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メンバーの成長を支援する1on1手法

最近では当たり前になっている 1on1 ですが、皆さんはどういう内容で実施されてますか?

・業務報告の場
・目標達成の相談
・困ったこと、モヤモヤの相談
・雑談

などなど、いろんな1on1がありますね。
この記事では、僕が5年間1on1してきて学んだことを元に、効果的な方法について共有していきます。

僕自身、2014年にエクゼクティブコーチの方に1年間コーチングをしていただく経験から、1on1における大きな効果を体験しました。
そこから、10名以上のメンバーと1on1を主体とした、成長支援やオンボーディングなどを行い、いろんな成功や失敗繰り返し今に至ります。

この5年間事例として、詳しくはかけませんが以下のような結果が出てます。

・第2新卒の若手エンジニア。新規事業かつ、技術要求の高いチームで高い壁に向き合って乗り越えてフロントエンドの技術で登壇依頼複数が来るようになった。
・中途入社の中堅エンジニア、入社から3年がたち、頑張っているが成果が出せない中、1年間毎週1on1で向き合い続け、社内で年間の賞を受賞。

もちろん実際に頑張ったのは本人たちです。その中で、1on1によって本来の声に出しにくい情報を拾ったり、自身と向き合い新しい気づきを得て挑戦していくメンバーを見る喜びから、そんな人が増えていけばとても嬉しいです。

前提

この記事では、1on1の主役である受ける側を メンティ と呼び、する側を メンター と呼びます。(※ いわゆるメンター制度の呼び方ですが、メンター制度の記事ではありません。便宜上こういう名付けとします。)ちなみに、コーチングでは、クライアント と コーチ とよんだりしますね。

この記事は メンター向け の内容となっております。

開始時に必要なこと

■ 目的設定

いろんなことにおいて目的設定は重要ですが、1on1においても同様に最重要事項の1つと言えます。
特に、1on1の場合、自分と相手がいるため、どういう目的で行うのか?をしっかり認識合わせしてないと、効果は半減以下になるでしょう。

同じ目的に対してお互いが集中して 30分なり1時間なり向き合うからこそそれぞれで出せないパフォーマンスが発揮できます。

どういった目的で1on1を行うかを明確に決めましょう。

・新メンバーのオンボーディング
・パフォーマンス支援(フィジカル・メンタルの安定化)
・目標達成
・成長

大抵の場合、下のものほど達成までの時間軸は長くなるでしょう(成長に関しては半永久に続きますね)。何目的で行うのかをメンティと合意しましょう。

■ 目標設定

目的は上記の通り抽象的なものになります。そこから、具体的に いつまでにどういう状態 になっていれば、その 1on1 は成功と言えるのか?という目標を設定します。

2人の貴重な時間を投資するので、こういうコミットメントはとても重要です。
そして、その目標において、1on1の時間は、100%コミットすることを約束してください。

受ける側、行う側という構造になってしまうと、どちらかが受け身になってしまいます。それでは、良い成果はでません。双方に100%のコミットメントが重要です。

■ 最後に1on1の約束事を決めます

・どの頻度で何分行うか?
・新メンバーのオンボーディングやパフォーマンス支援(若い方)の場合は、毎週 30分が適切です。
・目標達成や成長の場合は、隔週(月2回)で60分が適切です。
・何曜日に行うか?
・基本的な行う曜日を予め予定を決めておくのが良いです。予定を変えたいときだけ事前に調整すれば良いです。

その他の約束事に、「内容は許可なく他の人には言わない(守秘義務)」や「日程変更は1日前に申し出る」、「業務都合でのリスケはしない」など、その他の約束事を決めましょう。

僕の場合、成長目的の場合は、必ずメンティに1on1での会話内容を用意してきてもらいます。

1on1時に重要なこと

目標を達成するためには、メンティがどんなことでも話してもいいといった空気を作る。いわゆる心理的安全性を高く生み出すことが重要です。

■ 1. 心理的安全性を作る

僕にコーチングしてくれた方は、心理的安全性を作る力がとても高く、1on1ではどんなことでも話せたし、一番の味方であり、一番僕のことを期待し、きっとできると信じてくれていると感じさせてくれました。もちろんそれは、言葉で言われるのではなく、言動の全てからそう感じさせてくれたのです。

