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7章2節のハルファスについて あと個人的な反省

※当然ながら思いっきりネタバレを含みます。

あとCオリアスのキャラストには触れていません。

考察第一弾も合わせてどうぞ。

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これまでメイン/イベントストーリーではほとんど出番のなかったハルファス(誘拐事件悪夢編で『即断即決のハルファス』が登場したくらいですね)。

しかし6章2節で名前だけながらメインストーリー登場を果たすと、
7章1節では満を持してその姿が。出番は多くないながらも彼女らしさはしっかり感じられました。

そして迎えた7章2節。
なんとハルファスはソロモンと行動を共にします。これまでの情報の少なさが嘘のようにしゃべる、しゃべる、しゃべる!

かつてハルファスの考察・解釈と銘打って文章を書いたり、またハルファスを題材にしたSSを書いたりした私にとってこの突然の供給はとてつもなく嬉しいもので、また非常に興味深いものでもありました。
そんなわけで、7章2節を踏まえた彼女の姿を自分なりに読み解いていきたいと思います。
まずは私が気になったポイントをひとつひとつ確認して、その後に全体を概観したいと思います。
(最後に個人的な反省もします)


① 62話・2(7章1節

まずは1節から。

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いやちょっと待って!?
「『選べばいい』」!? 「それなら、私でもできる」!?!?
優柔不断で選べないんじゃなかったの君!?!?!?!?

とまあいきなり混乱させられたわけですが、もう少し丁寧に読んでいくと、

サレオスが選択の基準を示す
それならできる という流れなわけです。
つまり、物事をどう進めるか選択しているのはサレオスで、ハルファスはそれに従うだけ。彼女はそれならできると言っているわけですね。

ややこしくなっているのはサレオスが「特定の木を選べ」という方針を「選択」していて、ちょっとした言葉遊びのようになってしまっているからです。
つまりは「方針の選択」はサレオスがしていて、ハルファスはただその方針に従っているわけで、そう考えるとシンプルですね。「選べばいい」にかぎかっこをつけているのがミスリード的というか、どちらかというと注目すべきは「それ」な気がします。

この描写はキャラストにあった「ソロモンが決めたことに従う」という話の繰り返しでもありますが、しかし決断をしているのはソロモンではないというところが大事です。
ハルファスは決して、ソロモンひとりに依存しているわけではないのです。

② 65話・5

ここからは7章2節です。

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ここでハルファスは「選択」そのものはできないと言いながらも、選択されたものをよりよくしていくことはできる、と言っています。

ハルファスは過去の経験から、決断によって背負わされる責任の重さは身にしみて分かっているはずです。
だからこそ、自分にできない決断を他人に強いるのではなく、信頼しているのだ、そしてその決断をよりよい方向に導くのだと意思表示することで、決断者の心を支えようとしているのでしょう。

ここで重要なのは、決断はそれ自体が全てというわけではなく「周りの支えがあれば、決断の責任は軽減することができる」こと、そしてそれをハルファス自身が理解している、ということです。
これは裏を返せば、「周りの支えがあれば、ハルファスにも決断ができるようになる」可能性を示唆していると言えます。リジェネレイトへの第一歩が見えたような気がしますね。

まさか今の時点でそれを理解しているとは思っていませんでした。その辺は私の考察ミスで、また後ほど触れます。

③66-冒頭

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ここではザガンいわく「選択の余地はない」状態であるにもかかわらず、ハルファス自身では選べていません。
その点は相変わらずだなあというところですが、注目すべきは自分から選択肢を提示しているという点です。
つまり、言いたいことは言えているわけです。

だからなんだと言う話かもですが、
ここでハルファスのプロフ文を思い出してみましょう。
なんと書いてありましたか? そうです。「控え目で、自分の意志を強く主張するのが苦手な性格」と書かれています。

そのハルファスが(比較的歳の近いメギドが多く、かつ解説役不在の状況というのもありますが)自分の意見を主張しているわけです。
つまり苦手なこともやろうとしているわけです。えらい。なんてえらい15歳なんだ……

以前の考察で「優柔不断」は後天的なもので、「過酷な幼少期」を経て「控え目で、自分の意志を強く主張するのが苦手な性格」が「極端なものとなった」結果であると解釈しました。
その「優柔不断」を彼女自身良しとしていないのは前回も確認したところですが、ハルファスはここで、その前提である「控え目以下略」な性格にさえ抗うような行動を見せました。
とすればハルファスは、元から持っていた「控え目」な性格さえ変えたいと思っているのかもしれません。あくまで憶測ですが。
もしそうであれば、リジェネ後の彼女は今と大きく違った人になったりするのかもしれません。

④66-3

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想像力豊かなハルファス。かわいいですね。
ここはコメディチックなシーンですが、しかし彼女の性格を考える上で重要なシーンでもあります。
詳細は後述しますが、この「想像力の豊かさ」は(ここで初めて明らかになったものではないですが)彼女が優柔不断になった原因に大きく影響していると共に、彼女を語る上でのキーワードにもなると考えます。

⑤66-4

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口をはさむ時はちゃんと「意見」があるはずというソロモン。
裏を返せば、意見がなければ口を挟まないということですね。

でも意見があれば言う。「意見がある時は言わなくちゃいけない」とソロモンが決めていたりするのかもしれませんね。
と合わせると、やるべきことなら苦手なことでもできる、そんなハルファスの姿が見えてきます。えらい。なんてえらい15歳なんだ……(二度目)

⑥66-4

⑤の直後です。

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方針を決めかねているソロモンに対し、ハルファスは「選ぶ必要はない」と話を一本化します。

