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ペンタブも触ったことない3DCG初心者が1年がんばった結果

はじめに

3DCGを始めて1年ほどたったので今までの成長を振り返ってみたいと思います。ちなみにこの投稿を書きたいと思ったのは、こちらの燕禅さんという方の「【練習内容公開】イラストを100日練習しました」という記事を読んで、自分も成長の記録を可視化したくなったからです。

3DCGを始めたきっかけ

3DCGを始める前にスカルピーという熱を加えると固まるオーブン粘土でちいさい猫ちゃんのフィギュアをつくっていました。フィギュアをつくっているとTwitterとかでたびたび目にするのがzbrushという言葉。どうやらzbrushで3Dデータをつくってそれを3Dプリンターで出力すると高精度なフィギュアが作れるらしいです(実際にはそれほど単純じゃないことが後でわかりますがそのへんは割愛)。ちなみに私は3Dがなんなのかすらよくわかっていませんでした。何をどうつくっているのかもわかりませんでした。大学では近代フランス文学と翻訳(とデジタルマーケティングを少し)専攻したので自分が3Dを始めるとは考えたこともありませんでした。

Zbrushをはじめる

そこでzbrushの体験版をダウンロードしてどんなものか様子を見てみることにしました。ペンタブレットというのが必要というのがわかりましたが私はそんなもの持っていません。同居人に聞いたら同居人が数年前にWacomのペンタブを200ユーロ(3万円くらい)で購入して数回使ったきり実家の押し入れに放置してあるということがわかりました。なぜ使わないのか聞くと「飽きたから」とのことでした。同居人が実家に帰省したときにその気の毒なペンタブを持って帰ってもらって、「どうぶつの森」を購入するということを条件に譲り受けました。

Zbrushとペンタブがあっても、3D赤ちゃんの私には何をしたらいいかわかりません。キャンバス内で無限に増殖するキューブを前にふるえていることしかできません。なので本を買いました。ウチヤマリュウタさんという方の「作って覚える!zbrushフィギュア制作入門」という本です。

この本の中では美少女フィギュアを一体つくるので、見様見真似で同じことをしてみることにしました。クリーチャーができました。俺のzbrush壊れてるのかな?と思ったけどそのまま続けました。ところが、靴底をつくるところでどうしてもきれいにつくれず、何もかも嫌になって僕は美少女という名のクリーチャーを完成までもっていくことができませんでした。捕捉しておくとこの教本はいい本です。靴底がつくれなかったのは僕の理解力が低く、センスも乏しいためです。

でもこのときにはzbrushを購入していました。zbrushは10万円くらいする高価なソフトです。このままでは金ドブ。せめて元は取りたい。そう思った僕は好き勝手につくることにしました。これは僕の悪い癖です。後にClip Studio Paintというお絵描きソフトを始めるのですが、この時も好き勝手に始めました。

最初にできたのは懐かしの金曜ロードショーのおじさんでした。

色がついてないのは色の付けかたがわからなかったからです。映写機が左右対称ではないですが気にしないでください。リトポもしてないのでメッシュがでこぼこです。この頃はダイナメッシュをsubdivideするというめちゃくちゃな作り方をしていました。影が真っ黒になって不満でしたがどうすればいいのかわからなかったので必殺「放置」を決めました。

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それから動物をつくりはじめました。色の付け方がわかりました。リアルでなければ動物は人間よりつくるのが簡単なので楽しかったです。かわいらしい猫ちゃんができました。

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もともとナウシカをつくってみたいと思っていたので、美少女リベンジをしようと思い、「今の俺には難しすぎるよなぁ」ということはわかっていたのですが、自分のつくりたい気持ちを優先してナウシカつくりました。

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今見るとへたくそだし、髪のディティールも溶けていますが当時は「意外とよくできたなぁ」と思っていました。

その後もたくさんつくったのですが全部載せることはできないので適度に割愛していきます。

ひとつの転換点だったのがエレン巨人です。

ここまではなんとなく雰囲気で人間の体をつくっていたのですが、エレン巨人をつくるときに初めて人間の筋肉の解剖図や骨格を資料を見ながらつくりました。このおかげで人間の筋肉の付き方などに対する理解が深まりました。

このころからartstationという海外のイラストや3Dを投稿できるサイトに投稿し始めたのですが、そこで他の人の作品と見比べて「俺の作品なんかしょぼいなぁ」と思いました。他の人の作品は光の当たり方とか質感がリアルなのに私の作品はのっぺりしているなぁと感じました。調べると、他の人は「レンダラー」で「レンダリング」しているということがわかりました。レンダラーを使えばいいのかと思い至った私はここでkeyshotというソフトを導入しました。

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光の当て方もマテリアルやテクスチャの入れ方もわかりませんでしたが、keyshotに持って行っただけでそれっぽくなったので喜んでいました。keyshotは日本語の情報があまりなかったので英語のチュートリアルや、得意の「勘」でいろいろ試してみました。

でもその他にも不満なことがありました。顔の造形でした。アニメキャラを3次元に持って来ようとすると、どこかで整合性をとらなくてはいけません。結果的に平べったい感じになります。他の人の3Dモデルや市販のフィギュアの顔が平べったくても特に何も思わないのですが、自分の3Dモデルだと平たい顔になるのに抵抗がありました。これは単純に好みの問題だと思います。

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ここまではアニメの絵をできるだけ忠実に再現しようとしていましたが、一度開き直って好みをバンバン入れてみることにしました。そんなこんなでリアルな造形を取り入れたのがゼルさんでした。手応えを感じたのでしばらくこの方向性で行くことにしました。

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ねずさんやれんさんも同じ手法を発展させる感じでつくりました。このやり方だと元絵のアニメ感は多少失われます(リアルによせてるのであたりまえといえばあたりまえだけど)が、自分の好みにはあっていたのでそこそこ手応えがありました。ねずさんをつくったあたりからSNSで反応をもらえるようになりました。私は好き勝手につくるタイプの人間ですが、ポジティブな反応はやはりうれしいです。

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実際の人間の骨格を見ながらつくったのでだんだんリアルよりの顔もつくれるようになりました。このやり方は特におっさんキャラと相性がよいように感じました。

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そんなこんなで1年がたったのでナウシカをリベンジすることにしました。

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1年が経って、私はまたアニメキャラの造形について考えていました。リアルよりにしようと作っていましたが、そのやり方を引き継ぎつつ、アニメによせられないかなと考えていました。そんなこんなで「宝石の国」のダイヤちゃんの造形に行きつきました。後で見たら違う印象になるかもしれませんが、それなりに手応えは感じました。

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下のほうだけどartstationのトレンドにも少しだけ載ったりしました。でもartstationは大手ゲーム会社とかハリウッドのCGアーティストとかがゴロゴロいてpixivとかに比べると雰囲気が殺伐としていてこわいです。

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ここに載せたもの以外にもたくさんつくっていますが、以上が1年の成長記録です。特に目標もなく軽い気持ちで始めた3Dモデリングでしたが、ドはまりして気づいたらほぼ毎日zbrushを触っていました。振り返ると「停滞する期間の後に一気に上達する瞬間」がいくつかあったような気がします。フランス語と英語を勉強したときも「突然わかるようになる瞬間」があったのでそれと同じようなものなのかな?

読んでくださった方と作品を見てくださった方にお礼申し上げます。ありがとうございました。





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