そんな人と話したのだから、1on1の前にどんなに落ち込んでいても、終わった後はいつもエネルギーに満ちてました。

そんなすごいところまで行けるまではまだまだ訓練や学習が必要ですが、以下、僕が実践している内容です。

誰にも聞かれない場所で開催する。

どんなことでも話したくても誰かに聞かれては話しにくいですよね。基本的には会議室などで行うのが良いです。特に誰にも話さないという約束をしたのであれば、環境づくりもセットですね。

L字に座る (向き合って座らない)

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向き合うと、対立構造にもなり心理的に緊張しやすくないでしょうか?そういう余計なストレスを感じ内容にするために、斜め(L字)に座る形がおすすめです。

同じ目標を達成するチームとして、相手ではなく、同じ方向を向きながら会話するのが良いですね。

PCを触らない

話した内容をメモしたい気持ちはわかりますが、極力PCカチャカチャしながら話すのはやめましょう。内職(チャットの確認や他の仕事)をしながらするのは絶対にNGです。

メンティからすると、忙しそう、聞いてなさそうと思われて話したくなってしまう可能性があります(特に内職してるのはバレますゼッタイ)。メモをしたい場合は、ノートかiPadなどのメンティにも見える形で記録するのが良いです。

僕は、業務系の1on1でない限り、PCはそもそも持っていきません。

■ 目標達成に向けて今、一番話すことはなにか?

1on1が始まったら、まずは「チームとして立てた目標に対して、今、話すべきことはなにか?」という前提の元会話しましょう。

多くの場合、目先のことの会話になりがちです。その内容が目標達成における最重要の過大なのであれば、話すべきですが、目標達成というものから逆算で考えたときには内容が変わることがあります。

この初めの問いかけは、チームの目的を思い出させてくれるキーワードでもあるので、ぜひ目線合わせのためにも毎回問いかけてみてください。

■ 1on1で気づきを得る

なぜ、メンターが必要か?というと、メンティ一人では解決しにくい、できないことが多いからです。

基本的に、自分自身のことなので、主観的になりやすく、思い込みの中で苦しみます。そのために、メンターが客観的に、整理を手伝ったり、深ぼった質問を投げかけることで、メンティの中で、新たな気づきを得ることができます。

この手法はコーチングで使われる手法ですが、まだ経験の浅いメンティの方だと、知識量が少なく、ふかぼることも難しい場合があるので、そういうときは、メンティから「こういうことも考えれるよね」「こういったフレームワークで整理するとどうだろう?」また、具体的な解決策を提示して行くような ティーチングの手法を取ることもおすすめです。

また、1on1で会話する内容がなかったり、大丈夫です順調です!と言ってるが不安な表情をしている場合など、出てこない声を拾うことも重要です。

目標において順調に進めれるのであれば、いろんな挑戦した内容が話題としてでるはずです。そして、不安な表情をして大丈夫!となっている場合は、なにか1on1のチームにおいて言いにくいなどの課題がある証拠なので、より心理的安全性を作る工夫をするチャンスです。

■ 次回の1on1までにやれることはなにか?

目標における会話が進めば、新しい課題が見えてくるはずなので、次回の1on1までにそれぞれでできることは無いのか?を会話して終了します。

これらを繰り返して、徐々に目標達成に近づいていきます。

定期的な振り返り

開始してから3ヶ月〜6ヶ月のタイミングで、メンティと一緒に振り返りをすることをおすすめします。
振り返りのお題は、「目標と今の状況の確認」と「今までのやり方から改善すべきことは無いか?」です。

目標を確認し、過去の3ヶ月〜6ヶ月間の流れを確認して、現在位置を確認して認識を合わせましょう。

その後、目標達成において、継続することと、改善すべきことを会話しましょう。

僕はエンジニアでもあるので、KPT(Keep/Problem/Try)のフォーマットでやることが多いです。

・Keep: 継続したいこと、良かったこと
・Problem: 改善したいこと、良くなかったこと
・Try: 改善アクション

まずは、Keepを出し合い、共有します。いいことから会話することで、Problemでの課題を話すときにネガティブにならないようにするためです。

最後に、Problemから誰がいつまでに何をするのかという具体的なアクションを決めて完了です。(※ 詳しいKPTの振り返り手法は Google 先生がたくさん知ってますので、ぜひ調べてみてください。)