ハルファスがこの考えを示したことは非常に興味深いと思います。
選べないハルファスが他の誰よりも先に「選ばなくていい」選択肢を提示したことは、彼女が普段からそのような思考をしていることを示唆しているのではないでしょうか。
彼女が「選べない自分」をマイナスに捉えているのはこれまでに示されていたところですが、その欠点を少しでも克服するため、そもそも「選ばなくていい」道を探すようにしているのでしょう。

彼女なりにしっかりと自分に向き合っていることがわかる、素晴らしいシーンだと思いました。

⑦68-END

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魚に戸惑うソロモンたちでしたが、真っ先に(ベルフェゴールと同着かもしれませんが)その意味に気づいたのはハルファスでした。
気づくことができたのは、彼女の「想像力の豊かさ」ゆえでしょう。

先程は「想像力の豊かさ」こそが優柔不断の原因だと言いましたが、もちろんそれはプラスに働くこともあって(というか普通はそうですが)、これはその例です。

この「想像力の豊かさ」は彼女の大きな武器と言えると思います。


7章2節からわかることまとめ

ここで簡単にまとめてみます。全部で3点ほど。

・優柔不断の原因ともなった「想像力の豊かさ」、しかしそれは彼女の武器でもある

優柔不断なハルファスの一例として、パン泥棒に遭遇した彼女がパン屋と泥棒のどちらに味方するべきか選べなかった、というシーンがありました。(キャラスト2話)

同じキャラスト(1話)で描かれていたように、「何を食べるか決められない」のならばまだわかります。
どれも美味しそうだから、それぞれにプラスの要素があってそれを比較できないからなのでしょう。典型的な優柔不断と言えると思います。

しかしよく考えてください。
前述したパン泥棒のシーンでは、社会通念上一般に「パン泥棒が悪い」ことは明らかです。
それなのにハルファスはどちらに味方するか選べなかった
パンを盗まれて困っているパン屋と、子どもがお腹を空かせて困っている(そして金もなく、だからパンを盗んだ)泥棒を、同じ「困っている」という土俵で天秤に乗せてしまったのです。
その理由として彼女は「泥棒はいけないこと」「パンを盗んじゃいけないのもわかってる」と言った上で、「ハルマゲドンの影響で治安が悪くなってるせいでもある」、同じような状況なら自分だって泥棒をしてしまうかもしれない、だから何が悪いか決められない、と語ります。

客観的に見て明らかに「悪い」人間を、それでも勝手に背景事情や心情を考慮に入れ迷ってしまうハルファス。これは明らかに「想像力の豊かさ」の弊害と言えるでしょう。たとえ想像の内容が正しいとしても。
一見明らかなことであっても、異なる可能性を想像することだけならいくらだってできてしまうわけで、そんなことをしていれば選択肢を絞れなくなるのも当然でしょう。だからこそ彼女は「優柔不断」なのです。

他の人では気づけない可能性にも気づくことができるが、その中でどれを採用すべきか決められないハルファス。だけど選択してくれる人が周りにいれば話は違います。彼女の「豊かな想像力」は武器になり得ます。
ソロモンは多数決を採ることが多いですが、多数決では選択肢を示さずしては始まりません。
決断力の低さで足手まといになっているかと思いきや、それどころか、メギド72という軍団において彼女の存在は非常に重要なものなのかもしれません。

「決断の責任を後から周りが軽減することができる」ことを理解している

②で示した通りです。
これは私にとってかなり意外でした。

決断そのものに重みを感じすぎているからこそ優柔不断になったと考えていたところもあったので、そうじゃないのか! ちゃんとここまでわかってるのか! と驚きでした。

・彼女なりにすごく頑張っている! できることはやろうとしている!!

③、⑤、⑥あたりですね。
自分の優柔不断を欠点だと認識するにとどまらず、それを解消しようと具体的なアクションをしてみたり、あるいは苦手を避けるように行動したりするハルファス。

自分のため、そしてソロモンたち仲間のため、
苦手の克服を目指し、避けられる苦手は避ける。
こんなに偉い15歳が他にいますか?

優柔不断な彼女ではありますが、これ以上なく前向きではあるのです。

彼女のリジェネレイトもそう遠くないのかもしれません。でも月中PUだけはやめてね。

(おしまい)

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・個人的な反省

ここからは読む必要のないやつです。

先日公開したハルファスのSSは、「過去の選択」のせいで何かを選べなくなったハルファスに対し、バラムが「選択した後からだって良くしていくことはできる」「だから大丈夫だ」と(「選択の未来」を示して)諭すといったお話でした。

ですが、結果的にこれは私の解釈の甘さとミスを露呈するものとなってしまいました。

・「選択の未来」について
そもそもハルファスはバラムに言われるまでもなく「選択の未来」を理解していました。完全にハルファスを見くびっていました。

・優柔不断の原因に向き合わず、控えめな性格を改善しようとしているハルファスを描いていなかった
優柔不断の原因が想像力の豊かさにあることはわかっていたはずです。だけどそれを自分の中で明文化することができていませんでした。
結果その豊かな想像力を無視する形になってしまいました。
また、私の描いたハルファスはただの内気な女の子になってしまい、非常に後ろ向きな性格になっていました。
実際のハルファスはこんなにも前向きで、できることはやろうと、それどころか自分に抗おうとまでしているのに。
これはあまりにも、あまりにもハルファスに失礼です。不誠実です。

ハルファスは優柔不断だから内気だろう。引っ込み思案だろう。行動力もないだろう。僕が描いたのは、そんな安易な考えから妄想した都合のいいハルファス像でした。
とても恥ずかしいし情けないです。
ずっと好きだと言っておきながら、私は彼女の何を見ていたのでしょう。どこをどう読んでわかったつもりになっていたんでしょう。
いつから私は考察を止め都合のいい当て嵌めをし始めたのでしょう。

心の底から反省しなくてはなりません。

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