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安全安心な夜、四面楚歌の昼

夜更かしが好きだ。これは小さな秘密の集い。 主催者はもちろん私で、ゲストは私の中に住んでいる私たち。世間の多くの人が英気を養う時間帯に、素直な自分の、自分のための、自分によるプチパーティーの開催だ。 夜の思考回路が好きだ。それは正解がなくて優しい。 特別で、唯一無二で、自分だけのもの。誰かに求められた成果ではない。一生懸命生きてきた自分の、自分のための、自分による安全な場所。 昼のうちは世の中に身を置かないと、ついていけなくなってしまう。だからこそ、できる限り自分が嫌われ

    • 異国の匂いを嗅ぐだけでいいから

      これから始まる数日間の非現実への抑えきれぬ高揚感と、長時間のフライトで凝ってしまった体を存分に伸ばす解放感。 出国してからずっと、次に地上に立つときは異国の地だとは分かっていたが、今感じたものは想像通りか、それとも想像とは違ったか。 匂い。 その国の人々の好む香水か、生活に馴染んだスパイス、気温や湿度も作用してできるこの空気感。 それを嗅ぎに行くだけでいい。贅沢な食事やラグジュアリーホテルでのステイはなくて構わない。 ただ、その地で繰り返される日常に、数日だけ居候さ

      • 『Melody Fair』…Bee Gees

        『小さな恋のメロディ』という映画を観た。 もう50年も前のイギリス映画だ。 自粛生活で暇だろうから、と実家から送られてきた荷物の中に母の手書き解説メモが添えられたDVDが入っていた。 映画の舞台はロンドン。主人公は11歳の少年ダニエルと少女メロディ。若すぎる2人のまっすぐな姿やクラスメイトたちの姿に、観ていてとても惹き付けられる。 劇中歌である『Melody Fair』には聴き覚えがあった。人気の映画だったから、街中でもテレビでも聴く機会はあったのだろうが、私の頭の中で

      安全安心な夜、四面楚歌の昼