間半超えなどなどご負担に思う点もあるかと思いますが、是非「フローズン・ビーチ」の公演を一緒に盛り上げてくださる方を募集いたします。
6/19(日)23:59締切です。ご応募お待ちしております。

オーディション詳細はこちら

https://stage.corich.jp/bbs/93000

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