このタイミングで目標を変更するなどの重要な意思決定をすることもあります。

目標の達成(未達成)での完了を行う

設定した目標の期日過ぎたら、定期的な振り返りと同様に、最後に振り返りを行い、完了をします。

1on1をしたことで、学んだこと(得たこと)は何だったのか?次にどう活かせそうか?を整理して取り出しやすい知恵にしていきます。

そして、改めて、1on1を継続するのか、完了するのかを決めましょう。
継続する場合は、改めて「開始時」に戻ります。

さいごに

以上で、1on1の開始から完了までの僕が実施している内容の共有になります。
読んでいただいて気づいたかもしれませんが、成果を出すために何より重要なことは メンティのために、メンティの立場に立って真剣に向き合う ことです。いろんな業務がある中で24時間はできなくとも、1on1をしている30分〜60分はできるはずなので、ぜひ取り組んでみていい結果が出ることを祈っています。

今回は、1on1の開始〜完了までの大枠の説明をさせていただきました。また機会があれば、次は1on1中にどういう会話、アプローチをしていくと効果的なのか?といった具体的な内容の記事が書ければと思ってます。

最後に、僕が失敗した事例やTips、参考になった書籍を共有して終わりにします。

■ 忙しくなってリスケ〜やらなくなった

僕がこの1on1の取り組み自体、自分の業務というより、アドオンでやっていたこともあり、プロジェクトが忙しくなったり、トラブルが発生したりで、リスケを何度化したことがありました。

そもそも、僕自身が1on1のメンターとして受け身に動いていたこともあり、いつの間にかやらなくなってしまって、たち消えてしまったことがあります。

現在は、成長目的でやるような場合は特に、体調が悪いなどどうしてもしょうがない例外的な事情がない限りはリスケはしません。これは、メンティが理由の場合もそうです。

「忙しいのでリスケしたい」という場合は特に、現在目標に向き合えてない場合が多いので、ぜひ改めて向き合うチャンスと思ってください。

■ メンティとのコミットメント合意を取らない

1on1をやり始めた時、一方的に1on1を入れて話を聞いていたことがありました。その場合、お互いの課題感認識があってない中でただ話すことになってしまい、質の高い会話が全く進みせんでした。

この記事に書いたとおり、お互いのコミットメントがない限り、向き合えないし意味を持たないことを学びました。

■ 話しすぎない、主役はメンティ

基本的に、人間は自ら気づいたことでしか自分の知恵にはならないと思っています。どれだけ、メンターがメンティにとってこれをやるべきだと思っていても、やるべき理由を自覚してなくて、経験も違う場合は、言われてもわかりません。

本当にメンティが目標達成したいのであれば、いつかその課題にぶつかり気づくので、自ら気づくために最短で行けるように寄り添うという考えが重要です。そのことに時間を使うほうが回り道に見えて実は近道なのです。

もちろん、専門的なスキルが必要なものに関しては普遍的な事実なので、話していっても良いと思います。

■ オンライン 1on1

最近のリモートワークが当たり前になりつつある中での1on1について、僕が気にしていること。

・ビデオをONにする
・音声だけだと表情が見にくいのと、メンティに対して聞いてもらえてるという印象を与えにくいからです。必ず顔は映しましょう。
・相槌は大きめに頷く
・「うん、うん」とあえて声に出すとともに、大きくうなずきます。画面越しだと小さな動きは見えにくいですからね。

現在、オンライン 1on1 であまり大きな施策は行ってませんが、メンティの心理的安全性を作る上で工夫できることは極力していきましょう。

■ 参考: 書籍紹介

他にもたくさん良い書籍はありますが、印象に残ったものを3つだけ紹介します。

なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか

マネージャというのは、メンバーの成長を支え、支援するために存在する。こんな重荷を背負ってなぜマネージャをしなければならないのか?それは、メンバーの成功が自身の喜びとなり、自分ひとりでは体験できないことができる。

といったマネージャとしてのあり方を問うた書籍です。

コーチング・バイブル―本質的な変化を呼び起こすコミュニケーション

コーチングの流派として色々あるのですが、この書籍ではコーアクティブ・コーチングといって、メンター・メンティ両方が Co-Active(協同的)に作っていく考え方が解説されています。

ザ・コーチ 最高の自分に出会える 「目標の達人ノート」

目標設定の仕方、目的と目標の構造などをストーリー仕立てで論理的に解説してくれている本です。

以上です。長文を見ていただきありがとうございました。

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