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ベルリンのアパートの家賃ブレーキ法について調べたこと

我が家の家賃が高い、という話を友人にしたところ、それはもしかしたらドイツの家賃ブレーキ法 (Mietpreisbremse )違反なのではないか?と言われ、色々調べてみたので、情報メモをシェアします。
(私も調べきれていないかもしれないので、詳細は末尾のリンク先からそれぞれの方が調べてください)

家賃ブレーキ法 "zulässigen Miethöhe bei Mietbeginn" (§ 556d BGB)​​

*以前最高裁で否決されたベルリン独自の家賃制限 (Mietdeckel )とは異なる別の法律です。
*「住宅状況が逼迫している街」に対する法律のため、適用外の都市もあります。


家賃ブレーキ法適用都市には、「基準家賃」があり、2年ごとに調査、発表されている。
基準家賃とは、同党の条件の賃貸アパートの家賃の平均のことで、表に書かれている真ん中の平米あたりの基準家賃を元に、細かなプラスマイナスポイントがあり、例えば、プラスが一個あれば、家賃が平米あたり0.3ユーロ上がる、というような形で計算される。

家賃ブレーキ法適用のアパートは、新規契約時に基準家賃から10%までしか値上げできない。

基準家賃は、住所、築年数、アパートの設備などにより細かく分かれる。

基準家賃が上がる理由:
バスルームがダブルシンク
床材が高級な寄木細工
広いバルコニーがある
エレベーターがある
新品の設備の整ったキッチンがついている

基準家賃が下がる理由:
浴室に窓がない
キッチンがついていない
6階以上でエレベーターなし
騒音がうるさい通りに面している

家賃ブレーキ法が適用されない住居

 *2014 年 10 月 1 日以降に初めて賃貸されたアパート
*賃貸契約の3年前までに、同等の新築建物の約 1/3 の価格で近代化されたアパート(例:一平米あたり600ユーロ以上かけて近代化されたアパート。一般的な壁の塗り直しや床の張替えは、当てはまらない)
*短期契約(1年程度まで)のアパート
*一部の家具付き・サービスアパート
*学生寮
*一戸建て
*前の借主がすでに高額な賃料を払っている場合で、新規の契約が基準家賃よりも高いことが契約前に新借主に書面で説明された場合
*公団・公営住宅
*それぞれの州で、家賃法が発行される前に契約されたアパート(ベルリンの場合、2015 年 6 月 1 日以降に締結された賃貸契約​​)
*商業目的、半商業目的で貸し出された物件

ベルリンの基準家賃(2023年)

自分のアパートが、家賃ブレーキ法に当てはまる場合で、2023年現在の家賃を払いすぎている場合は、契約書で合意された家賃が違法となり、家賃の値下げを要求できるほか、契約年により過去2年程度の過剰払い分の払い戻し請求及び過払い分の敷金返還請求が可能。

https://www.morgenpost.de/berlin/article238691783/mietspiegel-berlin-2023-ortsuebliche-vergleichsmiete-mieterhoehung.html

インデックス契約の場合

物価上昇とともに家賃が値上がりするインデックス契約の場合、計算は少し異なり、インデックス契約が始まった年の基準家賃が合法かどうかを確認、払いすぎの場合は、正しい基準家賃額から物価上昇率を計算しなおす。

2015年にカルト家賃1000ユーロで賃貸開始したインデックス契約の100平米の近代化されていないアパートの場合。
物価上昇率が20%とした場合

1000ユーロ*1.2=2023年の家賃は1200ユーロだが、

合法的な家賃は、

2015年の基準家賃:5.49ユーロ(平米)100平米1.1=603ユーロ
2015年から現在までの物価上昇率20%(仮に)724ユーロ

となるので、家賃ブレーキ法に当てはまるアパートの場合は、カルト家賃を724ユーロまで下げることを要求できる。
家主はこの要求を拒否する場合、家賃ブレーキ法が適用されない理由を書面で説明する必要がある。

参考

Mietpreisbremse  都市名 で検索


現実的に、超貸し手市場のベルリンで、100平米724ユーロの物件があるか、と言ったらほぼないです。新規賃貸は、家賃ブレーキ法の適用を避けるために、豪華に改装されていたり、必要がないのに契約書に「半商用目的」と盛り込んだり、契約期間を1年にするなどされていることが多いそうなので、契約前に不動産専門弁護士に契約書を見せることを勧めているサイトが結構ありました。
が、空室率1%とも言われるベルリンなので、契約前に家賃ブレーキ法の話をしたり、契約書の条項を変更してください、と言ったら借りられないでしょう・・・なので、新規契約にはあまり意味がない法律なような気がしますが、すでに契約済みの場合、家賃ブレーキ法の適応対象なのに知らない借主も多いそう。(私も知りませんでした)なのでぜひ確認してみてください。


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