村上春樹が苦手すぎて

私はかつて村上春樹作品が苦手でした。

きっかけは、高校の現代国語の授業で読まされた『海辺のカフカ』。

性的な描写の気持ち悪さや、その他うまく言葉にできないネガティブな感覚的なものに耐えられず、村上春樹作品が苦手になりました。生理的に無理。

そんな私に転機が起こります。

大学4年生のときです。卒業論文を早々に書き終えた私は、残り半年の大学生活においてやることが見当たらなくなりました。

そこで「なぜ私は村上春樹がこんなにも苦手(生理的に無理)なのか」を突き止めるべく、デビュー作から最新作まで一気に読むことにしました。

読み終えて驚いたのが、村上春樹作品を好きになっていたことです。

いわゆる″ハルキスト″のように語れるほどのものは何もありません。

ひとつだけ言えることは、文章のリズム感がとても心地良いのです。不思議と心が落ち着いている自分がいました。

あ。もうひとつ言えることがありました。

『1Q84』は、村上春樹作品において初めてのハッピーエンドだったのではないか。

一連の村上春樹作品の完結だったのではないか。

何となくそう思うのです。

ともあれ私は、村上春樹の心地良い文体に救われています。パニックになったときに村上本を開くと、すぅっと落ち着くのです。


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