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ミントティ考

モロッコの飲み物といえば「ミントティ」
モロッコのことを知らない外国人は、「ミントティ」と聞くと健康的なミントのハーブティーをイメージするのですが、ちょっと違います。

モロッコのミントティは、簡単に言うと、中国のガンパウダーを煮出したお茶に山盛りのお砂糖とミントが加えられたお茶で、モロッコ全土で朝から夜まで飲まれます。

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砂糖の塊をおばあさんが金槌のようなものでバンバン!!と勢いよく叩くと、キラキラした砂糖の粉が絨毯の上に飛び散る。誰も気にしない。
砂糖の塊を豪快にポットに二つくらい加えて、ニンマリ笑ってもう一つ。
一つの塊は100グラムくらい?全部で300グラムは入ったかな。
全部溶けるかどうかは置いておいて5人で割ると一人60グラム・・・。
日本のスティックシュガー約10本分か・・・・。

朝起きたら一杯
朝食と一緒に二杯
午前中のおやつの時間に一杯
昼食後に一杯
午後のおやつの時間に一杯
夕方疲れたから一杯

お茶の渋さとミントの爽やかさに誤魔化されて、そこまでお砂糖が入っている感じがしないのだけれど、ん・・・・モロッコ人と一緒に一日中お茶を飲んでいたら一体1日何グラムの砂糖を消費することになるんだろう。

モロッコの砂糖売り場には、不思議な円錐形の「ミントティー専用の砂糖」が売られていて、小さいものが1.5キロ、大きいものが2キロの塊だ。
この塊、日本の家庭だったら一ヶ月は持ちそうな気がするけれど、モロッコの一般家庭では2、3日で消費する生活必需品。

田舎のお葬式に行く時は、砂糖の塊を持参する。お葬式を出す家では、もちろん大量のミントティを用意するので、たくさん使うとは言え、100本、200本と集まるのが普通なので、余る。後でちゃんと定価で引き取ってもらえるらしい。

礼儀正しい外国人観光客は、「暑い国だから甘いものが必要なんですね〜」と、上品に感想を述べるけれど、暑いとは言え甘すぎる。
ので、糖尿病がものすごく多い。一家に一人、二人は居る。
そして、インシュリン注射をしているのに、ミントティを飲み続けるという話をあちこちで聞く。数年後、悪化したという話を聞くことになる。

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モロッコのミントティーに使われるミントの種類の多さとか、季節によって使われる他のハーブのお話とか、甘くて女子な話題もあるにはあるのですが、ミントティってほとんど砂糖を飲んでいるようなものだから・・・・。
でもね、砂糖抜き、砂糖少量の観光客向けミントティーというものもあるのだけれど、全然美味しくない。
モロッコのミントティーには山盛りの砂糖とフレッシュなミントの束が必要。

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ミントティーの入れ方:

ティーポットに茶葉を大さじ一杯くらい入れる。
別の薬缶で沸かしておいたお湯を少量注ぎ、お茶を洗う。(何度か繰り返す)
お湯をたっぷり注ぎ、ティーポットを火にかける。
沸騰直前に砂糖の塊を加える。
再沸騰直前に火から下ろし、大量のミントの葉を加える。
しばらく休ませてから、数回ティーカップに注ぎ、ポットに戻す。その際、できるだけ高いところから注ぎ泡立たせるようにする。







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