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プロティアンキャリア(変幻自在)

 プロティアンキャリア(Protean Career)という概念は、1976年に米国心理学者ダグラス・T・ホールによって提唱されました。この考え方は、それまでの組織や企業を中心としたキャリア観から、個人の価値観を中心としたキャリア観へのシフトを意味します。
 プロティアンキャリアのプロティアンはギリシャ神話に登場するプロテウスにちなんで名づけられました。プロテウスは状況に応じて火にも水にも自由自在に形を変えられる海の神です。
 プロティアンキャリアとは、変幻自在であることを意味し、個人が柔軟にキャリアを形成し変化に適応していくものです。
  プロティアンキャリアの主な特徴を大きく2つで見ると、以下のようなことです。
①価値観 キャリアとは成功や失敗を意味するものではない。また経済的成功や組織内での昇進や権力の掌握を意味するものでもない。
 キャリアの評価は、他者によって評価されるものではなく、キャリアを歩んでいる自分自身が評価するものである。
②適応能力 変化する環境や状況に応じて、柔軟性、順応性、融通性が必要である。

 この考えに触れたとき、ブルース・リー(1940-1973年俳優アクションスター、武道家)の「Be Water My Freind(友よ水になれ)」が浮かびました。娘のシャノン・リーが同名の著書でブルース・リーの哲学を語っています。

友よ水になれ

心を空にせよ
水のように形をなくせ
カップを注げば、カップの形に
ボトルに注げば、ボトルの形に
ポットに注げば、ポットの形に
そして水は自在に動き
静かに流れることもでき
ときには破壊的な力をもつ
友よ水になれ

この哲学のもととなるのは、宮本武蔵の「五輪書」と言われています。
ブルース・リーは「五輪書」を愛読していたとのことです。

「五輪書」水の巻(戦術編)

水を手本だと思い、心も水のようにしなさい
水は四角い器には四角く、丸い器には丸くなり
たった一滴からいずれは海にもなる
そして水は無色なのに青く深淵な色がある
そんな水の清らかさとしなやかさを用いながら
二天一流の戦い方をここ巻に書き表す

また、老子に有名な言葉「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」からとも言われています。

「上善如水」

上善は水のごとし
水はよく万物を利して争わず
衆人の恵むところに処る

人の生き方を水のようであると最高の善のたとえとした言葉です。

誰のものでもない自分自身で決めるのの

 T・ホールが言われたようにキャリアは決して、他人との比較でない、優劣、勝ち負けでもない、早い遅いでもない、他人が決めるものでもない、自分自身で決めるものです。
 自分自身が、その都度成長を感じて歩んでいくものです。
 人生時間の中で、たくさんの転機があります。
 それは予期していたこと、予期していないこともあります。また自ら作り出すこともあります。予期しない、予期するにかかわらず、そこ、その場に置かれたときに、その時間をどう過ごすのか、自ら一刻一刻を刻んでいく考え方が大事です。
 決して一部の人や、リーダー、エリートと呼ばれる人でなく、皆誰もが自己成長していきます。
 人はいくつになっても成長するものです。年を取り体力の衰えを自覚しても、人格を磨くのにゴールはありません。
 磨いていくというのは成長を感じることではないかと思います。
 現在の仕事でプロフェッショナルになる。さらに能力を磨き、違う分野でまたプロフェッショナルになる。
 プロフェッショナルというのは、日常で何かすごいということより、何か問題が起こったとき、想定外の出来事に遭遇したときに、その力を発揮するのではないでしょうか。
 小さなことでもその道のプロになる。小さなことでもキラッと光るものになる。
 ディズニーランドの清掃キャストは、素晴らしいですね。園の中に自然に溶け込んでいます。いかにも掃除をしていますという姿はまったく見せません。これがロボットだと園の雰囲気が全然変わってしまいます。この園では人がそれぞれ最高の仕事をしています。何より早い、スピード感があります。来園した人に夢を与えているのはミッキーマウスたちだけでない、彼ら彼女らがいるから夢のひとときをを過ごせます。
 日本で初めて従業員にキャリア研修を始めたのはオリエンタルランドだという話を聞いたことがあります。

 彼ら彼女らは光るプロフェッショナルです。

まとめ

 ひとつのことでプロフェッショナルになると、環境が変わっても、そこに適応していく能力が磨かれます。新たな環境でその仕事のプロフェッショナルを目指します。プロティアンキャリアを歩んでいきます。
 

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